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派遣と出向の主な違い4つを解説|偽装出向と判断されないポイントも

派遣と出向の主な違い4つを解説|偽装出向と判断されないポイントも

派遣と出向は別物ですが、具体的にどう違うのかまでは知らないという人も少なくありません。派遣と出向の違いがわかっていないと、思わぬ損害やトラブルが発生することになります。

本記事では、派遣と出向の違いやそれぞれのメリットを紹介しますので、自社にはどちらのスタイルが適しているのか判断するのに役立ててください。

目次

派遣と出向の違い

- 契約関係

- 労働期間

- 労働時間

- 給与

派遣を活用するメリット

出向を受け入れるメリット

出向を偽装出向と判断される場合がある

- 偽装出向とは

-  派遣を偽装出向と判断されないためのポイント

まとめ

派遣と出向の違い

派遣と出向の違い

派遣と出向の違いは以下のとおりです。

【派遣と出向の主な違い】

派遣 出向
目的
  • スピーディーに求める求める確保すること
契約関係
  • 派遣元企業と雇用契約を結ぶ
  • 在籍出向の場合、出向元と出向先、両方の企業と雇用契約を結ぶ
  • 転籍出向の場合、出向元の雇用契約を終了し、出向先の企業と雇用契約を結ぶ
労働時間
  • 1日8時間、週40時間 以下(概ね週20時間以上)
  • 1日8時間、週40時間
  • 出向元と勤務時間に差がある場合、出向元の時間を基準とする。超過すると残業扱いとなる
給与
  • 派遣先でなく、派遣会社から支払われる
  • 在籍出向の場合は給与負担者を適宜決定する
  • 転籍出向の場合は出向先が支払う

もっとも大きく異なるのは、雇用契約の関係です。派遣は派遣会社のみと雇用契約を結びます。在籍出向の場合は労働者が出向元と出向先、2社と雇用契約を結び、転籍出向の場合は出向元の企業との雇用契約を終了したうえで出向先の企業と結びます。

 

また、派遣と出向は目的も異なります。派遣社員を活用する目的はスピーディーに求める人材を確保することです。採用コストの削減にもつながります。

一方で出向の目的はグループ企業や子会社同士で出向者をやり取りさせることで、スキルアップや視野の拡大などのメリットを発生させることです。

他にもさまざまな点が少しずつ異なるため、整理して区別しましょう。

契約関係

労働者の契約形態は、派遣と出向で大きく異なります。派遣はあくまで派遣会社と雇用契約を結んでおり、派遣先と契約関係はありません。

一方で在籍出向の場合、労働者は出向元と出向先、両方と雇用契約を結びます。派遣と異なり、雇用契約先が2つに増えるのです。転籍出向の場合は、出向元の企業との雇用契約を終了したうえで出向先の企業と結ぶことになります。

図で示すと、以下のようになります。

【派遣・出向の契約形態】

出向には在籍出向と転籍出向の2種類がありますが、どちらであっても出向先と雇用契約を結ぶ点は変わりません。

在籍出向と転籍出向で異なる点としては、転籍出向の場合労働者の所属も出向先に変更となります。出向元とは完全に法的な関係が途切れ、出向元に戻れる保証が無くなるため、実質転職とほぼ同様と捉えて良いでしょう。

ただし、転籍出向の場合は出向元からの業務指示と捉えられます。そのため、出向先に転籍すると収入が下がるなど、自らの不利益が発生する場合は断る権利があります。

労働期間

派遣と出向は一般的に労働期間も異なります。

派遣は派遣期間が定められており、期間を満了すると派遣契約の更新を行うかどうか派遣先が判断します。更新されると継続して就業し、されなければ終了です。一般的にスパンは3ヶ月程度ですが、状況により期間は変動します。ただし、労働者派遣法の規定により、特別な条件に合致しない限り30日以内の短期派遣は認められていません。派遣契約が終了したとしても、派遣元は別の派遣先を探して雇用継続することが可能です。

一方で出向は長期間となる傾向があり、数年に渡って出向先で働くケースも多いです。出向期間の長さに規定はないため、短くても長くても問題はありません。ただし、一般的には10年ほど経っても出向元に戻れない場合、出向元の企業に一度確認を取った方が無難です。

労働時間

派遣と出向は、労働時間に関してどちらも一日8時間、週40時間を超えてはならないという規定はあるため、原則それに沿っています。。

一方、残業の捉え方については異なる点もあります。派遣は規定された時間を超えた業務が残業とみなされます。

対して在籍出向の場合一般的な残業以外に、出向元と出向先で労働時間が異なった際の差が残業とカウントされます。以下の例を見てください。

【出向の残業例】

  • 一日あたりの労働時間
  • 出向元:一日7時間・週5勤務
  • 出向先:一日8時間・週5勤務

上記のような場合、差となる1時間分が残業とみなされます(法定内残業に割増をするかどうかは、会社の賃金規程次第)。

ただし転籍出向の場合は、上記のような例に当てはまっても残業とはみなされません。転籍出向を行うと、出向元との法的な関係が無くなるため、出向元の勤務時間に関係なく出向先の基準で残業したかどうか判断されます。

給与

派遣と出向は給与の支払い形態が異なっています。派遣社員は派遣会社から給与が支払われています。派遣先の企業からは支払われません。これに対して在籍出向の場合は、以下の3パターンの内どれかの形式で給与が支払われます。

【在籍出向の給与支払い形態】

  • 出向元が支払う
  • 出向先が支払う
  • 出向元と出向先で負担を分ける

いずれにしても在籍出向社員が居る場合は、後から揉めないよう出向元と出向先が密に連携を取り、支払い負担の所在をはっきりさせておく必要があります。なお、転籍出向の場合は出向先が給与を支払います。

派遣を活用するメリット

派遣を活用するメリット

企業が派遣を活用するメリットとおすすめ企業は以下のとおりです。

【派遣活用のメリット】

  • 雇用主は派遣会社となるため、労務管理に係る手間が削減される必要なタイミングで必要な人材を手配できる
  • スキル等が満たない人材が派遣された場合は交代要請できる

【こんな企業におすすめ】

  • 事務作業のタスク量がネックである
  • 必要な人数や人材が頻繁に大きく変動する
  • 自社が求めるスキルを持った人材を確保したい

派遣を受け入れる企業は、派遣社員に対しての労務管理の手間が削減されます。給与や労務についての事務的な手続きは、原則派遣元が行ってくれるためです。

また、短期間(31日以上)だけ大人数が必要であったり、特定の技能を持つ人が必要になったりする企業は、派遣を活用することで必要な期間だけ必要な人材を手配できます。

さらに、派遣を活用すると派遣契約を更新するかどうかを決めることができます。そのため、「今来てくれている人のスキルはうちの会社が求めるレベルに達していないな」と判断したら、契約を終了させ別の人材に入れ替えることが可能です。

 

 

出向を受け入れるメリット

出向を受け入れるメリット

出向は派遣と異なるメリットがあり、具体的には以下のとおりです。おすすめ企業と併せて参考にしてください。

【出向を受け入れるメリット】

  • 周りの社員の業務能力向上が見込める
  • グループ全体で雇用機会を確保できる

【こんな企業におすすめ】

  • 部署全体をスキルアップさせていきたい
  • 人員の配置を替えることで離職を防ぎたい

一般的に出向元と出向先は一定の関係があり、業種も似ているケースが多いため、出向元の仕事方法などを出向先で教えてもらうことにより、出向先に居る社員のスキルアップに繋がります。

グループ全体で雇用機会を確保できることも出向の魅力です。人手不足なグループ会社・子会社に人材を出向させることで、離職を防ぎ雇用を継続できます。

出向を偽装出向と判断される場合がある

出向は、偽装出向と混同されてしまうケースがあります。偽装出向とは簡単にいうと、出向を装った労働者派遣のことです。偽装出向は法律で禁止されているため、罰則を受けます。

企業が一般的な出向だと考えていても、法的に「実質派遣のようなもの」と判断され、罰則を受けてしまうケースもあります。「そんなつもりはなかった」では済まないため、十分注意しましょう。

偽装出向とは

偽装出向とは、出向を装った労働者派遣のことを一般的に指します。法律上派遣業を営むためには許可が必要ですが、出向は許可を必要としません。その違いを利用し、出向と偽って派遣を行う犯罪が偽装出向です。

偽装出向を行っていると判断された場合は、労働者派遣法より1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。

偽装出向であると判断されるポイントは以下のとおりです。

【偽装出向の判断ポイント】

  • 主目的が利益をあげることとみなされる
  • グループ会社間の人事交流の一環として行っているものではないこと複数回に渡り継続的に出向が行われている
  • 出向元と出向先の間に他の会社を介している

上記の条件に当てはまると、一般的な出向の目的に合致していないとみなされやすくなります。ひいては主目的が人材の供給・利益の向上であると考えられ、本質的に労働者派遣であると判断される可能性が高くなるのです。

 派遣を偽装出向と判断されないためのポイント

派遣を偽装出向と判断されないためには、誤解のないように以下のポイントを抑えると良いでしょう。

  • 出向者に対し給与を過剰に増やさない

出向元が支払う給与以上の料金を出向料として受け取ることが、利益を上げていると判断されることになる。

  • 職業訓練計画書などをあらかじめ作成しておく

目的はあくまで出向者や出向先のスキルアップであることを明確にしておく。

  • グループ会社や子会社のみに出向させる

競合他社であったり、まったく関係ない業種の会社に出向しているということは、目的は人材の補充そのものである可能性が高いと判断される。

  • 出向元と出向先で直接やり取りを行う

例えばA社の社員がB社に出向し、さらにC社に出向した場合、A社とC社の繋がりが薄いと判断されやすい。ひいては人材の補充が目的とみなされる可能性が高まる。

そもそも出向というシステムの目的は、関わりのある会社同士の間で社員を行き来させることで、スキルアップなどのメリットを生み出すことです。

そのため、会社同士に関りがなかったり給与を過剰に与えたりすると、グループ会社内のやり取りではなく営利目的の派遣事業と思われやすくなります。誤解を招くような行為は避けてください。

同時に、スキルアップが目的であることが外部からもわかるよう、職業訓練計画書などの書類を揃えておくとなお安心です。

まとめ

派遣と出向は似ている部分も多いため混同されがちですが、目的やシステムの意義はそれぞれ異なります。もし「どちらも似たようなものだから」と捉えて深く考えず派遣か出向かを選んでしまうと、後になって思わぬトラブルが起きてしまうこともあります。

そのため、派遣や出向の利用を考えている場合は、まずそれぞれの特徴やメリットを抑えてください。その上でより自社に適している方を選ぶことで、会社の業績が上向きになるでしょう。

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