物流業界が抱える課題は?現状や企業でできる対応策についても説明
人手不足をはじめ、過酷な労働環境や燃料費の高騰など、物流業界はさまざまな課題を抱えています。これらの課題がなぜ起きているのか、また課題に対する対応策はないのか。本記事では、物流業界の現状について迫っていきます。
目次
- 人手不足
- 過酷な労働環境
- 燃料費の高騰
- 物流システムを導入する
- 採用基準を見直す
- 物流拠点を増やす
- 人材派遣・紹介サービスを活用する
物流業界の現状
引用元:2022年9月2日経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
経済産業省、国土交通省、農林水産業の連名で公開されている「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」によると、2017年からの5年間で宅配便取扱実績が23.1%も増加しています。EC市場規模の拡大とともに取引実績も増加しており、物流業界も右肩上がりに成長。株式会社 矢野経済研究所による将来展望によると、2021年には7兆9,000億円だった市場規模が2022年には8兆2,400億円になるとされており、今後も市場規模の拡大が進むと考えられています。
物流業界が抱える課題・問題
悪化が深刻化しています。
- 人手不足
- 過酷な労働環境
- 燃料費の高騰
また、再配達率の高さから燃料費が高騰していることも課題として挙げられます。
人手不足
引用元:厚生労働省「国民のみなさまへ トラック運転者の仕事を知ってみよう」
厚生労働省によると、トラックドライバーの有効求人倍率は2019年12月を堺に減少に転じていますが、2021年の5月時点でも全職業の平均よりも高い数字を保ったままです。また、同じく厚生労働省が公開している「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」によると、2022年10月時点の自動車運転の職業における有効求人倍率は2.46倍と高い数字を記録。トラックドライバーの求人数に対して求職者の数が足りない、つまり人手不足の状況が続いていることが分かります。
過酷な労働環境
公益社団法人 全日本トラック協会の「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2022」によると、全産業の平均年間所得額が489万円あるのに対して、大型トラックドライバーでは463万円、中小型トラックドライバーで431万円と低くなっています。一方、年間労働時間は全産業で2,112時間なのに対して、大型トラックドライバーで2,544時間、中小型トラックドライバーが2,484時間と長くなっており、過酷な労働環境が窺えます。
引用元:公益社団法人 全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2022」
また、長時間労働の割に低賃金という過酷な労働環境が、先に挙げた人手不足に繋がっていると考えられます。
燃料費の高騰
引用元:厚生労働省 報道資料「令和4年4月の宅配便の再配達率は約 11.7%」
国土交通省が公表している最新データによると、宅配の再配達率は11.8%です。およそ8個に1個は再配達することになっています。物流会社でも配達日時を指定できるサービスを展開するなど、再配達を減らす努力をしていますが、令和2年から3年間で再配達率は0.4%増えている状況です。何度も往復しなければいけないことから、燃料費が高騰し、物流会社の大きな負荷となっています。
【企業でできる】物流業界の課題への対応策
企業ができる物流業界の課題への対策は次のとおりです。
- 物流システムを導入する
- 採用基準を見直す
- 物流拠点を見直す
- 人材派遣・紹介サービスを活用する
配達ボックスの設置やドローン活用といった方法も考えられますが、配達ボックスは配達先に依頼する必要があり、またドローンは法整備を待つしかありません。そのため、ここでは企業ができる対応策のみを紹介します。
物流システムを導入する
現状の限られた人数で増加傾向にある物流量に対応するためには、機械化・自動化が欠かせません。たとえば物流倉庫での荷役作業を機械化したり、自動運転技術を活用したりするなどすればドライバーの負担を軽減できます。また、予約受付システムを導入すれば、荷役作業を行うバースが空くのを長時間待つ必要がなくなります。
こうしたシステムの導入によりドライバーの負担軽減が図れれば、「ドライバーはきつい」というイメージを払拭でき、ドライバーになりたい人を増やすことができるでしょう。
採用基準を見直す
これまでドライバーは経験者のみを採用していた企業は、育成前提で未経験者の採用を行うのも一つの手です。また、正社員だけでなく、アルバイトや契約社員など多様な働き方ができるように採用基準・条件の見直すと、求職者が応募するハードルを下げられます。
ただし、採用基準を見直したところで物流業界を希望する人が増えなければ意味がありません。ほかの産業と比較して魅力的に映る条件がなければ求職者は集まらないので、長時間労働の改善や福利厚生の充実を図るなど、労働環境の改善に取り組むことも必要です。
物流拠点を増やす
拠点が少ないと、拠点間が長くなるため、トラック1台あたりの稼働時間が長くなります。しかし、拠点を分散させると各拠点から拠点を繋ぐ距離・時間が短くなるため、配送効率を上げられます。これにより人材不足の解消はもちろん、全体の輸送コストの削減が期待できます。
また、拠点を分散させておけば、災害時でも被災地以外の物流を止めなくて済むというメリット享受できるでしょう。ただし、拠点の運営維持費や振り分け作業、注文ごとに出荷倉庫に指示が必要になるなど、コストの増加と処理が煩雑になる可能性は否めません。
人材派遣・紹介サービスを活用する
正社員として人が集まらない場合は、人材派遣サービスや人材紹介サービスを活用するのも一つの手です。人材派遣であれば最短31日以上から最長3年まで、人材が不足している間だけ受け入れも可能。派遣社員と企業の双方が合意すれば、直接雇用へも移行できます。
いずれのサービスにおいても企業が行わなければいけない採用活動を代行してくれるので、採用にかかる手間・コストの削減が可能。効率良くドライバーを採用できます。
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まとめ
ほとんどの業界で人手不足が加速していますが、なかでも物流業界の人手不足は深刻度が違います。EC市場の拡大や新型コロナウイルス拡大によるステイホームがその需要を拡大し、その便利さに気づいた人々はさらに宅配の活用を進めていくでしょう。需要の拡大に合わせて人手不足の深刻度も加速。スムーズな配達ができない未来はすぐそこまで迫っています。
人手不足の解消にはさまざまな方法がありますが、大きな資金を投入しなければいけないものもあります。そのため、まずは導入しやすい人材派遣・紹介サービスを活用して人手不足に歯止めをかけてみるのを検討してみてもよいのではないでしょうか。
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