飲食業界のアルバイトは深刻な人手不足！人材が集まらない理由と対策

飲食業界ではアルバイトの人材不足が加速傾向

企業では正社員・アルバイトともに人材不足が加速傾向にあります。帝国データバンクの調査「人手不足に対する企業の動向調査（2022年10 月）」によると、すでに人手不足の割合が過去最高水準（2019年10月）を上回っており、10月としては2番目の水準になったとしています。

人手不足を感じている企業の全体では、51.1％が正社員の不足を感じており、31.0％は非正社員の不足を感じているようです。また業種別に見ると「情報サービス」が69.1％と最も高く正社員の人手不足を感じており、非正社員については76.3％の「飲食店」が人手不足を感じています。

※帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査（2022年10 月）」

特に「飲食店」や「旅館・ホテル」は水際対策の緩和や全国旅行支援による需要増加の影響を受けており、人手不足を補うかたちで時間外労働時間が増加しています。両業種では人手不足の解消に向けて積極的に採用活動を行っていますが、なかなか人材が集まらないとの声が上がっているようです。

飲食アルバイトに人材が集まらない原因

飲食アルバイトに人材が集まらない原因は以下のとおりです。

【飲食アルバイトに人材が集まらない原因】

• 長時間の立ち仕事がつらい
• 任される仕事の責任が重い

飲食アルバイトでは他の業種と比較して体力が必要なことや、正社員とアルバイトの仕事に区別がつけにくいことが人材不足の原因となっているようです。いずれも人材不足による悪循環が発生しやすいため、場合によっては人材確保の方法を見直す必要があるかもしれません。

長時間の立ち仕事がつらい

飲食店では長時間の立ち仕事になりやすいため、体力面での辛さを感じる人が多いようです。飲食業の離職者308人を対象にしたリクルートの調査によると、「仕事内容が体力的にきついから（58.1％）」「仕事量が多いから（56.8％）」といった労働負荷が辞めたい理由の上位に挙がっています。

飲食業は勤務時間が長くなりやすいだけでなく、ホールとキッチンのいずれも立ち仕事です。そのため、体力に自信がない人にとっては働きにくい環境となっています。また深夜営業を行っている場合はさらに勤務時間が長くなってしまうため、従業員の体力を考慮した労働環境の整備が必要となります。

任される仕事の責任が重い

任せる仕事の責任があまりに重いと、給与に見合っていないと感じて辞めてしまう人が多いようです。リクルートの調査によると、「給与・報酬が低いから（63.3％）」「成果・能力が正当に評価されないから（44.8％）」といった項目も辞めたい理由の上位に挙がっています。

店舗の運営者としては優秀なアルバイトがいると、つい多くの業務を任せてしまいたくなります。しかし新人教育や発注作業といった重要な仕事についてはアルバイトに任せきりにしてしまうのではなく、店長などの上司がフォローするようにしましょう。少しでもフォローしてあげることにより、従業員が感じる負担を軽減できるはずです。

飲食アルバイトの人材を確保するためにできること

飲食アルバイトの人材を確保するためには、まず以下のことを試してみましょう。

【アルバイトの人材確保のためにできること】

• アルバイトと正社員の役割分担を明確にする
• 採用方法の見直し

アルバイトと正社員の役割分担を明確にする

アルバイトと正社員で、任せる業務内容をはっきりと区別しておきましょう。アルバイトで働いている従業員は、正社員と同様の指示を受けると「任される仕事の責任が重い」「支払われる給与の額と見合っていない」と感じてしまうからです。

飲食店ではアルバイトと正社員の業務に区別がつけにくいため、上司が意識していないうちに指示した業務内容が従業員の負担になっている場合があります。例えば、業務中に生じたトラブルやクレームの対応をアルバイトに任せてしまうのではなく店長や正社員が代わりに、または一緒に対応する、などです。

採用方法の見直し

採用活動を積極的に行っているにもかかわらず人材の定着率が向上しない場合は、採用方法に問題があるかもしれません。求人情報誌に掲載していた労働条件と面接時に伝える条件が異なっている場合や、面接時に聞いていた仕事ではなかった場合など、雇用主と従業員の間で生じるミスマッチが主な離職の原因になっています。

アルバイトとして短時間の雇用を希望する人は、空いた時間を活用して一時的に働きたいと考えている人がほとんどです。そのため従業員の希望を重視して採用を行ったほうが、お互いにとってメリットが大きいと言えます。

また場合によっては、採用する人材を広げる方法もあります。アルバイトの採用では学生や扶養に入っている主婦（主夫）などの雇用が一般的ですが、ターゲットを広げれば人材が確保できる可能性も高くなるからです。

活躍が期待できる人材は以下のとおりです。

【活躍が期待できる人材】

• 派遣スタッフ
• シニア人材
• 外国人

派遣スタッフ

営業に必要な従業員が確保できない場合は、派遣スタッフの依頼をおすすめします。人材派遣サービスを利用することにより、面接などの手順を踏まずに必要な従業員が確保できるからです。

忙しい時間帯のシフトが埋まらない場合や大規模な予約が入った場合など、必要なタイミングに依頼した時間だけ働いてもらうことができます。

派遣スタッフを依頼するメリットは以下のとおりです。

派遣スタッフを依頼することにより、最短31日から数ヶ月といった単位で仕事を依頼することができます。依頼する際は労災保険や給与計算といった手続きは人材派遣会社が代行するため、依頼後に必要な手続きはほとんどありません。

派遣スタッフを依頼するデメリットは以下のとおりです。

ただし派遣スタッフを依頼する場合でも、お客さんへの挨拶の仕方や配膳ルールなど、店独自の決まりごとは教育する必要があります。育成に時間がかけられない場合は、テーブルの後片付けや洗い物といった簡単な業務のみをお願いしてもよいかもしれません。

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シニア人材

近年、経験豊富で定着率の高いシニア人材を積極的に採用する企業が増えています。マイナビの調査によるとシニア人材（60歳以上を定義）のうち5割以上は「65歳を超えても働きたい」と回答しており、多くの人が高い就労意欲を持っていることがわかります。

シニア人材を雇用するメリットは以下のとおりです。

シニア人材の多くは社会人経験が豊富であることから仕事に対する意識が高く、周りの従業員とのコミュニケーションも円滑に行ってくれる特徴があります。また同じ職場で長く働いてくれる傾向にあるため、採用するとシフトが安定するといったメリットもあります。

シニア人材を雇用するデメリットは以下のとおりです。

一方でシニア人材は体力面に不安を抱えている人が多く、労働時間などを配慮する必要があります。また新しい仕事を一気に覚えられないと感じているシニア人材が多いため、学生などのアルバイトよりも時間をかけて仕事を教える必要があります。

外国人

インバウンド需要を意識して、外国人の採用を積極的に行っている企業も増えています。特に留学生は日本の文化を学ぶ目的でまじめに働いてくれる場合が多く、人手不足の解消に必要な人材となってくれます。

外国人を雇用するメリットは以下のとおりです。

外国人を雇用することにより組織が活性化するほか、外国人のお客さまへ対応できるようになります。観光地や都心部では外国人のお客さまが多く来店するため、英語や中国語などを母国語としている外国人を雇用すると助かる場面が多いのではないでしょうか。

外国人を雇用するデメリットは以下のとおりです。

一方で、日本人よりも育成に時間がかかる点については注意が必要です。マイナビの調査によると、飲食店で外国人を採用していて感じた課題の上位に「日本語能力（38.5％）」「文化や価値観の違い（49.2％）」などが挙げられています。

雇用に必要なビザの種類については調べれば対応できますが、日本語やマナーは時間をかけて教える必要があるため、採用する前に意識しておきたいところです。

まとめ

飲食店にアルバイトが集まらない理由は体力面や精神面での辛さだけでなく、雇用主と従業員のミスマッチによるものも大きいでしょう。「週1日からOK」と書いてあったのに実際に働いてみると土日の出勤もお願いされた、というように、自分が思っていた働き方とギャップがあるような場合は離職につながってしまいます。

店舗の運営者として従業員への交渉が必要な場面もありますが、定着率を高めるためには従業員の希望を優先すべきかもしれません。そうすることにより雇用主と従業員との間で良好な信頼関係が築けるため、長期的に見るとお互いにメリットがある場合が多いからです。

どうしても人材が確保できない場合は派遣スタッフへ依頼してみてはいかがでしょうか。フルキャストでは、飲食店に最適な人材をすぐに派遣することができます。また拠点は全国に198か所あるため、全国規模で展開している飲食店のどのエリアでも派遣可能です。