人材派遣サービスとは?メリットやデメリット、利用するときの流れをわかりやすく解説
人材派遣サービスは人手不足の解消や採用に関するコストの削減につながるなどのメリットが多い採用方法です。
一方で、企業が人材派遣サービスを利用するデメリットはあり、選び方や利用する流れなどを知っておくと、スムーズに人材派遣を受けることができます。
この記事では、人材派遣サービスの概要とメリット・デメリット、人材派遣サービスの選び方を解説します。
目次
- 採用コストを削減できる
- 労務管理コストをおさえられる
- 教育コストを削減できる
- 自社にノウハウを蓄積しにくい
- 帰属意識が低くなりやすい
- 派遣受入期間に制限がある
- 派遣形態
- 登録型派遣
- 紹介予定派遣
- 無期雇用派遣
- 得意分野
- 対応エリア
- スタッフ
- 人材派遣サービスに依頼する
- 人材派遣サービスと打ち合わせをする
- 人材派遣サービスより募集の結果が通知される
- 契約締結
- 人材派遣サービスを利用するメリットとデメリットは?
- 人材派遣サービスを利用する際に重要なことは?
人材派遣サービスとは
人材派遣サービスとは、人材を必要としている企業(派遣先)に対し、人材派遣会社(派遣元)が当該人材(派遣労働者)を派遣するサービスのことです。正社員とは違い、派遣元と派遣労働者の間で雇用契約を結びます。そのため、給料の支払いや各種保険は派遣元である人材派遣会社がおこないます。
依頼した企業は人材派遣会社と労働者派遣契約を結び、派遣された労働者に対して仕事の指示を出すことが可能です。採用に関する手間やコストを省きつつ、人員不足やコア業務への集中などの課題を解決できる可能性があります。
現在多くの人材派遣会社が事業を展開しており、それぞれに得意分野を持っている状況です。差別化として労働者に対する福利厚生の充実など、さまざまな施策を打ち出しています。
人材派遣会社の特徴に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。それぞれの強みを知って、自社で必要な人員はどこでお願いできそうか、目星をつけておくと良いでしょう。
人材派遣サービスを利用するメリット
人材派遣サービスを利用するメリットはいくつかありますが、代表的なものは以下の3つです。
- 採用コストを削減できる
- 労務管理コストをおさえられる
- 教育コストを削減できる
総合すると、企業のコスト削減に大きく貢献します。それぞれ詳しく解説します。
採用コストを削減できる
もっとも大きなメリットとして、採用コストの削減があげられます。自社で求人票を出して採用するとなると、想像以上にコストがかかります。人材派遣サービスを活用すると、自社採用をするよりも大幅なコストカットが見込めるのです。
たとえば、書類選考や面接などの時間的なもの、求人を出すための費用などです。採用コストを削減できるため、自社の社員の負担を減らすことができ、重要な業務であるコア業務に人をあてることができます。企業の成長や新たな戦略を見いだせるようになるでしょう。
労務管理コストをおさえられる
労務管理コストとは、給与計算や保険関連の事務的なコストのことをいいます。自社採用の場合は当然自社で労務管理をしなければなりませんが、派遣労働者の場合は雇用主が派遣元であるため人材派遣会社がおこないます。自社で人材を採用するよりも、労務管理の手間やコストが削減できるでしょう。
教育コストを削減できる
教育コストが削減できるのも人材派遣サービスを活用するメリットです。人材派遣会社には多くの人材が登録しており、一定のスキルや経験を有した労働者も少なくありません。自社で採用してイチから教育する必要がないため、教育コストをカットできるのです。
ただし、基本的なルールに関しては自社で対応しなければなりません。完全に手放しで仕事をお願いできるわけではない点に注意しましょう。
企業が人材派遣サービスを利用するデメリット
おもにコストという面でメリットが大きい人材派遣サービスの利用ですが、覚えておくべきデメリットも存在します。具体的には以下の3点に注意しましょう。
- 自社にノウハウを蓄積しにくい
- 帰属意識が低くなりやすい
- 派遣受入期間に制限がある
自社にノウハウを蓄積しにくい
人材派遣サービスではスキルや経験を持った労働者を、ピンポイントで受け入れることができます。しかし派遣労働者には派遣期間が設けられており、人が育ってきても一定のタイミングで入れ替わりが避けられないという問題があります。派遣労働者が希望すれば直接雇用への切り替えも可能ですが、必ずしも該当するわけではないため、派遣労働者に任せている業務が俗人的になってしまうと社内でノウハウを蓄積しにくく、企業の成長が鈍化してしまう恐れがあるのです。
基本的にはコア業務やその他重要と位置付ける仕事は派遣労働者に任せず、ルーティーンなどになっている業務を担当させると良いでしょう。
帰属意識が低くなりやすい
派遣労働者特有の問題として、帰属意識が低くなりやすい傾向にあります。帰属意識とは企業に対する思い入れのことです。派遣労働者の雇用主が人材派遣会社になることも原因のひとつですが、就業期間に年数制限があることも、派遣労働者の帰属意識が低くなりがちになる原因とされています。
対策としては、受け入れ先の部署やチームで派遣労働者に対するルールや制度を決めておくと良いでしょう。担当者だけが腐心するのではなく、企業全体で派遣労働者を迎え入れる体制が必要です。
派遣受入期間に制限がある
派遣労働者には労働者派遣法において派遣受入期間の上限が設けられています。事業所単位・個人単位共に3年間であり、原則それ以上の就業ができません。ただし事業所単位であれば一定の手続きを踏むことで、更に最長3年間の契約延長が可能です。詳細は以下の記事で詳しく解説しています。
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企業における人材派遣サービスの利用シーン
次のようなケースで、企業が人材派遣サービスを利用するシーンがあります。
- 特定の期間での人員を増加したい
- 社員の負担を減らしたい
- 人件費のコストを削減したいなど
企業によって人材派遣サービスを利用したいシーンは異なります。
たとえば、特定の時期や繁忙期になると人手不足が発生しやすい職場では、スポット的な人員補充の方法として人材派遣サービスが活用されることが多いです。
また、業務を委託することで、社員の負担が削減され、コア業務に集中できる環境を目指すこともできます。別の人材派遣サービスを利用していたが、値上げ要請を受けて人材派遣サービスを切り替えるといったケースもあります。
上記以外でも人材派遣サービスを利用するシーンはありますが、人手不足や社員の負担削減など、企業における問題点を解決したい場合に人材派遣サービスを活用しましょう。
企業担当者が知っておきたい人材派遣サービスの選び方
人材派遣会社は非常に数が多く、簡単に選べないのが現状です。新たに人材派遣サービスを活用したいと考えている場合、以下の基準で人材派遣会社を探すと良いでしょう。
- 派遣形態
- 得意分野
- 対応エリア
- スタッフ
それぞれ詳しく見ていきます。
派遣形態
ひと口に労働者派遣といっても、大きく以下の3つに分類できます。それぞれ特徴が異なるため、どのような派遣形態なのかを覚えておきましょう。
人材派遣会社によって、どの派遣形態が得意なのかが異なります。「派遣労働者を迎え入れたい」とひと口にいっても、一時的で良いのか直接雇用することを前提とするのか、などを見極めて人材派遣会社を探すと良いでしょう。
登録型派遣
一般型と呼ばれる派遣形態。派遣会社と派遣労働者の間で雇用関係が結ばれ、派遣会社と派遣先が派遣契約で定めた期間内のみ雇用契約が成立する。一時的な人材補充が必要になった場合に活用したい派遣形態でもある。
紹介予定派遣
正社員・契約社員・アルバイトでの直接雇用を前提とした派遣形態。派遣期間は最長6ヵ月と短いが、自社が望んでいる人物か派遣受入期間中に見極められる。直接雇用となった場合は派遣料とは別に紹介手数料を人材派遣会社に支払うしくみ。
無期雇用派遣
常用型派遣と呼ばれる人材派遣の形態。派遣会社と派遣労働者の間で期間を設けずに雇用契約を結ぶ。
得意分野
人材派遣会社によって、得意な業界や職種が異なります。
人材派遣サービスを利用する企業側として、自社の業種に特化した人材派遣会社であれば必要なスキルや経験を持った人材を見つけてもらいやすくなります。
対応エリア
対応エリアの広さも、人材派遣会社を選ぶうえでの基準のひとつです。全国展開する人材派遣会社もあれば、
全国展開する人材派遣会社は、広いエリアにおいて多様な人材を集められる可能性があるでしょう。一方、地域に特化している人材派遣会社は、その地域の市場やニーズに合ったサービスを提供している場合があります。
スタッフ
ここでいうスタッフとは、人材派遣会社に登録されている登録スタッフの数のことです。登録スタッフ数が多ければ、大人数の派遣依頼へ対応してもらえる可能性があります。一概にはいえないものの、登録スタッフ数を見て依頼先を決めても良いかもしれません。
また、登録しているスタッフだけではなく、人材派遣会社の担当者もきちんと確認しておきましょう。事務的な対応だけでなく、自社の課題解決に向けて動いてくれる人材派遣会社を選ぶのがベストです。
企業が人材派遣サービスを利用する流れ
人材派遣サービスを利用する際の流れは以下のとおりです。
1. 人材派遣サービスに依頼する
2. 人材派遣サービスと打ち合わせをする
3. 人材派遣サービスより募集の結果が通知される
4. 契約締結
上記を順番に解説します。
人材派遣サービスに依頼する
まずは、人材派遣サービスに人材募集の依頼や問い合わせをしましょう。
なお、依頼や問い合わせ方法は人材派遣サービスによって異なるため、確認しておくと良いです。
人材派遣サービスと打ち合わせをする
人材派遣サービスに依頼したら、担当者と人材募集に関する打ち合わせを始めます。
打ち合わせ内容として、派遣してほしい人材のスキルや条件、自社の就業環境などを聞かれることが多いです。
そのため、事前に募集したい人物像や、就業環境の見直しをしておくと、スムーズに打ち合わせが進みます。
人材派遣サービスより募集の結果が通知される
打ち合わせをして募集したい人材の人物像が決まれば、サービスによって多少異なりますが、条件にマッチしていて派遣可能な人材が通知されます。
契約締結
人材の紹介を受けたら、最後は契約を締結するだけです。
なお、人材派遣を依頼した企業は派遣労働者と契約を結ぶ必要はありません。
人材派遣サービスから人材を派遣してもらう場合、人材派遣サービスと基本契約や個別契約を結びます。
継続的に取引するうえでの共通事項や、派遣労働者の業務内容や派遣先、就労条件などをすりあわせて、問題がなければ締結しましょう。
人材派遣サービスとの契約について詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。
人材派遣サービスに関するよくある質問
人材派遣サービスを利用するメリットとデメリットは?
企業が人材派遣サービスを利用する | |
メリット | 採用コストを削減できる 労務管理コストをおさえられる 教育コストを削減できる |
デメリット | 自社にノウハウを蓄積しにくい 帰属意識が低くなりやすい 派遣受け入れ期間に制限がある |
人材派遣サービスを選ぶポイントは?
人材派遣サービスを選ぶポイントは以下のとおりです。
- 派遣形態
- 得意分野
- 対応エリア
- スタッフ
人材派遣サービスごとに派遣する形態や得意分野、対応エリア、登録スタッフの数などが異なります。サービス内容を比較して、自社に合った人材派遣サービスを選ぶようにしましょう。
人材派遣サービスを利用する際に重要なことは?
人材派遣サービスを利用する際にもっとも重要なことは、人材派遣会社へおこなう条件の提示です。
派遣先企業は、どのような人材に来てほしいのかを明確に伝えるようにしましょう。この部分が甘いと派遣会社が登録スタッフから人選する際に、派遣先企業の希望とのマッチング確度が低くなり、ギャップを生みかねません。
もちろん、派遣労働者の正式な受け入れが決まったら、社内で受け入れる体制を整えましょう。
まとめ
人材派遣サービスを活用すると、企業で停滞していた業務の改善や企業の成長に大きく貢献できる可能性は高いです。
また、急な人員不足や採用に関するコストなどの問題の解決につながる可能性もあります。
ただし、どの人材派遣会社も派遣先企業の求めるような人材を必ずしも派遣できるとは限りません。派遣依頼に沿った人材の派遣ができるかなどを含め、人材派遣会社を見極めることも重要になってきます。
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