派遣と請負の違いとは?メリット・デメリットや選択基準を解説
企業の運営をしていく中で、自社で内製化ができなかったり、人材のリソースが足りなかったりする場合には派遣や請負を活用するのが効果的です。しかし、そういった場面に出くわした際に、派遣を利用するべきか、請負を利用するべきか悩んでしまうことはありませんか?
そこで当記事では、派遣と請負の違いやそれぞれのメリット・デメリットを解説していますので、どちらを利用するべきか悩んだ際は参考にしてみてください。選択基準なども解説しているため、参考にしていただければ最適な選択ができるでしょう。
目次
- 派遣のメリット
- 派遣のデメリット
- 請負のメリット
- 請負のデメリット
- 契約目的の違い
- 契約期間の違い
- 指揮命令権の所在の違い
- 現場での指揮命令が必要であるか
- コストを割けるか
- 業務の遂行方法で決める
派遣とは
派遣とは、派遣会社と派遣社員を依頼する企業が労働者派遣契約を結んで、派遣会社から人材を送り出してもらうことを指します。派遣で送られてくる社員は派遣会社と契約しているため、基本的には派遣会社と依頼する側の企業の2社が取引を行なっており、人材を提供することで成り立つビジネスの仕組みとなっています。
そのため、派遣社員の社会保険料などの支払いは派遣会社が行うので、企業側は派遣してもらった報酬を派遣会社に支払うだけで済むのが基本です。
派遣のメリット
派遣は自社で直接雇用をするよりもメリットが多いことから利用する企業が多いです。もちろん直接雇用をする方がメリットが大きくなるケースもあります。以下では派遣を利用するメリットをご紹介するので、直接雇用するケースと比較しながら確認してみてください。
【派遣のメリット】
- 必要な期間だけ人材を補充できる
- 自社のルールや方針に則って作業を進めやすい
- 採用コストを減らせる
- 必要最低限のコストで人材を補充できる
31日以上であれば短期人材を補充するのであれば派遣は適しており、費用や管理などのコスト面でも無駄な負担が増えすぎないので効率が良いです。また、外部に業務を委託すると外部の業者のやり方に一任してしまうケースが少なくありませんが、派遣であれば指揮命令者は自社から選任するため、自社のやり方やルールに合わせて業務を進めることができるでしょう。
派遣のデメリット
派遣を利用することでスポットでの人材補充が効率よくできるなどのメリットがある一方で、デメリットもあります。派遣を利用する上でデメリットの把握は欠かせないポイントとなってくるため、必ず理解したうえで派遣を利用する価値を再確認してください。
【派遣のデメリット】
- 同じ業務内だと3年までしか依頼ができない
- 人材の育成が必要になる
- 長期間利用するにはコストが高い
派遣社員は同じ組織で、最大3年までしか更新ができないため、それ以降は直接雇用の依頼を派遣会社にするといった方法をとる必要が出てきます。また、派遣で送られてくる人材は全員が要領よく業務を覚えてくれる人ばかりではないため、ほとんどの場合で業務に対する最低限の育成を行うことを想定しておかなくてはならないでしょう。
請負とは
請負とは、企業が請負会社と契約を結んで、特定の成果物を納品してもらう手段のことです。請負については民法で「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」と記されています。つまり、請負は納品してもらう成果物に対して報酬を支払うことで、2社間におけるビジネスが成立する仕組みのことを指すのです。
請負は派遣のように契約期限などは無く、対象の成果物が納められるまでを契約としているので、最短1日から納品をすれば報酬が発生する点が大きな特徴といえるでしょう。
請負のメリット
請負のメリットは以下の通りです。
【請負のメリット】
- 人材管理の手間が無い
- 業務負担やコストが軽減する
- 客観的な視点で業務を分析できる
請負のメリットは何といっても管理の手間が最小限で済む点です。成果物に対する業務進行は請負会社が全て対応してくれるため、業務にあたる人材などについて気にかける必要性がなくなります。また、成果物に対する報酬しか発生しないため、成果物のこと以外に気を遣ったりする必要が無くなるのも大きなメリットといえるでしょう。
請負のデメリット
請負には管理の手間が最小限で済むメリットがある一方で、デメリットもあります。デメリットを把握したうえで発注をするべきか適切な判断ができるようにしましょう。
【請負のデメリット】
- 期待通りの成果物が上がってこない可能性がある
- 直接、業務の指示を出せない
- 業務におけるノウハウなどを社内に蓄積しづらい
成果物による報酬形態であるため、業務内容の部分に関与しづらいこともあって思い通りの成果物が上がってこない可能性があります。請負会社の品質が高ければある程度の安心感はありますが、品質の低いところに出すとかえって効率が悪くなったり、コストがかかりすぎてしまったりすることも考えられます。
また、請負会社が業務に取り組むことで自社の人材が深く関わらないため、業務で得られるノウハウを蓄積できない点も大きなデメリットといえます。
派遣と請負の違い
派遣と請負の違いは以下の通りです。
派遣 | 請負 | |
---|---|---|
契約目的 | 人材の補充 | 成果物の納品 |
契約期間 | 派遣元と派遣先が定める契約期間に倣う | 契約内容に基づく |
指揮命令権の所在 | 派遣先の企業 | 請負会社 |
派遣と請負ではそもそも提供するものから、契約の期間まで大きく異なります。そのため、派遣と請負で悩んでいる場合は、何を目的としているのかで決めるのが最適といえます。
以下では各項目の詳細を解説していきますので、それぞれの特徴をより深く理解していきましょう。
契約目的の違い
契約目的は、自社が何を求めているかで異なります。自社の中で業務についてくれる人材がほしいのであれば派遣、自社で管理をしないで成果物の納品を重視した依頼をしたいのであれば請負を利用しましょう。
報酬形態もそれぞれ異なり、派遣の場合は派遣社員が何時間(何日間)働いたかによって報酬を支払い、請負の場合は成果物が納められたときに報酬を支払います。そのため、派遣は成果物の質が自社の管理体制によって左右され、請負は請負会社の質によって成果物の質が左右されます。
契約期間の違い
契約期間は派遣会社と取引する場合にのみ発生します。請負の場合は基本的に成果物を納めたら契約期間は終了となりますが、納品後の修正など事後処理も対応するかどうかなど、契約期間についてしっかり定めておく必要があります。一方で、派遣の場合は「人材を何ヶ月間派遣するか?」といった期間を取り交わして契約を締結するため、その期間が契約期間という認識になります。
また、派遣の場合は契約を継続できる上限が3年以内と決められている一方で、請負の場合は期間に上限がありません。
指揮命令権の所在の違い
労働契約において、使用者が労働者に対して業務上の指示を行う権利のことを指揮命令権といいます。指揮命令権は、派遣の場合は「派遣先の企業」、請負会社の場合は「請負会社」に指揮命令権があります。
基本的には指揮命令権がある方に業務に対する責任の所在があるため、業務の進め方や質は指揮命令権のある方に左右されやすいのが特徴です。
派遣と請負を選択する基準
ここまで派遣と請負の違いやメリット・デメリットを解説してきましたが、結果として、何を判断基準に選択をすべきなのかを以下で詳しく取り上げていきます。判断基準は主に3つあります。
【派遣と請負を選択する基準】
- 現場での指揮命令が必要であるか
- コストを割けるか
- 業務の遂行方法で決める
業務を進めていくうえでどれも重要なポイントとなるため、全てを確認したうえで基準を満たしている方を利用しましょう。
現場での指揮命令が必要であるか
派遣と請負では指揮命令権の所在に違いがあります。そのため、指揮命令権が必要な場合は派遣、不要な場合は請負を利用することをおすすめします。
指揮命令権が必要なケースは、業務を進める中で微調整が必要になったり、突発的なトラブルが発生する可能性があったりするケースが該当します。微調整やトラブルなどは、自社の担当者が適切に対応しないと大きな損失を招く可能性があるため、想定外の損失を防ぐためにも指揮命令権が少しでも必要になる可能性がある場合は派遣を利用しましょう。
コストを割けるか
派遣と請負では報酬の支払い方法も変わりますし、それに対する対価の支払い額も異なります。派遣してもらう人数や、請負で依頼する成果物の規模・質などによってかかるコストは全く違ってくるため、その時の業務内容や成果に対する内容とコストを比較しながら最適な方法を選択しましょう。
業務の遂行方法で決める
業務内容によっては既に自社のやり方で統一されているケースもあるかと思います。そういった際には、請負を利用するよりも派遣を利用した方が、自社のやり方を維持しながら人材のリソースを確保できるため適しています。
逆にやり方が決まっていないケースや、業務に対する新たな視点や効率的な方法を求める場合には請負の方が適していたりもします。もちろん、請負のクオリティ次第では新たな視点が手に入る可能性が低くなるケースもあるため、請負会社の選定もある程度は必要になるので気を付けましょう。
派遣や請負を契約する際の注意点
派遣・請負のどちらを利用するにしても、自社で人材を雇うよりかはある程度のコストがかかってしまうため、なるべく損をしないための意識を持ち続けることが大切です。失敗をしないためにも、以下で紹介するそれぞれの注意点を把握しておきましょう。
派遣の注意点 | 請負の注意点 |
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派遣の場合は、基本的に契約にない業務や禁止されていることをしないように注意してください。特に偽装請負には注意が必要です。偽装請負とは、実質的には労働者派遣に該当する働き方なのに、請負契約を締結している状態のことを言います。これは違法行為となって処罰の対象になるので気を付けてください。
まとめ
自社の業務を遂行する上で、人材が不足している場合には派遣か請負の利用がおすすめです。派遣と請負は業務に対する人材を補填できる点は似ていますが、指揮命令権の所在や契約の目的、契約期間に違いがあります。そのため、どちらを利用するかはコストや指揮命令権、業務の遂行方法を基準に最適な方を選ぶことを推奨します。
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