人材紹介サービスのメリット・デメリットとは?採用率を上げるコツや注意点も解説
採用活動は企業にとって欠かせない業務の一つです。採用計画の立案・説明会・募集活動・面接・選考など、採用活動で人材を雇用するまでにかかる多くの工数を減らす手法として、人材紹介サービスが活用されています。この記事では、人材紹介サービスの概要やしくみ、メリット・デメリットなどについて解説します。
目次
- 一般登録型・一般紹介型
- サーチ型
- アウトプレースメント型
- 採用にかかる初期費用がおさえられる
- 担当者が応募を促進してくれる
- 採用条件を満たした求職者から選考できる
- 一人あたりの採用単価が高額になる
- 自社に採用ノウハウが蓄積されない
- 急な欠員で早く補充したい
- 即戦力や専門性の高い人材を採用したい
- 社内に採用ノウハウや人事に特化した部署がない
- 公募では求めている人材を採用できない
- 採用したい人材像を明確にする
- 求人情報や企業情報を定期的に更新する
- 自社の魅力を人材紹介会社に伝える
- 人材紹介会社にしっかりフィードバックする
- 登録者の人数、質は十分か
- マッチングの精度は高いか
- 担当者のサポートは充実しているか
人材紹介サービスとは
人材紹介サービスとは、人材紹介会社を通じて採用成功に結び付けるものです。昨今は多くの企業・転職希望者に利用されており、転職活動の円滑化やミスマッチのない採用実現に寄与しています。事業者によって異なるものの、サポートする範囲も広く、求人票の作成や面接日程の調整、条件交渉などを人材紹介会社側が担ってくれるケースが一般的です。そのため、企業側にとっては採用担当者の工数削減や採用コストの削減につながり、求職者双方にとっても工数削減やミスマッチ解消が期待できます。
なお、人材紹介サービスは厚生労働大臣から許可を受けた「有料職業紹介所」のことを指します。一定期間人材を派遣する「人材派遣」とは別物で、直接雇用のため紹介料などが発生する点も特徴の一つです。
人材紹介会社の仕組み
まずは人材紹介会社の種類について押さえておきましょう。
人材紹介会社を分類すると、大きく「一般登録型・一般紹介型」「サーチ型」「アウトプレースメント型」の3タイプに分けられます。ここからは項目ごとに特徴をご紹介します。
一般登録型・一般紹介型
一般登録型・一般紹介型は、現在の人材紹介サービスにおける主流な方法です。
キャリアやスキル、希望する就業形態・年収などの情報を求職者が登録し、それに適う求人が発生した際に、人材紹介会社が持つ人材情報から採用条件に合った人材をマッチングさせるというものです。基本的には転職エージェントが企業・求職者間に立ち、双方をつないでくれます。他のタイプと比較すると求人の件数やジャンルの幅が広く、なおかつ求職者側は基本無料で利用できるケースが一般的です。
なお、近年ではこのタイプのなかでも毛色がわかれ、幅広い業種を取扱う「総合タイプ」と、特定業界に特化した「専門タイプ」のサービスが生まれています。
一般登録型に関して詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
「人材紹介会社の登録型とは?サーチ型との違いや種類・おすすめのサービスも」
サーチ型
サーチ型とは、その名のとおり企業が受けた求人に対して最適な人材を探して紹介する形態のサービスです。前章で紹介した登録型はサービスに登録した求職者を対象としているのに対し、サーチ型は転職を希望していないユーザーまでリーチすることができます。事業者のネットワークを通じて企業が求める人材を洗い出してマッチングがおこなわれるため、比較的ミスマッチが生じにくいサービス形態ともいえるでしょう。またサービスの特性上、採用が困難な層を扱うケースが多く、マネージャーや経営層などハイレベル人材の人材獲得に多く用いられます。
また、こちらのサービスも近年は各業界に特化したものも増え始め、IT領域やエンジニア採用に特化したサービスや金融業、介護・福祉業に特化したものなどがあります。
アウトプレースメント型
「アウトプレースメント(Outplacement)」とは、人員削減をする企業の依頼を受けて、解雇する従業員の再就職を支援するビジネスのことを指します。もともとは1980年代頃より人員削減が常態的におこなわれていたアメリカで取り入れられていた概念で、日本ではバブル崩壊による人員削減を発端にして広まりました。これまでに紹介してきた一般的な人材紹介サービスとは異なり、このタイプでは人員を削減する企業側が資金を負担し、教育・研修・再就職支援をおこないます。こうした特徴から、比較的資金力を持った大企業がおこなうケースが多く、また再就職をおこなう人材は中高年が中心です。
人材紹介サービスを利用するメリット
人材紹介会社を利用する場合の代表的な3つのメリットについて紹介します。
採用にかかる初期費用がおさえられる
人材紹介会社を利用すると、採用にかかる初期費用がおさえられます。人材紹介会社では成功報酬型が採用されているため、希望した人材の入社後に紹介料を支払うケースが大半です。求人スタートから人選、面接までの費用が発生しないので、初期コストというリスクをおさえて効率的に人材の採用をおこなえます。
成功報酬型のサービスでは、採用が上手くいかなかった場合には、成功報酬は発生しないので余計な費用が増える心配はありません。もし、採用した人材が早期に退職してしまった場合には、報酬の一部が返金されるサービスも登場しています。
担当者が応募を促進してくれる
担当者が応募を促進する取り組みをおこなってくれます。たとえば、求人の紹介時には求人票に書かれていない企業の魅力を補足して説明してもらえます。文字や数字だけからは伝わらない、企業の雰囲気や求人に対する思いなどを伝えてもらえるのです。
企業への求人の応募はPR活動への予算や従業員規模などに左右されてしまうケースも少なくありません。しかし、人材紹介会社を活用すれば企業の知名度以外の点でも魅力をアピールし、応募者を集められます。人事などの担当者の数が不足している企業でも、工数をかけずに円滑に採用活動を進められるのです。
採用条件を満たした求職者から選考できる
採用条件を満たした求職者から選考できるため、効率的に業務を進められます。人材紹介会社を利用せずに採用活動を進めると、企業は人材を募集するだけでなく面接をおこなわなければなりません。面接は一人の応募者に対して時間と手間がかかるだけでなく、面接日程の調整や合否連絡といった細かい業務も多く発生します。
そうした際に人材紹介会社を活用すれば、面談を実施してから紹介してもらえるため企業の工数を大幅に減らせます。条件の整った状態から選定を進められるので、自社にピッタリな人材を採用しやすくなります。
人材紹介サービスを利用するデメリット
一方、人材紹介会社を利用する場合にはデメリットもあります。注意点として以下の2つのポイントを確認しておきましょう。
一人あたりの採用単価が高額になる
人材紹介会社を利用すると、一人あたりの採用単価が高額になる傾向があります。人材紹介会社を利用して人材を採用した場合、成功報酬型による料金の支払いが必要だとお伝えしました。成功報酬型で設定されている金額は人材紹介会社によって異なりますが、一般的に入社者年収の約30%〜35%が目安とされています。成功報酬の内訳としては、マッチング料金や一連の業務フローの委託料金などが含まれています。
大人数の採用のすべてで人材紹介会社を活用してしまうと、採用人数分の成功報酬の支払いが必要になるため大幅なコスト増加も想定されます。人材紹介会社を利用する際はトータルのコストも考えましょう。
人材紹介にかかる手数料の相場に関して詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
「人材紹介にかかる手数料の相場は?算出方法や注意点をわかりやすく説明」
自社に採用ノウハウが蓄積されない
自社に採用ノウハウが蓄積されないことも、人材紹介会社を利用する際のデメリットです。人材紹介会社を利用すると、自社の工数を減らして効率的に採用活動を進められます。
しかし、すべてを人材紹介会社に任せてしまうと、自社で採用活動に関する経験を積むことができません。自社でも採用活動をおこなおうと方向転換した場合に、成功体験や失敗経験がなければ、どのように人材を採用して良いか悩んでしまうでしょう。そうした事態を防ぐためには人材紹介会社に業務を任せつつも、二人三脚で採用活動を進める当事者意識を持つ姿勢が大切です。ノウハウを吸収して自社でも活用できるように、積極的にアクションしてみましょう。
人材紹介サービス利用がおすすめのケース
人材紹介サービスを利用するべきか、悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。人材紹介サービスの利用がおすすめのケースを紹介するので、参考にしてください。
急な欠員で早く補充したい
急に従業員が退職して欠員を早く補充したい場合は、人材紹介サービスの利用がおすすめです。人材紹介会社と契約し、求人票を作成すれば、すぐに採用活動を始められます。
公募で採用活動を始めても、すぐに求職者が集まるとは限りません。人材紹介会社には多くの登録者がいるため、採用までのスピードが速まります。
即戦力や専門性の高い人材を採用したい
即戦力になる人材や専門性の高い人材を採用したい場合は、母集団が小さくなるため、通常以上に採用の難易度が高くなる傾向にあります。しかし、人材紹介会社であれば、事前に候補者の資格やスキルを把握しているため、求めている人材にピンポイントでアピールでき、必要な人材をスムーズに確保できます。
また、一定以上のスキルや経験を持っている人材を採用したい場合は、ハイクラス人材に特化した人材紹介サービスを利用することも選択肢の一つです。育成の時間を節約できるだけでなく、企業成長を加速させる効果も期待できます。
社内に採用ノウハウや人事に特化した部署がない
社内に採用ノウハウがない場合、採用活動が難航するケースもあるでしょう。人材紹介サービスでは、採用のノウハウを持ったエージェントが採用活動を代行してくれるため、社内に採用ノウハウがなくても問題ありません。
また、採用や人事に特化した部署がなく、経営陣などが直接、採用活動に携わっている場合もあるのではないでしょうか。そのようなケースでは、経営陣が本来従事すべきコア業務に集中できなくなり、企業成長が停滞する可能性も想定されます。人材紹介サービスを利用し、コア業務のリソースを確保しつつ適切な人材を確保しましょう。
公募では求めている人材を採用できない
人材を公募しているが、なかなか求めている人材を採用できない場合も、人材紹介サービスの利用がおすすめです。人材紹介サービスを利用すると、採用課題が明確になりやすく、解決するための具体的なアドバイスをもらえます。
また、人材紹介サービスを利用すると、最新の市場動向を把握しやすくなります。市場にあわせた採用戦略を練るためにも、人材紹介サービスの利用を検討すると良いでしょう。
人材紹介サービス利用で採用率を上げるためのコツ
人材紹介サービスを利用するだけでは、採用率はすぐには上がりません。人材紹介サービスをより有効に活用するためにも、企業側には以下の事柄を実施することが求められます。
- 採用したい人材像を明確にする
- 求人情報や企業情報を定期的に更新する
- 自社の魅力を人材紹介会社に伝える
- 人材紹介会社にしっかりフィードバックする
それぞれのコツについて解説します。
採用したい人材像を明確にする
求めている人材を採用するには、採用したい人材像を明確にすることが大切です。「○○の実務経験3年以上」「マネジメント経験2年以上」「○○に関する知識・経験」など、具体的な条件をエージェントに伝えましょう。
具体的な人材像をエージェントに伝えておくとミスマッチが防げるため、効率的に採用活動を進められます。採用活動を急いでいる場合も、人材像の明確化が不可欠です。
求人情報や企業情報を定期的に更新する
求人情報を出した後でも、定期的に求人情報や企業情報を更新し、最新の情報にしておくことが大切です。採用活動は数ヵ月に及ぶこともあります。採用活動をおこなっている間に自社の状況や求めている人材が変わる可能性も想定されます。
求人情報や企業情報が古くなっていると、ミスマッチが発生しやすくなります。自社の状況にあわせて、求人情報や企業情報を最新の状態に調整しましょう。
自社の魅力を人材紹介会社に伝える
人材紹介会社のエージェントは、企業を求職者に推薦する際に、業務内容や福利厚生だけでなく企業風土や業界動向なども伝えます。求職者は複数の企業と比較して転職先を探しているため、他社と比べて優れている点や魅力がなければ応募してもらえる可能性が減ってしまうでしょう。
人材紹介サービスを利用する際は、エージェントに自社の魅力をより多く伝えることが大切です。魅力があるにも関わらず、社内にいることで気がつきにくくなっている場合もあるので、第三者の目線も交えつつ、自社の優れている点や魅力を棚卸ししておきましょう。
人材紹介会社にしっかりフィードバックする
人材紹介サービスを通して選考をおこなった場合、その結果をエージェントにしっかりフィードバックしましょう。とくに採用に至らなかった場合は、なぜ採用に至らなかったのか理由をエージェントに伝えて、後の参考にしてもらうことが大切です。
詳細にフィードバックすることで、次回以降のミスマッチを減らすことにつながります。たとえば、「〇〇のスキルが足りなかった」「〇〇の経験が足りなかった」などのように、採用に至らなかった原因を具体的にフィードバックしましょう。
人材紹介会社を利用する際の注意点
最後に、人材紹介会社を利用する際の注意点をご紹介します。より良い採用を実現させるためには、ポイントをしっかり押さえることが大切です。
登録者の人数、質は十分か
第一に、登録者の人数や質を確認しておくようにしましょう。紹介会社によって、登録者の人数や質は当然異なります。あくまで一つの目安ですが、登録者が多いということは、それだけ流通している求人件数も多いはずです。また、登録者が多く、ある程度体系化されているサービスであれば、一定以上の質が担保されているケースがほとんどです。
そのため、まずはそのサービスの規模を知るという意味でも、登録者の人数などを確認しておきましょう。会社ごとに得意分野や紹介している業種などを確認し、そのサービスを利用している層と自社の求めている層が一致しているのか、前もって確認することが大切です。
たとえば、総合型は扱う内容も幅広いのが特徴です。一方、専門型の場合はその業界の慣習やしきたりなどにも精通していることが多いため、自社の求める人材に対して寄り添った提案をしてくれる可能性が高いといえます。このように、利用するサービスのタイプによっても登録人数の量や質は異なるため、よく比較しておきましょう。
マッチングの精度は高いか
マッチング精度の高さも、確認しておきたい項目の一つです。自社が全く求めていない人材とのマッチングが続いたりしていては本末転倒です。ミスマッチの求人が多いと採用活動が鈍化してしまうだけでなく、場合によっては本当にマッチする求人を見落としてしまう可能性も高まってしまいます。
利用するサービスを選ぶ際には、そのサービスが候補者と企業のマッチングを高めるためにどのような工夫をしているのか、どのようなしくみが採用されているかといった点にも気を配っておきましょう。なお、採用要件を満たした人材を紹介してくれるか否かは、人材紹介会社の担当者の知識や提案力にも影響を受けます。より良いマッチングを実現させるため、きちんと人材紹介会社に希望を伝えておくことをおすすめします。
担当者のサポートは充実しているか
担当者が求人票作成のサポートや書類選考・面接のフォロー、日程調整や転職希望者との連絡など、細かいサポートが充実しているか、よく確認しておきましょう。
また、希望連絡方法を厳守してくれるか・プライバシーに配慮したしくみづくりがされているかといった点も確認しておくと安心です。採用を成功させるためには、求職者・サポーター・企業がそれぞれ努力して、足並みを揃えることが欠かせません。そのため、担当者が求人内容を正しく理解し、どれだけ熱心に取り組んでくれるかが採用成功の一端を担っているのです。また、担当者との相性や人柄なども重要な要素の一つです。
まとめ
ここまで「人材紹介」をテーマに、概要からサービスごとの特徴、利用する際の注意点などを解説してきました。転職市場における求人数は、ここ数年で拡大基調が続いています。一方で、依然として人材不足に悩む業界・高い離職率にあえぐ企業も少なくありません。
こうした状況のなか、より良い採用を実現するためには採用エージェントなどを活用し、求職者・企業側双方にミスマッチがない状態で採用を成立させることが重要です。今回ご紹介した内容を基に、求職者の方はどういった採用サービスを利用するのが適切なのか、どのような点に留意すべきなのか、ぜひ参考にしてください。
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