派遣禁止業務とは?定められた理由や罰則、例外の業務を徹底解説
さまざまな企業や業種で、派遣労働者は活躍しています。しかし派遣労働者を守るための労働者派遣法において、禁止されている業務が存在します。ルールを守らなければ企業に罰が科されるのはもちろん、社会的信用が失われてしまうでしょう。
本記事では、派遣禁止業務とその内容、特例や罰則について詳しく解説します。
目次
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 病院・診療所などにおける医療関連業務
- 弁護士・社会保険労務士などの士業
派遣禁止業務とは
派遣禁止業務とは、労働者派遣法において明記された、派遣労働者に従事させてはいけない業務のことです。詳細は「派遣禁止業務の詳細」で解説しますが、以下の5つが派遣禁止業務に指定されています。
- 湾港運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 病院・診療所などにおける医療関連業務
- 弁護士・社会保険労務士などの士業
上記の仕事に従事させた場合は罰則の対象となるため、派遣先企業は絶対に従事させないように注意してください。
派遣禁止業務が定められた理由
派遣禁止業務が法律で定められた理由には、大きく分けて3つの理由があります。
- 業務の専門性が高い
- 該当の業務を規制する法律がある
- 事故などの危険性が高い
医療関係業務や士業関係の業務は、高い専門性が必要である、それに伴った責任が付きまといます。派遣労働者に負わせるには非常に重いため、法律で禁じられているのです。
湾港運送業務に関しては、湾港労働法という労働者派遣法とは別の法律で規制されており、東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・関門港での業務が禁止されています。
同様に建設業務は建設労働者の雇用の改善等に関する法律、警備業務に関しては警備業法で規制されています。
以上の理由から、派遣禁止業務が定められているのです。
派遣禁止業務の詳細
派遣禁止業務の5つについて、それぞれどのような仕事なのか、なぜ禁止されているのかをさらに深く解説していきます。
港湾運送業務
港湾運送業務とは、埠頭にある貨物の輸送や保管、荷役・荷捌きなどを行う業務です。
派遣が禁止されている理由には、港湾労働法において、港湾労働の実情を踏まえた特別な労働力需給調整制度として「港湾労働者派遣制度」が導入されていることが挙げられます。
建設業務
建設業務は、準備を含む建築土木現場における作業のことを言います。建設業独特の体制として、重層的な下請関係で業務を行い、指揮命令権は一箇所に集中するよう「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」で規定されています。
派遣禁止となっている理由としては、建設労働者の雇用の安定を図るために、建設労働者の実情を踏まえたうえで独自に「建設業務労働者就業機会確保事業制度」が設けられているためです。
警備業務
警備業務は、事務所や住宅をはじめとした施設の警備や要人警護などを行う仕事です。
警備業法と呼ばれる法律が施行されており、請負形態で業務を処理することが規定されています。派遣労働者を警備業につかせた場合、業務が正常に行われない可能性もあるため、労働者派遣法で禁止されています。
病院・診療所などにおける医療関連業務
病院や診療所における医療関連業務において、禁止されている業務は以下のとおりです。
医師、歯科医師、薬剤師の調剤、看護師、准看護師、保健婦、助産婦、栄養士など |
ただし、紹介予定派遣や産休・育休、介護休業中の労働者の代替業務としては可能とされています。
弁護士・社会保険労務士などの士業
労働者派遣法において禁止されている士業は以下の通りです。
弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士など |
ただし士業でも、公認会計士や税理士の業務の一部では派遣可能なものもあります。
労働者派遣で派遣禁止業務以外に禁止されている事項
労働者派遣において禁止されているのは派遣禁止業務だけではありません。以下の5つも労働者派遣法において禁止されています。
【労働者派遣で派遣禁止業務以外に禁止されている事項】
- 日雇派遣の原則禁止
- 二重派遣の禁止
- 離職労働者の1年以内の派遣受け入れ禁止
- 派遣先企業が派遣スタッフを特定する行為の禁止
- 派遣先事業所単位および組織単位(個人単位)での3年を超えた派遣の受け入れ禁止
二重派遣や多重派遣受け入れ前の派遣労働者に対する事前面接なども禁止事項です。
派遣禁止業務に就業させなければ違反にならないというわけではありません。上記の項目を含め、派遣労働者の就業には細心の注意を払いましょう。
派遣禁止業務に違反した場合の罰則
派遣禁止業務のルールを破った場合、1年以下の懲役又は百万円以下の罰金が科されます。労働者派遣法においては2番目に重い処罰です。対象は派遣元です。
また派遣元に対しては業務改善命令や事業停止命令が、派遣先には是正勧告が出され、従わない場合には企業名が公開されることとなっています。懲役や罰金だけではなく、企業としての信頼も地に落ちてしまうため、派遣禁止業務に違反しないようにしなければなりません。
まとめ
派遣禁止業務は、専門性の高さや責任の重さなど、しっかりとした根拠を元に定められています。これを企業側が破ってしまうと、派遣労働者に不利益が生じるだけではなく、企業としての社会的信用も落ちてしまいます。バレないだろうと安直に考えず、しっかりと法律を遵守する必要があるでしょう。
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