派遣社員を受け入れるメリット・デメリットは?流れや注意点を解説
人材確保の方法のひとつである、派遣社員の受け入れ。気になっているものの、どのようなメリット・デメリットがあるのか分からずに躊躇している方もいるでしょう。
本記事では派遣社員を受け入れるメリット・デメリットについて解説します。人手不足にお悩みの経営者や人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 特定の期間だけ人材を確保できる
- 採用・育成コストを削減できる
- 帰属意識が低い
- 契約外の業務を依頼できない
- 紹介予定派遣のメリット
- 紹介予定派遣のデメリット
派遣社員を受け入れるメリット
派遣社員を受け入れるメリットには、以下のようなものがあります。
- 特定の期間だけ人材を確保できる
- コストを削減できる
特定の期間だけ人材を確保できる
繁忙期と閑散期では業務量が異なるため、繁忙期の業務量に合わせて社員を採用すると、閑散期に人手が余ってしまう場合があります。そのため、繁忙期のみ人員を確保したいと考えている方もいるでしょう。そのような場合に派遣社員を活用することで、繁忙期のみ人員を増加することが可能です。閑散期に人手が余ることを防げて、無駄となる人件費を削減できます。
採用・育成コストを削減できる
派遣社員を受け入れる場合、自社で採用活動をおこなわないため、求人広告の費用や採用担当者の人件費は発生しません。業務に必要なスキルや経験を持っている派遣社員を受け入れることができれば、自社で人材を育成する手間や費用も削減できます。さらには、派遣元企業が派遣社員に関する労務手続きをおこなうため、費用だけではなく、自社の社員の業務負担を軽減できる点も魅力です。
派遣社員を受け入れるデメリット
派遣社員の受け入れはメリットばかりではありません。受け入れ後に後悔しないためにも、メリットと併せてデメリットを理解しておきましょう。派遣社員を受け入れるデメリットには、以下のようなものがあります。
- 帰属意識が低い
- 契約外の業務を依頼できない
帰属意識が低い
派遣社員はあらかじめ働く期間が決まっていることから、正社員よりも帰属意識が低い傾向にあります。帰属意識が低いと、居場所がないように感じたり、モチベーションが下がったりして、生産性は低下してしまいます。帰属意識の低下は派遣社員と企業ともにメリットがないため、帰属意識を高めるように取り組むことがおすすめです。
【派遣社員の帰属意識を高める取り組み例】
- 自社の社員と同じように接する
- 定期的に面談をおこない、派遣社員の悩みを解消する
- 働きやすいように職場環境を整える
契約外の業務を依頼できない
派遣社員を受け入れるデメリットのひとつには、契約外の業務を依頼できず、柔軟な対応を期待できないことが挙げられます。派遣社員がおこなう業務は、派遣元と派遣先の企業間で交わされる派遣契約書に記載されています。派遣先の企業が契約書に記載のない業務を派遣社員におこなわせると、法律違反となってしまうのです。
契約書に記載のない業務を派遣社員に依頼したい場合は、先に派遣元の企業に依頼して、派遣契約書の内容を変更しなければなりません。直接雇用の人材よりも柔軟性の欠いた働き方となってしまう点が、派遣社員を受け入れるデメリットといえます。
派遣社員を受け入れる流れ
基本的に、派遣社員は以下の流れで受け入れます。
- 派遣会社を選定する
- 派遣社員の希望条件を明確にする
- 派遣会社に派遣社員の希望条件を伝える
- 派遣契約を締結する
- 派遣会社が選定した人材の提示を受ける
- 希望があれば派遣予定の人材と顔合わせや職場見学をおこなう
法律で派遣先の企業による派遣社員の面接を禁止しています。そのほかにも、年齢や性別の条件を設けたり、履歴書の提出を求めたりしてもいけません。しかし、何もなくいきなり受け入れ開始すると、派遣社員が入社後にギャップを感じて早期退職してしまう場合があるため、ミスマッチの防止を目的に職場見学をおこなうことが一般的です。
派遣社員を受け入れる際の注意点
派遣社員を受け入れる際の注意点には、以下のようなものがあります。
- 他社に派遣社員を派遣してはいけない
- 自社を退職して1年以内の人を派遣社員として受け入れられきない
自社に派遣された社員を他社に派遣する行為を二重派遣といいます。派遣社員をさらに別の企業に派遣してしまうと、派遣契約書で決められた勤務時間などの労働条件が守られない可能性があったり、派遣先には指揮命令責任、また派遣元には雇用責任があり、当該派遣先からさらに別の派遣先に派遣することで、当該責任が不明確になり、労働者が保護されなくなってしまうため、職業安定法によって禁止されています。
また、自社を退職してから1年以内の人を派遣社員として受け入れることも禁止です。直接雇用していた人材を派遣社員として短期間で受け入れし直すと、労働条件が切り下げられる可能性があるからです。正社員だけではなく、契約社員やパートなど直接雇用契約を結んでいた従業員全員が対象となっています。
派遣社員をそのまま雇用できる「紹介予定派遣」とは
人材確保に頭を悩ませる経営者や人事担当者の中には、「じっくりと働きぶりを確認したうえで雇用するか検討したい」「人材紹介で人材を採用しても、すぐに退職してしまわないか不安」と考える方もいるでしょう。そのような場合には、派遣社員をそのまま雇用できる紹介予定派遣の活用がおすすめです。
紹介予定派遣とは、直接雇用を前提として、派遣会社から人材を派遣してもらう派遣形態です。最長6ヶ月の派遣期間中に、直接雇用契約を結ぶかどうかを派遣社員と企業それぞれで検討します。派遣期間中に双方の合意が得られた場合、派遣社員は派遣先の企業に直接雇用される仕組みです。なお、「もう少し派遣社員の働きぶりを見てから、直接雇用するか判断したい」と思っても、派遣期間を延長することはできません。
紹介予定派遣のメリット
企業が紹介予定派遣を活用するメリットには、以下のようなものがあります。
- 採用にかかる広告費や人件費を削減できる
- ミスマッチを防止できる
- 派遣でありながら、面接を実施できる
直接雇用の前に最長6ヶ月の派遣期間を設けられるため、ミスマッチが起きにくい点がメリットです。企業だけではなく、派遣社員も自分に合っている企業かどうかをじっくり見極められて、入社後にギャップを感じにくくなります。
また、派遣でありながらも、面接を実施できる点も特徴です。一般的な登録型派遣では面接をおこなうことを禁止しているのに対し、紹介予定派遣では派遣前に面接をおこなえます。派遣期間の前に履歴書や職務経歴書・人柄などを確認できて、派遣後すぐに退職されるという事態を防ぎやすくなっています。
紹介予定派遣のデメリット
企業が紹介予定派遣を活用するデメリットには、以下のようなものがあります。
- 通常の派遣よりも候補者が減る
- 直接雇用した場合に派遣会社に支払う手数料が高い
- 直接雇用後に退職されても手数料は返ってこない
派遣社員を直接雇用する場合、理論年収の約15%〜30%の金額を手数料として派遣会社に支払います。例えば、理論年収が500万円の人材を派遣から直接雇用へ切り替えた場合には、支払う手数料は約75万円〜150万円です。
直接雇用後すぐに人材が退職しても、支払った手数料は派遣会社から返金されません。ミスマッチが起こりにくいとはいえ、早期退職してしまう可能性はゼロではありません。
まとめ
派遣社員の受け入れには、特定の期間だけ人材を確保できたり、採用・育成コストを削減できたりするメリットがあります。「即戦力となる人材がほしい」「繁忙期のみ人員を補充したい」といった場合の活用におすすめです。契約外の業務を依頼できないというデメリットもあるため、メリット・デメリットを理解したうえで派遣社員の受け入れを検討してください。
また、派遣の種類には一般的な労働者派遣のほかに、紹介予定派遣という派遣形態も存在しています。直接雇用の前に最長6カ月の派遣期間を設けられるため、直接雇用後のミスマッチが起こりにくく、早期退職を防止できます。「じっくりと働きぶりを確認したうえで雇用するか検討したい」という場合には、利用を検討してみるとよいでしょう。
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