企業が人材派遣を活用するメリット・デメリットとは?注意点も解説
正社員として人を採用できない企業や働き方の変化に対応するために、人材派遣を導入する企業が増えつつあります。しかし、人材派遣のメリットがわからず、人材確保の方法として採用しない企業も少なくありません。
本記事では人材派遣のメリットとともにデメリットを解説します。人材派遣活用時の注意点もあわせて紹介します。
目次
- 業務効率化
- 採用コストの削減
- 人材不足の解消
- 採用コストをゼロにはできない
- 帰属意識が薄い傾向にある
- 任せられる業務に制限がある
- 派遣の種類を理解し契約する
- 一般派遣
- 紹介予定派遣
- 人材派遣が利用できない業種がある
- 信頼できる人材派遣会社を選ぶ
人材派遣とは
人材派遣とは、受け入れ先企業が希望するスキルや経験を持った人材を派遣会社から派遣してもらうシステムです。直接雇用や請負との違いは以下の通りです。
人材派遣 | 直接雇用 | 請負 | |
---|---|---|---|
契約目的 | 一時的な人材確保 | 恒常的な人材確保 | 業務の完成 |
契約期間 | 最短31日からで3ヶ月毎に更新 | なし | 業務が完成し成果物を得られるまで |
指揮命令権の所在 | 派遣先 | 雇用主 | 請負事業者 |
人材派遣と他の契約形態を比較すると、派遣受入期間に制限があるものの直接雇用の人材と同様の働き方をしてもらえるという柔軟性があります。恒常的に人手を確保したいわけではないものの、繁忙期のみなど一定の期間で人材を確保したい場合は、人材派遣を活用しましょう。
企業が人材派遣を活用するメリット
企業が人材派遣を活用するメリットとして、主に以下の4点が挙げられます。
- 業務効率化
- 採用コストの削減
- 人材不足の解消
それぞれ詳しく見ていきましょう。
業務効率化
ルーチンワークのように覚えれば誰でもできるような業務を派遣社員に任せることで、自社社員でしかできない業務に人材を割り当てられます。これによりクリエイティブな業務やコア業務などが進められるようになり、残業時間の削減にも貢献するでしょう。
採用コストの削減
採用コストが削減できるのも、人材派遣を利用するメリットです。募集から採用までの人材採用にかかる費用をカットできるほか、教育にかかるコストも削減できます。
また雇用保険や健康保険、厚生年金保険や給与計算は雇用主である派遣元の会社が対応するため、受け入れ先企業はこれらに付随する雇用管理の手間が省けます。ただし、以下の項目は派遣先企業の責任で管理しなければならないため注意が必要です。
- 労働時間管理
- 危険防止措置
- 健康障害防止措置
人材不足の解消
派遣人材を活用することで、企業の慢性的な人材不足を解消できるでしょう。産休や育休などによる一定期間の欠員が発生した場合にも、派遣先企業が希望するスキルや経験を持った人材を手早く確保することができます。
同じ派遣労働者を迎え入れられるのは最大3年間という法律上の制限はあるものの、社員や取引先に負担をかけることなく人材不足を解消できます。
企業が人材派遣を活用するデメリット
メリットが多い人材派遣ですが、デメリットが存在することも忘れてはいけません。代表的なデメリットは以下の3点です。
- 採用コストをゼロにはできない
- 帰属意識が薄い傾向にある
- 任せられる業務に制限がある
採用コストをゼロにはできない
派遣人材を受け入れるための採用コストは安く抑えることができますがゼロにはできません。派遣労働者を受け入れるためには派遣元に対して派遣料を支払わなければならないのです。
派遣料とは、直接雇用をした従業員の給料よりも高めに設定されていることがほとんどです。ただし、各種保険や交通費などは派遣元負担であるため、総合的に考えると人材を採用するより派遣のほうがコストを抑えられます。
帰属意識が薄い傾向にある
派遣労働者の帰属意識が薄い傾向にあることも、人材派遣を利用するデメリットです。派遣社員の中には、決められた業務だけを粛々とこなすだけの人もいます。同期という存在がいないことも珍しくなく、結果的に帰属意識に結び付かないのです。
帰属意識を持たせるには、一緒に働くメンバーや上司と環境を整える必要があります。少しでも長く働いてもらうには、企業・部門がメンバーの一員として派遣労働者を迎え入れましょう。
任せられる業務に制限がある
基本的にはスキルが身についた人材を迎え入れられますが、任せられる業務は限定的です。コア業務のような企業の中核となる事業は当然ながら任せられません。
これとは別に、派遣労働者ができないと規定されている業務もあります。すべての業務を任せられるわけではない点に注意しましょう。派遣労働者が従事できない業務は「人材派遣が利用できない業種がある」を参考にしてください。
企業が人材派遣を活用する際の注意点
企業が人材派遣を活用する際は、以下の点に注意しましょう。
- 派遣の種類を理解し契約する
- 人材派遣が利用できない業種がある
- 信頼できる人材派遣会社を選ぶ
人材派遣活用を検討しているのであれば、知っておくべき内容です。きちんと確認しときましょう。
派遣の種類を理解し契約する
ひと口に派遣と言っても3種類存在し、派遣元と派遣先が取り交わす契約によって分かれています。
一般派遣
派遣先と派遣元の契約に従って、派遣元が有期雇用契約を締結している派遣労働者を受け入れる方法。期間制限があるため、継続して依頼できない反面、人材の登録が多いため無期雇用派遣よりもコスト削減ができる。
紹介予定派遣
派遣先企業での直接雇用を前提に契約する派遣契約。ミスマッチ防止につながるため、人材採用のひとつとして検討されることもある。派遣期間は6ヶ月と、一般派遣よりも短いため、人材の見極めが重要。
人材派遣が利用できない業種がある
人材派遣ができない業種があることも忘れてはいけません。労働者派遣法において、以下の5つが指定されています。
【人材派遣が利用できない業種】
- 湾港運送業務
- 建築業務
- 警備業務
- 医療業務
- 士業
これらの業務に従事させた場合、以下の4段階のうちいずれかの罰が科されます。
- 1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金
- 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
- 30万円以下の罰金
派遣禁止業務を行わせた場合、2番の罰則が科されます。また、これとは別に派遣元企業に対して業務停止命令が下される可能性もあります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事:派遣 禁止 業務
信頼できる人材派遣会社を選ぶ
人材派遣会社を選ぶのも慎重になりましょう。信頼できる企業を選ぶことで、派遣される人材も安心して受け入れられます。ただし、大手だから安心できるとは限りません。大手人材派遣会社とそれ以外の会社では取り扱える案件が異なることもあるためです。
信頼できるかどうかの評判や実績の調査と同時に、求めている案件に対応してもらえるかも確認しましょう。
まとめ
人材派遣を利用すると、いくつかのメリットを受けられます。しかし、デメリットや注意点があることも忘れてはいけません。人材派遣をうまく活用できれば今まで抱えていた課題の解決や事業拡大に貢献できるかもしれません。
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