派遣社員に任せてはいけない仕事内容は?罰則や適用除外業務について解説
派遣社員に任せてはいけない業務が明確に存在しています。悪意がなくても、誤って派遣社員におこなわせてしまった場合は罰則の対象となる場合があるため、どのような業務を依頼してはいけないか把握しておく必要があります。
そこで、本記事では労働者派遣法によって禁止されている派遣社員の業務について解説します。派遣社員の活用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 病院・診療所などにおける医療関連業務
- 弁護士・司法書士などの士業による業務
- 契約書に記載していない業務
- 他社への派遣
派遣社員に任せてはいけない「適用除外業務」とは
派遣禁止業務とは、労働者派遣法によって派遣社員の労働を禁止している業務です。職務内容の危険さや専門性、雇用が安定しないなどの理由によって、派遣社員がおこなうべきではないと判断されました。
派遣禁止業務で指定されている業務を派遣社員におこなわせた場合、派遣元企業は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」という罰則の対象になります。派遣先企業に対しても、違反を是正するように勧告されたにも関わらず、その勧告に従わなかった場合には、企業名などが公表されることがあります。
また、上記のような違法派遣と知りながら派遣先企業が派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して、派遣労働者の派遣元企業における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込み(直接雇用の申込み)をしたものとみなされる「労働契約申込みなし制度」という制度もあるため、注意が必要です。
【適用除外業務】派遣社員に任せてはいけない仕事内容
派遣社員に任せてはいけない派遣禁止業務は、以下の5つです。
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 病院・診療所などにおける医療関連業務
- 弁護士・司法書士などの士業による業務
港湾運送業務
港湾運送業務とは、港湾でおこなう、船内荷役やいかだ運送、はしけ運送、沿岸荷役、貨物の鑑定、検量などの業務を指したものです。
港湾運送業務は日によって業務量に大きな差があるなどの特殊性を鑑み、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業とは別に、港湾労働法において、労働力需給調整制度として港湾労働者派遣制度が導入されているため、労働者派遣を禁止したのです。
【禁止業務に該当する具体的な業務】
- 湾岸から船舶へ貨物を積み込む、または船舶から湾岸へ貨物を降ろす
- 船舶に積まれた貨物を移動・固定する
- 船舶に積んだ貨物、または船舶から降ろした貨物の荷造りや荷解きをおこなう
- 船舶の貨物の梱包・袋詰め・包装修理などを行う
- 船舶や湾岸における、貨物の積み降ろし場所を清掃する
- 船舶から降ろした貨物を倉庫へ運送する
- 倉庫内で貨物の荷解きや仕訳をおこなう
- 運送車両や鉄道に貨物を積み込む、または降ろす
建設業務
建設業務とは、建築土木工事現場でおこなう、土木や建設、改造、保存、修理、変更、破壊・解体作業、またはこれらの準備作業を指したものです。
建設業務が派遣禁止業務とされている理由には、以下のようなものがあります。
- 業務量の安定性が図りづらい
- 何重もの下請によって、責任者が曖昧になりやすい
【禁止業務に該当する具体的な業務】
- ビル・家屋などの建築現場で、資材の運搬や組み立てなどをおこなう
- 工事現場において、掘削や埋め立て、資材の運搬、組み立てなどをおこなう
- 建築・土木工事で、コンクリートの合成や建材の加工をおこなう
- 建築・土木工事の現場で資材・機材を配送する
- 壁や天井・床の塗装や補修をおこなう
- 建具類の固定や撤去をおこなう
- 電飾版や看板などの設置や撤去をおこなう
- 建築・土木工事の現場で配電・配管工事や機器の設置をおこなう
- 大型仮設テントや大型仮設舞台を設置する
- プレハブ住宅の組み立てをおこなう
- 建造物や家屋を解体する
警備業務
警備業務とは、事務所や住宅、興行場、駐車場、遊園地において、そのほかには現金の運搬中や人混みで事故や事件が発生しないように警戒・防止する業務を指します。
警備業務が派遣禁止業務とされている理由には、以下のようなものがあります。
- 請負形態により業務をおこなうことが警備業法上求められており、派遣労働者には適正実施に問題があると考えられるため
【禁止業務に該当する具体的な業務】
- 会場や店舗の出入り口で手荷物検査を実施する
- 不審者や迷惑者に注意を促す
- 建造物や会場を巡回・巡視する
- 駐車場で車両を誘導する
- 犯罪者を追跡する
- 運搬中の貴重品や金品を監視する
- 警備目的で無人の時間帯に常駐する
- 警備室に常駐する
なお、販売業務を担当している人がレジ前で客を繰り返し整列させるなどの場合は、警備業務とみなされる可能性があるため注意が必要です。
病院・診療所などにおける医療関連業務
病院・診療所などにおける医療関連業務とは、医師や看護師・保健師・助産師など医療従事者がおこなう業務であり、派遣禁止業務と定められています。
しかし、以下のいずれかに該当する場合は、派遣社員が業務をおこなうことが認められています。
- 紹介予定派遣を活用する
- 産前産後休業や育児休業、介護休業を取得した人材の代わりにおこなう
- へき地や離島の病院、都道府県が必要と認めた病院や診療所などで業務をおこなう
弁護士・司法書士などの士業による業務
弁護士・司法書士などの士業がおこなう業務は、資格を保有する個人が独自で請け負う業務です。誰かの指揮命令を受けておこなう業務ではないため、士業による業務は派遣社員が行なってはいけません。
適用除外業務以外で派遣社員に任せてはいけない仕事内容
労働者派遣法によって禁止されている派遣社員の業務について解説しました。派遣社員がおこなってはいけない業務は、派遣禁止業務以外にも存在しているため、ここで併せて覚えておきましょう。
- 契約書に記載していない業務
- 他社への派遣
契約書に記載していない業務
派遣社員がおこなう業務は、派遣元企業と派遣先企業の間で取り決められて、派遣契約書に記載されています。契約書に記載されている業務しか派遣社員はおこなってはならず、契約書に記載していない業務をおこなわせることは です。
派遣先企業が派遣社員に任せる業務を増やしたい場合は、派遣社員に交渉するのではなく、派遣元企業に相談しなければなりません。追加で依頼したい業務について派遣元企業に相談して、契約書の内容を変更してもらうことで派遣社員に追加の業務を依頼できるようになります。
また、契約書に残業に関する記載がない場合や残業をおこなわない旨を明記している場合は、派遣社員が残業をおこなってはいけません。
他社への派遣
自社に派遣されている社員を他社へ派遣する行為を二重派遣といいます。派遣元企業と派遣先企業では、派遣社員の労働時間や給与などの条件を取り決めたうえで契約を締結しています。契約内容を派遣先企業が守っていたとしても、派遣先企業が他社に派遣社員を派遣した場合、その派遣先で守られるとは限りません。派遣社員が不当な扱いを受けないように、職業安定法や労働基準法で二重派遣を禁止しているのです。
まとめ
本記事では、派遣社員に任せてはいけない派遣禁止業務について解説しました。派遣禁止業務とは、港湾運送業務と建設業務、警備業務、病院・診療所などにおける医療関連業務、弁護士・司法書士などの士業による業務のことであり、派遣社員におこなわせてしまうと罰則の対象となります。派遣社員の活用を検討している場合は、依頼したい業務が法律で禁止されているものでないか確認しておきましょう。
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