トラックのドライバー不足の現状|原因や解に向けた対策をわかりやすく説明
少子高齢化が進み、どの業界でも人手不足が露見してきた今日。特に物流業界においてトラックドライバーの不足が深刻化しています。今回は、トラックドライバーが不足している原因や現状、今後も続く人手不足に対する解決策を紹介します。
目次
- 労働時間に対して賃金が低い
- 配送量が増加している
- 労働環境を改善する
- 物流システムを導入する
- 物流拠点を分散させる
- 人材派遣・紹介サービスを活用する
トラックのドライバー不足の現状
引用元:厚生労働省「国民のみなさまへ トラック運転者の仕事を知ってみよう」
厚生労働省によると、トラックドライバーの有効求人倍率は2019年12月を堺に減少に転じていますが、2021年の5月時点でも全職業の平均よりも高い数字を保ったままです。
また、同じく厚生労働省が公開している「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」によると、2022年10月時点の自動車運転の職業における有効求人倍率は2.46倍と高い数字を記録。トラックドライバーの求人数に対して求職者の数が足りない、つまり人手不足の状況が続いていることがわかります。
トラックのドライバーが不足している原因
トラックドライバーが不足している原因には次のことが考えられます。
- 労働時間に対して賃金が低い
- 配送量が増加している
トラックドライバー不足の大きな要因として、供給に対して需要が拡大していることが挙げられます。インターネット通販が当たり前と化した現代では、毎年ものすごい勢いでEC市場が拡大。それに伴い物流量が増えており、人材の供給が追いついていないという現状があります。
労働時間に対して賃金が低い
公益社団法人 全日本トラック協会の「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2022」によると、全産業の平均年間所得額が489万円あるのに対して、大型トラックドライバーでは463万円、中小型トラックドライバーで431万円と低くなっています。
一方、年間労働時間は全産業で2,112時間なのに対して、大型トラックドライバーで2,544時間、中小型トラックドライバーが2,484時間と長くなっています。このことから、トラックドライバーの労働環境の悪さが窺えるでしょう。
引用元:公益社団法人 全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2022」
このように長時間労働の割に低賃金であることが、トラックドライバー不足に拍車をかけている原因として挙げられます。
配送量が増加している
経済産業省・国土交通省・農林水産省が連盟で公開している「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」によると、EC市場の規模が拡大するにつれて、宅配便の取り扱い実績も増加。2010年から右肩上がりで増加していますが、特に新型コロナウイルス防止対策によりステイホームが敢行された2020年には急速な伸び率を記録しています。
引用元:2022年9月2日経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
その一方で、トラックドライバーは不足していることが現場を圧迫。「トラックドライバーはきつい」というイメージが定着していることも、人材不足を後押しする原因となっています。
トラックのドライバー不足の解消に向けた対策
トラックドライバー不足を解消するためには次のような対策が必要です。
- 労働環境を改善する
- 物流システムを導入する
- 物流拠点を分散させる
- 人材派遣・紹介サービスを活用する
何よりもまずは労働環境の改善が急がれます。きつい思いをしたくないという人が大半なので、「トラックドライバー=きつい」というイメージが払拭できなければ人手不足の解消は難しいでしょう。
労働環境を改善する
トラックドライバー不足の一番の原因とも言えるのが、長時間労働・低賃金です。この労働環境を改善しない限り、人手不足は続くため、次のような改善策を講じる必要があります。
- 労働時間の最適化
- 給与を上げる
- 運行管理・事務スタッフの充実
物流拠点を分散させるなどして、労働時間の最適化を図らなければ、ドライバー1人あたりの負担が大きくなります。それにも関わらず給与は低いままだと不平・不満が出て、離職率が高まるでしょう。また、ドライバーが運行管理や事務処理などを兼任しているケースも多いため、事務関係のスタッフを雇ってドライバーの負担軽減を図ることも重要です。労働環境を改善すれば、ワークライフバランスを取りやすくなるため、女性ドライバーの応募が増えることも期待できます。
物流システムを導入する
現状の限られた人数で増加傾向にある物流量に対応するためには、機械化・自動化が欠かせません。たとえば物流倉庫での荷役作業を機械化したり、自動運転技術を活用したりするなどすればドライバーの負担を軽減できます。
また、予約受付システムを導入すれば、荷役作業を行うバースが空くのを長時間待つ必要がなくなります。これによりドライバーの負担軽減が図れれば、「ドライバーはきつい」というイメージを払拭でき、ドライバーになりたい人を増やすことができるでしょう。
物流拠点を分散させる
拠点が少ないと拠点間が長くなるため、トラック1台あたりの稼働時間が長くなります。しかし、拠点を分散させると各拠点を繋ぐ距離・時間が短くなるため、配送効率を上げられます。これにより人材不足の解消はもちろん、全体の輸送コストの削減が期待できます。
また、拠点を分散させておけば、災害時でも被災地以外の物流を止めなくて済むというメリット享受できるでしょう。ただし、拠点の運営維持費や振り分け作業、注文ごとに出荷倉庫に指示が必要になるなど、コストの増加と処理が煩雑になる可能性は否めません。
人材派遣・紹介サービスを活用する
正社員として人が集まらない場合は、人材派遣や人材紹介サービスを活用するのも一つの手です。人材派遣であれば最短31日以上から最長3年まで、人材が不足している間だけ受け入れも可能。派遣社員と企業の双方が合意すれば、直接雇用へも移行できます。
いずれのサービスにおいても企業が行わなければいけない採用活動を代行してくれるので、採用にかかる手間・コストの削減が可能。効率良くドライバーを採用できます。
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ドライバーの負担を軽減するなら中継輸送も
中継輸送とは、中継地点でドライバーが交代する輸送方法です。拠点間の途中でドライバーが交代することにより、ドライバー1人あたりの負担軽減が見込めます。中継輸送には次の3つの方式があります。
- ドライバー交替方式
中継地点でドライバーがトラックを乗り換えて交替する
- トレーラー・トラクター方式
中継地点でトレーラーのヘッド部分を交換する
- 貨物積み替え方式
中継地点で貨物を積み替える
他社からの協力が得られるか、自社車両が戻ってくるまでに時間がかかるなど、まだまだ課題の多い方法ですが、導入できればドライバーの負担軽減に大いに貢献してくれるでしょう。
まとめ
ドライバーはきついし、待遇が悪いというイメージを払拭できなければ人手不足の解消は望めません。その間にも物流量は増え続けるため、対策は急務です。システムの導入や物流拠点の分散はまとまった資金が必要であるため、即決は難しいでしょう。それに比べると、人材派遣・紹介サービスは比較的導入しやすい方法と言えます。登録すればすぐにでも人材を探してくれるので、まずは人材派遣・紹介サービスで足りない人数を補充することをおすすめします。
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