派遣管理とは?派遣先企業に必要な担当者や対応を紹介
派遣先企業には「派遣管理」を実施する必要があります。そのため、人材派遣を利用する際に、派遣先企業は派遣社員を受け入れて業務に従事してもらうだけで何もしなくてもよい、というわけではありません。
今回は派遣先企業が行うべき「派遣管理」について詳しく解説します。また、派遣社員を受け入れる際に派遣先企業に設置すべき担当者についても紹介しているので、本記事で派遣会社を利用する前に必要な知識を仕入れておきましょう。
目次
- 勤怠管理
- 業務管理
- 就業環境の整備
- ハラスメント・苦情対応
- 派遣先管理台帳とは
- 契約内容の管理
- 派遣先責任者
- 指揮命令者
- 苦情処理担当者
派遣先企業に求められる派遣管理の項目
人材派遣には、派遣会社・派遣社員・派遣先企業があり、上記のように派遣会社と派遣社員は労働契約を結び、派遣先企業と派遣会社は派遣契約を結びます。派遣先企業は派遣社員に対して指揮・命令を行いますが、ほかにも派遣管理といって次の5項目において責任が生じます。
- 勤怠管理
- 業務管理
- 就業環境の整備
- ハラスメント・苦情対応
- 契約内容の管理
勤怠管理
派遣社員の出退勤・欠勤状況の管理は派遣先企業の役目です。派遣社員は時給のケースがほとんどなので、就業時間に応じて派遣会社に支払う「派遣料金」も変動。勤怠管理は月に1回以上、派遣会社に通知しなければいけないため、派遣社員の労働・休憩時間をはじめ、有休消化などの勤怠管理を適切に行う必要があります。派遣料金に関係してくることなので、申請された内容と勤務実績に誤りがないかしっかりチェックしておきましょう。
業務管理
業務に関する指示・指導も派遣先企業が行います。業務指導にあたる担当者やマニュアルを用意しておくとスムーズに業務をスタートできるようになるでしょう。また、派遣社員は派遣契約に定められている業務以外の業務を行うことは法律で禁止されています。そのため、契約外の業務を行っていないかどうかもこまめに確認しておきましょう。
就業環境の整備
派遣先企業には派遣社員の安全・健康の確保にも責任があります。次のような点に気を付けて、派遣社員が快適に就業できる環境を整えられるよう心がけましょう。
- 休憩時間の確保
- 作業スペースの確保
- 最適な温度を保つ空調管理
- 室内の明るさ
- 福利厚生施設の利用
- 災害時の避難方法・安否確認のルールを伝える
要は、「自社社員と待遇に差をつけないことを意識しましょう」ということです。
ハラスメント・苦情対応
派遣先企業には自社社員と同様に派遣社員においても、セクシュアルハラスメントやマタニティハラスメント、パワーハラスメントなどのハラスメント被害を防止する義務があります。派遣社員からハラスメント・苦情の申し出があった場合、派遣会社に連絡するとともに速やかに解決を図らなければいけません。
まずは派遣社員が相談しやすいよう、担当者を選任しましょう。誰に相談してよいか分からない状況だと一人で抱え込んでしまい、早期に離職してしまう可能性が高くなります。派遣社員・派遣先企業の双方にとってよくない結果となるので、担当者を据えて相談しやすい環境を整えることが大切です。派遣社員から受けた相談内容や苦情の対応状況は、派遣先管理台帳などに記録し、派遣期間終了後3年間は保管しておきます。
派遣先管理台帳とは
派遣先管理台帳とは労働日、労働時間など、派遣社員の就業実態を的確に把握するために記入する台帳のことです。派遣社員の氏名や就業日、各就業日の始業・終業・休憩時間、業務内容などを記載します。派遣会社が雇用管理を把握するために必要な資料でもあるため、派遣先管理台帳は派遣社員ごとに作成・保管しておく必要があります。
契約内容の管理
派遣社員の契約内容は社員ごとに異なります。契約内容に反することは依頼できないため、トラブルを防ぐためにも社員ごとの契約内容についてもしっかり把握しておく必要があります。同じく抵触日(派遣期限が切れる翌日)の管理も重要です。派遣会社と派遣契約を結ぶ際には、抵触日に関する書面を送っておく、抵触日の通知義務があります。抵触日を超えて就業させることはできないので、派遣社員・派遣先企業のどちらも把握しておかなければいけません。
登録型派遣の場合、同一企業・同一部署での就業期間は原則、最長3年です。1ヶ月から半年のペースで個別契約を更新するかどうかの確認を行います。3年以上の雇用を望む場合は、正社員・契約社員として直接雇用するなど、派遣社員の雇用の安定化を図る必要があります。なお、常用型派遣の場合は「3年しばり」はありません。
派遣先企業に必要な派遣管理担当者
派遣先企業は派遣社員の適正な就業を管理するために、次の役割を担う者を選任する必要があります。
- 派遣先責任者
- 指揮命令者
- 苦情処理担当者
派遣先企業では派遣社員を管理する全体責任者、業務の指導を行う担当者、苦情などの相談役の最低3人の選任を行うことになります。
派遣先責任者
派遣先責任者とは、派遣社員の適正な就業を確保するため、派遣先企業から選ばれる責任者のことです。指揮命令者・苦情処理担当者への指示も行います。事業所単位で派遣社員100名につき1人を選任します。派遣法や労働基準法などの規定から派遣契約の内容などを周知する役割があるため、労働関係の法令に関する知識がある人が適任です。
指揮命令者
指揮命令者とは、派遣社員に業務指示を出す役割の人のことを言います。定期的に派遣先責任者と派遣社員についての情報共有を行い、トラブルがある場合は問題解決に努めます。派遣社員と同一部署に所属する人で、業務内容を理解し指示できる人が適任です。ただし、いつでも連絡が取れる場合は、同一部署である必要はありません。また、派遣先責任者との兼任も可能。勤怠管理や就業環境の整備も指揮命令者が担います。
苦情処理担当者
苦情処理担当者は、派遣社員からの就業に関する苦情に対応する担当者です。苦情やハラスメントの報告を受けたら速やかに関係者と派遣会社に連絡し、解決に努めます。そのため、人事・労務管理などについて知識がある人が適任です。
派遣先責任者が兼任することはできますが、就業トラブルにおいて指揮命令者が関係してくることも考えられるため、指揮命令者との兼任は望ましくないとされています。苦情やハラスメントの報告があった場合は、派遣先管理台帳にその内容と自社が行った対応を記載する役目も担います。
派遣先企業が抱えやすい悩み
派遣雇用をする際に、派遣先企業が抱えやすい悩みは次の2つに大別されます。
- 派遣管理がうまくいかない
- 派遣会社への事務処理に手間と時間がかかる
たとえば派遣社員の状況を把握しきれなかったり、個別契約書・派遣先管理台帳などの管理が煩雑になったりなど派遣管理がうまくいかないことが考えられます。また、複数の派遣会社を利用している場合は、各社で勤怠管理方法や契約書フォームが異なるため、事務処理に時間がかかるといったことも派遣先企業のよくある悩みです。
派遣管理に関する悩みの解決策
派遣先企業が抱えやすい派遣管理に関する悩みは、派遣管理システムの導入によって解決できる可能性があります。
システムを導入することでペーパーレス化が図れるうえに、派遣社員の情報を一元管理できるようになるため業務負担が大幅に減ります。ただし、自社に最適なシステムを導入できなければ、操作方法を修得するまでに時間がかかったり、定着せずに終わったりするのでシステム選びは慎重に行う必要があります。
まとめ
派遣会社は派遣社員を受け入れたら、適切な就業のために派遣管理を行う必要があります。派遣管理は勤怠管理、就業管理、就業環境の整備など、対応することが多く、人手不足を解消するために導入した派遣雇用で業務負担が増えることも考えられる点には注意が必要です。
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