物流業界における人手不足の原因5つ|現状や対策について説明
物流業界の企業において、人手不足は早急に解決すべき問題のひとつです。しかし、「人手不足を解消したいけれど、どのような策を講じればよいのかわからない」という方もいるでしょう。
そこで、本記事では物流業界の人手不足への対策を紹介します。また、人手不足の現状や原因についても説明しているため、物流業界の人手不足にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
目次
- 少子高齢化の進行
- 低賃金
- 長時間労働
- ネガティブなイメージ
- 宅配便の取扱件数の増加
- 物流システムを導入する
- 倉庫内に物流ロボットを導入する
- 労働環境を整備する
- 採用の幅を広げる
- モーダルシフトを導入する
- 人材派遣・紹介サービスを利用する
物流業界における人手不足の現状
現在、物流業界において人手不足は深刻化しており、解消すべき問題のひとつとなっています。有効求人倍率を見ると、人手不足かどうか判断可能です。有効求人倍率は、以下のように計算されます。
有効求人倍率 = 有効求人数 ÷ 有効求職者数
有効求人倍率が1を超えていると、求職者よりも求人数の方が多くなっている状態です。
ここでは、厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和4年9月分)参考統計表」から、ドライバーの有効求人倍率を見ていきましょう。それによると、ドライバーの有効求人倍率は2.46であり、人手不足であることがわかります。また、全産業の有効求人倍率は1.23であることから、ドライバーの人手不足の原因は労働人口の減少だけではないことがわかるでしょう。
物流業界で人手不足が起こっている原因
物流業界で人手不足が起こっている原因には、以下のようなものがあります。
- 少子高齢化の進行
- 低賃金
- 長時間労働
- ネガティブなイメージ
- 宅配便の取扱い数の増加
少子高齢化の進行
物流業界における人手不足の原因のひとつに、少子高齢化の進行が挙げられます。少子高齢化の進行によって労働者数が減少すると、必然的に物流業界で働く人員も減るため、人手が不足してしまうのです。
少子高齢化は年々進行しており、今後もさらに生産年齢人口が減少すると予測されています。生産年齢人口とは国内の生産活動の中心にいる人口であり、15歳以上65歳未満の人のことです。
総務省が公開している「令和4年 情報通信に関する現状報告の概要」によると、1995年をピークに生産年齢人口は減少しています。2050年の生産年齢人口の予測は2021年から29.2%も減少した5.275万人であり、今後はさらに若手の人材確保が難しくなると考えられています。
低賃金
物流業界は重労働が多いにも関わらず、低賃金である点も人手不足に影響しています。ここでは、トラックドライバーの年収を例に出して紹介します。
厚生労働省が発表している「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、トラックドライバーの平均年収は446万円です。全産業の平均年収は489万円であり、トラックドライバーは全産業よりも年収が低いことがわかります。
長時間労働
物流業界は残業時間が長く、労働時間が長い傾向にあります。ワークライフバランスを重視している人であれば、就職を躊躇したり、離職したりしてしまうでしょう。ここでは、トラックドライバーの労働時間を例に出して紹介します。
厚生労働省が発表している「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、トラックドライバーの労働時間の年間平均は202時間で、そのうち残業時間は28時間です。全産業の労働時間の年間平均は176時間で、そのうち残業時間は11時間です。トラックドライバーは全産業よりも労働時間が長いことがわかります。
ネガティブなイメージ
物流業界にネガティブなイメージを持っている人が多いことも、人手不足の原因です。荷役作業など身体的負担の大きい業務が多く、他の業界よりもネガティブなイメージを持たれやすくなっています。物流業界に興味があっても、ネガティブなイメージから就職を躊躇している人も多いでしょう。
物流業界に対するネガティブなイメージには、以下のようなものがあります。
- 長時間労働がきつそう
- 荷役作業がしんどそう
- 交通事故が多そう
- 施設環境が汚そう
物流業界にネガティブなイメージを持たれたままでは、なかなか人材は集まりません。そのため、人手不足を解消するためには、きつい・汚い・危険といった3Kのイメージを払拭するための取り組みが求められます。
宅配便の取扱件数の増加
近年、ECの普及によって宅配便の取扱い件数は年々増加しています。2022年に国土交通省が公開した調査結果「宅配便等取扱実績」によると、近年における宅配便の取扱個数の推移は以下の通りです。
【宅配便取扱個数の推移】
宅配便取扱個数(百万個) | 対前年度比 | |
---|---|---|
2017年 | 4,251 | – |
2018年 | 4,307 | 101.3 |
2019年 | 4,323 | 100.4 |
2020年 | 4,836 | 111.9 |
2021年 | 4,953 | 102.4 |
国土交通省「宅配便取扱個数の推移」をもとに作成
宅配便の需要の高まりによって物流業界の業務量が増えることから、人手不足につながっていると考えられます。今後も宅配便の取扱件数は増加すると予測されるため、人手不足を解消する取り組みが必要なのです。
物流業界の人手不足への対策
物流業界の人手不足への対策には、以下のようなものが挙げられます。
- 物流システムを導入する
- 倉庫内にロボットを導入する
- 労働環境を整備する
- 採用の幅を広げる
- モーダルシフトを導入する
- 人材派遣・紹介サービスを利用する
物流システムを導入する
物流システムとは、輸送や保管・荷役・包装・流通加工・情報といった物流の基本活動を包括的に管理できるシステムです。業務を効率的におこなえる機能が複数搭載されており、導入することで業務効率を改善できます。
手作業でおこなっていた業務をシステムによる管理に切り替えれば、時間の削減だけではなく、業務の正確性も期待できる点が魅力です。たとえば、在庫管理機能を活用すれば、リアルタイムで倉庫内の在庫の数や品質を確認できます。適切な仕入れの数量を判断できるため、廃棄ロスを最低限に抑えることが可能です。
倉庫内に物流ロボットを導入する
物流ロボットとは、ピッキングや仕分けなどの業務を自動でおこなうロボットです。単純作業であればロボットで自動化できるため、人間はロボットでは難しい細やかな作業に専念できます。
導入時に費用がかかるものの、人間の何倍ものスピードで業務をおこなえるため、少ない人員でも多くの荷物量に対応できるようになります。配送先によって商材を変更するなど個別配送によって異なる対応が求められる場合があり、物流ロボットによる完全自動化は難しくなっています。物流ロボットは人間との協働を前提としたものであるため、人間と協働することで大きな導入効果を生み出すことが可能です。
労働環境を整備する
育児や介護などさまざまな事情によって、働きたくても働けない人は多くいます。労働環境を整備して、そのような人でも働きやすい環境にすることで、新しい人材の確保や定着率の向上を期待可能です。
労働環境の整備例には、以下のようなものが挙げられます。
- 短時間勤務を許可する
- フレックスタイム制を導入する
- リモートワークを導入する
- 社内に託児所を設置する など
採用の幅を広げる
男性ばかりを採用するのではなく、採用の幅を広げることは人手不足を解消する方法のひとつです。労働人口の母数が減少している今、男性ばかりを積極的に採用しようとしていては、なかなか人は集まらないでしょう。
物流業界の業務には力作業が多く、これまで女性や高齢者には難しい業務であると考えられていました。しかし、業務を力作業とそのほかの業務に分類して割り振ることで、女性や高齢者でも業務をおこなうことは可能です。
モーダルシフトを導入する
モーダルシフトとは、自動車でおこなっている貨物輸送を鉄道や船舶による輸送に転換することです。鉄道や船舶は自動車よりも一度に輸送できる荷物量が多く、少ない人員で大量の荷物を輸送できます。労働人口が減少している今、ドライバー不足も問題となっているため、少ないドライバーで多くの荷物を運べる鉄道や船舶に注目が集まっています。
鉄道や船舶は自動車に比べると、排出する二酸化炭素の量が少なく、モーダルシフトの導入で二酸化炭素量の削減を期待できる点もメリットです。また、道路に走るトラックの量が減ることから、道路環境の改善にもつながります。
人材派遣・紹介サービスを利用する
人材派遣・人材紹介サービスの利用によって人材を確保することも、人手不足の解消に効果があります。人材派遣サービスとは派遣会社から人材を派遣してもらうサービスであり、人材紹介サービスとは自社の希望に合った人材を紹介してもらうサービスです。
面接日程の連絡や合否連絡は派遣会社や紹介会社がおこなうことから、採用担当者の工数を抑えられる点も魅力です。
少人数から大人数、短期から長期まで!繁忙期間・繁忙時間だけの人材手配も可能。フルキャストホールディングスの物流・倉庫・軽作業スタッフの人材派遣・紹介サービスの特長はこちら!
まとめ
少子高齢化の進行や低賃金・長時間労働などさまざまな要因によって、物流業界の企業の多くは人手不足に陥っています。人手不足の状態が慢性化すると、労働環境が悪化したり、離職率が高くなったりするため、人手不足を解消する策を早急に講じましょう。
物流業界の人手不足を解消する方法には、さまざまな方法があります。本記事で紹介した対策の中でも、特におすすめの方法は人材派遣・紹介サービスの利用です。求人広告を活用して採用活動をおこなう場合よりもリードタイムを短縮できるため、短期間で人手不足を解消できます。人手不足でお悩みの方はぜひ利用を検討してみてください。
人材をお探しの企業様はこちら
1990年の設立以来、
業界をリードする実力をぜひご活用ください。
企業のご担当者専用ダイヤル