人員補填とは?人材が不足する原因と人材補填の具体的な方法を徹底解説
退職や突発的な休業などで、人員を補填しなければならないと考えている担当者は少なくないでしょう。想定どおりに業務が回らなくなる恐れもあることから、人員補填に関しては常に注意を払っておかなければなりません。
本記事では人員補填の概要と人員不足が深刻化している理由、人員補填する方法を解説します。
目次
- 労働人口の減少
- 採用難
- 転職市場の活発化
- 賃金の問題
- 1.現状を把握する
- 2.要員調査をする
- 3.要員を調整する
- 4.要員計画を策定する
人員補填とは
人員補填とは、何らかの事情で労働者の人数が足りていない状況を、求人採用などで解消しようという動きです。
独立行政法人中小企業基盤整備機構の調査によると、中小企業の約74%が人手不足に悩まされているとの結果が出ています。一時的なものか慢性的なものかは分かりませんが、人員不足を解消するには採用や人材育成などを通じて補填する必要があります。
ちなみに補填という言葉に似たものに「補充」があります。どちらも不足しているものを補うという意味では同じですが、損失した分全てを補うのが補充です。一方の補填は損失文100%を取り戻すことではなく、何割かでも解消することを指します。
つまり人員補填とは、欠員を100%解消するという意味ではなく、何割かだけでも穴埋めをすることになるのです。
人員不足が深刻化する背景
人員不足が叫ばれるほど企業の人員が不足している背景には、次のようなものがあると考えられています。
- 労働人口の減少
- 採用難
- 転職市場の活発化
- 賃金の問題
それぞれ詳しく見ていきましょう。
労働人口の減少
国立社会保障・人口問題研究所の調査結果では、1995年を境に生産年齢人口が減少しています。言い換えれば働き手が少なくなっているということであり、その人数は全盛期の3/4近くになっているのです。
引用:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来統計人口」
労働人口そのものの母数が減少してしまっているため、中小企業を含めた全ての企業が働き手の不足を解消する何らかの策が求められています。今後さらに労働人口の減少は進むと考えられており、今現在人員補填を考えていない企業も、今後同じ課題を抱える可能性があるでしょう。
採用難
採用難とは、人材採用が難しくなっている状態のことです。厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況(令和4年10月分)について」では、有効求人倍率が1.35倍という数字を記録しています。一時のように異常な倍率ではなくなったものの、それでも高い数字で推移している状況です。
また、業種によっては有効求人倍率がさらに高い場合もあります。新卒採用・中途採用を問わず、人材採用に向かい風であることを覚えておきましょう。
転職市場の活発化
転職市場の活発化も、人員不足が深刻化する原因の一つと言われています。以前は20代や30代の、いわゆる若手という人が転職をする傾向がみられました。しかし昨今では40代や50代の転職も珍しくなくなり、企業の人材流出が問題視されています。
採用難と転職市場の活性化、さらに働き方改革などの国主導の労働にまつわる政策の影響で、より働きやすい環境を求めて従業員の離職が進んでしまっている業種もあります。人材が少ないままでは、一人当たりの業務負担が大きくなり、結果次の離職が発生してしまう恐れもあるのです。
賃金の問題
業界にもよりますが、いわゆる低賃金の問題で人材問題を抱えている企業もあるでしょう。介護や保育など、業界レベルで改革が行われているものもあります。しかし低賃金が割に合わず、最終的に転職市場へ流れてしまうというケースも珍しくありません。
景気の変動などに左右されるため、一概に賃上げが難しい状況のなかで、今後も人材不足を抱える企業は増えていく可能性があります。
人員を補填する方法
人員を補填するためには「要員計画」を立てる必要があります。ただ単に人員が不足しているから追加で増やせばよいというものではなく、今いる経営資源を見直すことで、必要な人材を補填します。
具体的なやり方は以下の通りです。
- 現状を把握する
- 要員調査をする
- 要員を調整する
- 要因計画を策定する
詳しく見ていきましょう。
1.現状を把握する
まずは今いる人材の把握をします。むやみやたらに増やすのではなく、経営資源を見直すことで解決できる場合もあるためです。
従業員の情報を一元管理できるよう、部署や事業者レベルで在籍している人数と氏名を一覧化します。「人事管理システム」を活用すると、より高いレベルで業務の効率化が図れます。
2.要員調査をする
要員調査とは、社内に必要な人材はどんな人物かを整理する調査のことです。要員の算出にはボトムアップ方式とトップダウン方式の2つの算出方法があり、ヒアリング項目が若干異なります。具体的には以下の表を確認してください。ボトムアップ方式では現場の声を、トップダウン方式ではコスト面を重視するため、両観点で調査するのがおすすめです。
方式 | ボトムアップ方式 | トップダウン方式 |
---|---|---|
内容 |
|
|
実施する対象 | 各部署や事業所の責任者 | 経営層、役員 |
3.要員を調整する
2番で算出した人数を調整するのが要員の調整です。具体的にどの方法で人材補填を行うのか、本当に社内で新規採用をすべきなのかを検討します。
短期的に考えがちですが、重要なポイントは事業計画に基づく中長期的な視点で検討することです。あくまでも将来的な経営目標を達成するための要員計画であるため、短期的に考えてしまうのはよくありません。
4.要員計画を策定する
最終的に明文化をして「要員計画」を発行・運用します。先述の通り中長期的な経営目標で考えられているため、採用活動や人材育成は要員計画に基づいて実施する必要があります。定期的なモニタリングが必要であるため、作って終わりにならないようにしましょう。
要因計画をされた上で、人材派遣の仕組みをもっと知りたい、検討してみたいと思った方は、以下の記事もご覧ください。
人員不足にならないためのポイント
企業が人材不足に陥らないために、要員計画を策定する以外にも人が離れないような改革を行う必要があります。業種や業態によって内容は異なりますが、一般的に言われているポイントは次の通りです。
- 生産性の向上を目指す
- 企業力や企業イメージを向上させる
- 福利厚生の改善を行う
- 従業員満足度を向上させる
様々なやり方があるため明確な正解はありません。しかし少しでも人員不足に陥らないためにも、上記のような施策は積極的に打っていくべきでしょう。人員は貴重な経営資源であることを理解して、離職を防ぐことから始めていくとよいかもしれません。
まとめ
働き方が多様化した現代、どんな業種業態でも人員補填の必要性に迫られる可能性は十分にあります。そうならないような社内体制の見直しをするほか、要員計画を立てて必要な人員を補填することも重要です。
闇雲に人材を募集するのではなく、要員計画に基づいて人材採用に努めましょう。
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