派遣社員の社会保険|加入条件や負担先、適用外になるケースを解説
派遣で働く際に気になるのが社会保険の有無です。結論としては条件が満たされれば、派遣社員でも社会保険への加入が可能です。では一体どのような条件なのでしょうか。
本記事では派遣社員が加入できる社会保険の種類と条件、社会保険適用外になるケースについて詳しく解説します。
目次
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
- 健康保険・厚生年金保険・介護保険の加入条件
- 雇用保険の加入条件
- 労災保険の加入条件
- 契約期間が2ヶ月以内の場合
- 次の派遣予定がない場合
- Q.派遣社員が社会保険に入りたくないと言った場合どうしたらよい?
- Q.2ヶ月以内など短期でも社会保険に入ることはできる?
派遣社員も社会保険に入れる
派遣社員でも社会保険に加入できます。ただし全ての派遣社員が加入できるわけではなく、一定の条件を満たさなければなりません。必要となる条件は「派遣社員の社会保険の加入条件」で詳しく解説します。ここではまず、「条件次第で加入できる」ことを覚えておきましょう。
社会保険とは
ひと口に社会保険といっても、その種類は大きく分けて5つ存在しています。具体的には以下の通りです。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
それぞれの内容を詳しく解説します。
健康保険
病気や怪我で病院を受診する際に必要になるのが健康保険です。医療費を3割負担に抑えたり、高額医療の上限額の負担を受けられたりする、社会保険の代表的な存在でもあります。
健康保険料は雇い主と労働者が半分ずつ支払う仕組みです。扶養家族がいる場合は追加の負担はありません。自営業や退職者などが加入する国民健康保険ではないため、保険料の負担が少ないのがメリットです。
厚生年金保険
厚生年金保険とは、社会保険適用事業所から給料を貰う際に差し引かれ、65歳以上で受け取れる社会保険のひとつです。単純に年金と呼ばれることもありますが、国民年金とは違い報酬に比例した保険料の半分を個人で支払う仕組みとなっています。
総合すると国民年金より支払額は高くなるものの、65歳を迎えた際に受け取れる厚生年金は高くなります。報酬に比例するという点が要注意ポイントです。
介護保険
万が一介護認定を受けた際に、必要な介護サービスを1割負担で受けることができる社会保障です。40歳までは支払いの義務はありませんが、40~64歳までは健康保険料と一緒に徴収される仕組みです。負担は雇い主と労働者の折半となります。
雇用保険
介護保険と同じく、万が一に備えた社会保険が雇用保険です。会社が倒産したり解雇されて失業した時の退職手当を受け取るための積立と考えればよいでしょう。この保険も折半ではありますが、支払う額は半分ずつではなく労働者の負担が軽い設定となっています。
労災保険
仕事を原因として病気や怪我に繋がった場合、あるいは通勤時の交通事故など仕事に関わる内容で病気や怪我をした場合に適用される社会保険が労災保険です。該当者が後遺障害を抱えたり亡くなってしまったりした際にも支払われます。他の社会保険とは違い労働者の負担はありません。
派遣社員の社会保険の加入条件
派遣社員が社会保険に加入するには、一定の条件を満たさなければなりません。さらにその条件はひとつではなく、社会保険ごとに加入条件が異なります。
本記事では以下の順番に加入条件を解説します。自身や受け入れている労働者が該当していないかどうかを確認してみてください。
なお本記事で紹介している加入条件は、2022年12月現在のものです。社会保険の見直しが行われると加入条件も変更されることもあるため、厚生労働省のホームページなどで最新情報をご確認ください。
健康保険・厚生年金保険・介護保険の加入条件
健康保険・厚生年金保険・介護保険に加入するには以下の条件を満たす必要があります。
【加入条件】
|
以前は、一週間の労働時間が30時間未満もしくは1ヶ月の所定労働日数が15日未満では上記3種類の保険に加入することができませんでした。しかし2022年10月の法改正により、上記白丸の条件を全て満たしていれば対象となります。
なお、学生には適用されないため注意しましょう。
雇用保険の加入条件
雇用保険の加入条件は以下の2点です。
【加入条件】
|
上記の2つの条件を満たして初めて雇用保険への加入が可能となります。
注意したいのは「31日以上」の雇用です。一見すると1ヶ月と捉えがちですが、雇用保険の加入条件はあくまで日数として31日間の雇用が必要であり、これに満たない場合は加入資格が与えられません。4月や6月、2月と言った1ヶ月が31日に満たない月はカウントが複雑になるため注意が必要です。
労災保険の加入条件
労災保険の加入条件ですが、ここまで紹介した4つの社会保険とは異なり対象は労働者ではなく雇用主です。そのため労働者に特別な条件は設けられておらず、雇用した企業側は一人でも採用する場合加入の義務が発生します。労働者の負担もないため、社会保険の中では難しいことを考えずとも加入できる社会保険といえます。
派遣社員の社会保険は派遣会社が負担する
派遣社員の社会保険は、実際に就労する派遣先企業ではなく、派遣元である派遣会社が負担します。
派遣は労働契約を結ぶ相手が人材派遣会社であり、派遣先企業ではありません。法律上社会保険の管理・支払いを行うのは雇用主であるため、契約書を結んでいる相手、つまり人材派遣会社となるのです。
ただし、加入するためには労働者が以下の書類を用意しなければなりません。
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
また、国民健康保険に加入していた場合の脱退手続きは自身で行う必要があります。直接加入手続きを行う必要はないものの、いくつかの注意点があるのを忘れてはいけません。
派遣社員が社会保険適用外になるケース
原則として派遣社員は、社会保険の適用対象です。ただし以下の場合は社会保険適用外となります。
- 契約期間が2ヶ月以内の場合
- 次の派遣予定がない場合
詳しく見ていきましょう。
契約期間が2ヶ月以内の場合
契約期間が2ヶ月以内の場合、社会保険の適用外となります。対象から外れてしまうのは健康保険・厚生年金保険・介護保険の3種類です。
「健康保険・厚生年金保険・介護保険の加入条件」でも触れましたが、これらの社会保険が適用されるのは2ヶ月以上の雇用が決まっている場合です。2ヶ月以内の契約期間ではこれが適用されない点に注意しましょう。
次の派遣予定がない場合
次の派遣予定がない場合も、社会保険の対象外です。主に日雇いや季節労働者のような人がこれに該当します。そもそも社会保険は、労働者が継続して就労することを前提とした制度です。
次の派遣予定がないということは、継続して就労できないとなります。そのため社会保険の適用外となるのです。
派遣社員の社会保険に関するよくある質問
社会保険に関する質問は、派遣社員からもよくあげられます。ここで2つの質問を紹介しますが、大前提として社会保険は労働者が個人で加入するわけではなく、雇用主が加入するものです。これを念頭において以下の質問を見てください。
Q.派遣社員が社会保険に入りたくないと言った場合どうしたらよい?
A.適用事業所で働く限り、派遣社員の意向で社会保険に加入しないということはできません。ただし社会保険に加入できない条件を満たしていれば、加入せずに済みます。
Q.2ヶ月以内など短期でも社会保険に入ることはできる?
A.次の派遣予定があれば社会保険に加入できます。しかし次の雇用先が見つかっていない場合は、雇用保険以外の加入はできません。
まとめ
社会保険は労働者を守るための重要な制度です。派遣社員も対象外ではなく、一定の条件を満たすことで加入資格を得られます。働く上で入っておいて損になることはありません。給料から社会保険料が引かれてしまう痛手があったとしても、労働者とその家族を守るために必要な制度であることを理解しておきましょう。
人材をお探しの企業様はこちら
1990年の設立以来、
業界をリードする実力をぜひご活用ください。
企業のご担当者専用ダイヤル