技術系派遣とは?企業が活用するメリット・デメリット、派遣会社を選ぶポイントを紹介
人手不足が問題となっている昨今。特にIT系の人材に関しては需要に対して供給が追いついていないのが現状です。そこで注目を集めているのが技術系派遣(エンジニア派遣)です。人材を流動的に確保できる手法として製造業やIT企業からの需要が高まっています。
今回は技術系派遣を活用するメリット・デメリットをはじめ、受け入れる際の費用の目安を解説。派遣会社を選ぶ際のポイントも紹介しているので、技術系派遣を検討している人は参考にしてみてください。
目次
- 採用・教育コストを抑えられる
- チーム派遣であれば管理コストもある程度抑えられる
- 即戦力となる人材を確保できる
- 最短31日から受け入れできる
- 定着率が低い
- 経験が浅い技術者もいる
- 成果物の保証はない
- 信頼性・実績
- 資格保有者の割合
- フォロー体制の手厚さ
- 業種・業界の理解度
技術系派遣とは
技術系派遣とはエンジニアなどの技術者を派遣社員として企業が受け入れることです。エンジニア派遣とも呼ばれます。技術系派遣は機電系とIT系に大別され、主に短期的に技術者を受け入れたいメーカーやIT企業で活用されています。
技術系派遣の種類
技術系派遣をはじめ、人材派遣には「登録型」と「常用型」の2種類があり、両者には次のような違いがあります。
登録型 | 常用型 | |
---|---|---|
派遣会社における雇用形態 | 有期雇用 | 常用雇用(正社員・無期雇用社員) |
派遣先(同一部署)での雇用期間 | 最長3年 | 3年以上も可能 |
利用目的 | 短期的な人材補填 | 上流工程などにおける長期の人材補填 |
常用型は専門性やスキルが高い人材が多く、派遣会社と派遣社員が正社員または無期雇用社員として雇用契約を結んでいるので、派遣先がない間でも給料が支払われます。人材派遣には「同一事業所・同一部署において、同じ派遣社員を受入できるのは最大3年までである」という派遣法3年ルールがありますが、常用型は3年を超えて受け入れることが可能です。
登録型は、派遣先が決まっている間だけ派遣会社が派遣社員と雇用関係を結びます。まず派遣先企業は派遣会社と「派遣契約」を結ぶことになります。その後、派遣契約における派遣期間に基づいて派遣会社と派遣社員で雇用契約を結ぶのです。なお、1ヶ月から6ヶ月単位で契約の更新を行うのが一般的です。例外を除き3年ルールが適用されるため、同一事業所・同一部署(組織単位)で同一の派遣社員を受け入れるのは3年が限度となります。
技術系派遣を活用するメリット
企業で技術系派遣を活用すると、次のようなメリットを享受できます。
- 採用・教育コストを抑えられる
- 即戦力となる人材を確保できる
- 31日から受け入れできる
技術系人材は今や引く手数多です。多くの企業で人手不足となっているため、採用活動にコストをかけたからといって必ず採用できるわけではありません。その点、人材派遣であれば、自社で採用活動をせずとも人材を確保してくれます。また、企業で経験を積んだ人材を派遣してもらうことが可能なので、教育コストがかからないうえに即戦力としての活躍が期待できます。さらに最短31日から受け入れできるので人手が足りない期間のみ補填することができ、人手を余らせて不要な人件費が発生することも防げます。
採用・教育コストを抑えられる
少子高齢化が進む昨今では技術者が不足しており、各企業で人材の争奪戦が起きています。さまざまな採用手法が確立されており、お金をかけなければよい人材が手に入らなくなっています。一方で、技術系派遣を利用すれば派遣会社が技術者を確保してくれるため、採用コストの削減が期待できます。また、人材育成や教育訓練などに関しても派遣会社が担当してくれるため、従来よりも教育にかかるコストと手間を抑えられます。
チーム派遣であれば管理コストもある程度抑えられる
自社で受け入れる派遣社員が増えると、業務内容によって個別指導や指示・質問への対応が必要になり、管理コストがかかります。派遣社員を利用することで効率化や自社社員の負担軽減を図りたいのに、むしろ業務を圧迫し、負担が増える事態になることも考えられます。
人材派遣である程度の人数の受け入れが決まっている場合は、チーム派遣の活用も検討してみましょう。チーム派遣であれば、派遣社員のリーダーからトップダウンでチームに指示や共有事項が行き渡るので、自社社員の負荷増加を防止できます。チーム内のフォローや新人メンバーの教育も派遣社員のリーダーが行ってくれるので、自社の現場管理コストをある程度抑えることが可能です。
即戦力となる人材を確保できる
技術者系の派遣会社に登録している技術者のなかには、数々の企業を渡り歩き、さまざまな事案を経験した人や、それに見合ったスキルを身に付けいている人もいます。そのため、即戦力としての活躍が期待でます。また、そうした人たちが蓄積してきたノウハウと、自社のノウハウをかけ合わせることで技術革新が起こる可能性も考えられます。
最短31日から受け入れできる
最短31日以上であれば、人材が不足しているときだけ採用できるのも技術系派遣のメリットです。繁忙期や期間限定のプロジェクト、また急に退職者が出た場合など、人手が不足しているときにだけ技術系派遣を活用すれば、閑散期に人材過多になり余計な人件費がかかることを避けられます。
ただし、派遣会社といえども最適な人材を必ず派遣してもらえるとは限りません。困ったときにすぐ人材を確保できるようにするためにも、常日頃から派遣会社の担当者とこまめに連絡を取り合い、希望条件に合った人材がいるかどうかの確認を欠かさないようにしましょう。
技術系派遣を活用するデメリット
技術系派遣を受け入れる際には次のようなデメリットがあることも留意しておきましょう。
- 定着率が低い
- 経験が浅い技術者もいる
- 成果物の保証はない
派遣社員は3~6ヶ月ごとに契約の更新があります。契約の更新は派遣社員と企業がそれぞれ希望したうえで行われるものなので、派遣社員に不平・不満が溜まっていたり、ライフスタイルが変化したりすると、更新が望めない可能性も出てきます。
また、派遣社員のなかには企業に入社する前に経験を積みたいと考えている人もいます。そのため、経験が浅い人材もいる点には注意が必要です。
定着率が低い
一般的に契約期間がある派遣社員は、正社員よりも離職しやすい傾向にあります。また、人材不足の昨今、特に技術系の人材は引く手数多なため、契約更新の希望を拒否される可能性も否めません。ノウハウも蓄積しづらいうえに再度、人材確保のための手続きなどが発生するため、派遣先が希望するのであれば派遣社員にも契約を更新してもらえるような対策を取る必要があります。
- 就業後もフォロー体制がしっかりしている派遣会社を選ぶ
- 壁を感じないように自社社員と同様に接する
- 長期的な人材補填を望む場合は、紹介予定派遣や直接雇用を検討する
経験が浅い技術者もいる
派遣会社に登録している技術者のなかには、複数の職場を経験してエンジニアとしての技術を磨きたいと考える向上心の高い人や、逆に新卒で会社に縛られずに派遣で経験を積もうと考えている人がいます。一概に技術系派遣といえども、スキルや知識には差があることを忘れてはいけません。
また、なかには子育てなどで就業時間に制約がある人もいます。そのため、派遣を活用する際に「即戦力がほしい」「フルタイムで働ける人がよい」などの希望がある場合は、派遣会社との打ち合わせ時に希望条件をしっかり伝えるようにしましょう。
成果物の保証はない
派遣会社と派遣社員の契約はあくまで雇用派遣であり、「成果物」に対する契約ではない点に注意が必要です。派遣料金に含まれる派遣社員への賃金は「労働力」に対するものなので、成果物が完成しなかった場合に派遣料金を支払わない、または値下げを要求することはできません。思うような結果が得られなかった場合でも派遣料金はしっかり支払いましょう。
技術系派遣社員の受け入れにかかる費用目安
株式会社リクルートの調査研究機関『ジョブズリサーチセンター(JBRC)』が行った「-2022 年 11 月度 派遣スタッフ募集時平均時給調査-」によると、関東・東海・関西の三大都市における技術系派遣社員の平均時給は2,179円です。オフィスワーク系やサービス系、クリエイティブ系などと比べると技術系派遣は専門性が求められるため、時給は高い傾向にあります。
なお、派遣会社に支払う派遣料金なかに派遣社員の給与は含まれているため、派遣先企業から直接、派遣社員に給与を支払うことはありません。派遣料金の内訳は、「派遣スタッフの給与7割+派遣会社のマージン3割」が一般的です。技術系派遣の賃金を計算すると1日8時間換算で17,432円。マージンも含めた派遣料金では1日あたり24,902円になります。ただし、これはあくまで目安であり、職種・地域・資格の有無などによっても時給は変動します。
技術系派遣会社を選ぶ際のポイント
技術系派遣会社を選ぶ際には次のようなポイントに注目しておきましょう。
- 信頼性・実績
- 資格保有者の割合
- フォロー体制の手厚さ
- 業種・業界の理解度
信頼性・実績
せっかく派遣してもらった人材が自社にとって合わない人だった場合、数ヶ月を無駄にする可能性がでてきます。そのため、次のような点を確認して派遣会社の信頼性・実績を見極めましょう。
- 何年派遣業を行っているのか
- 何社に技術者を派遣してきたのか
- ISO・ISMSなど、「情報セキュリティマネジメントシステム」の認証を取得しているか
- 「優良派遣事業者認定」を受けているか
長年派遣会社を続けられるということは、それだけ利用者が多いということです。信頼できるパートナーとして企業が選んでいることが窺えるため、事業年数と技術者を派遣した会社の数は注目しておきたいところ。また、多くの企業情報や個人情報を取り扱う派遣会社はセキュリティ面でも信頼性が問わるため、セキュリティに関する認証を取得しているかどうかもチェックしておくとよいでしょう。
資格保有者の割合
即戦力がほしい企業は、登録人材に資格保有者が多いかどうかも確認しておくことをおすすめします。派遣会社に登録している技術者のなかでも知識・スキルに差があります。技術者の総数が多くても未経験者や経験が浅い人を派遣されると教育に時間がかかり、逆に手間が増えてしまいます。その点、資格保有者が多い派遣会社であれば、その中から一定の技術力がある人材を派遣してもらえる可能性が高まるので、即戦力としての活躍が期待できるでしょう。
フォロー体制の手厚さ
技術者の離職率に繋がるので、就業後に派遣会社がどのようなフォロー体制を敷いているかも大切なポイントです。技術者を派遣するだけで何もフォローがない場合、悩みや不安などを技術者が一人で抱え込むこともあります。誰にも相談できずに思い詰めてしまうと早期離職につながるため、派遣社員と企業の双方にとってデメリットしかありません。
無料のスキルアップ講座があったり、託児所があったりとフォロー体制は派遣会社によってさまざまです。フォロー体制が整っている派遣会社の方が技術者のモチベーションを保ちやすい傾向にあるため、契約前に派遣会社のフォロー体制にも注目するようにしましょう。
業種・業界の理解度
業種・業界に対する派遣会社の営業担当者の理解度によって、自社に最適な技術者を派遣してもらえるかが決まるといっても過言ではありません。そのため、できれば幅広い業界・業種を取り扱う派遣会社ではなく、自社の業界・業種に特化した派遣会社を選ぶのがおすすめです。さらに、より最適な人材選定を期待するのであれば、特化型の派遣会社のなかでも、特に業界事情に詳しい経験豊富な担当者に相談するのが望ましいでしょう。
まとめ
人手不足が叫ばれているなかでも技術者は特に人材が足りていません。そんななか、長期の病欠などで一定期間にわたって欠員が出てしまう場合など、人手がどうしても足りなくなるといった状況では、人材派遣サービスを利用して該当期間のみ人材を補填することができます。
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