【法人向け】製造業の人手不足の解決策を紹介!実態や原因、企業への影響を詳しく解説
製造業では人材不足の解消が急務となっています。人材不足を解消する方法はさまざまありますが、まずは根本の原因を理解することが大切です。この記事では、製造業で人手が不足している原因や現状、今後も続く人手不足に対する解決策を紹介します。
目次
- 労働人口が減少しているから
- 労働環境が悪化しているから
- 悪いイメージを持たれているから
- 顧客満足度が低下する
- 事業を縮小せざるをえなくなる
- 製造業の悪いイメージを払拭する
- 外国人を積極的に採用する
- 女性労働者を積極的に採用する
- シニア人材を積極的に採用する
- 人材紹介・派遣会社を利用する
- ワークバランスを整える
- 給与や福利厚生を見直す
- 評価制度を見直す
- 風通しの良い職場づくりをする
- 人材育成を強化する
製造業の人手不足の実態
引用元:経済産業省「2022年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)」
経済産業省が公開している「2022年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)」によると、製造業の就業者数は2002年の1,202万人から約20年間で157万人も減少しています。若者の就業者数は2002年からの20年間で121万人の減少。高齢者の就業者数は20年間で33万人に留まるため、とくに若者離れが深刻化しているといえます。
全産業に対する製造業の割合も19.0%から15.6%に減少し、事業所数も減っているのが現状ですが、いずれの企業においても人手不足感は拭えない状態になっています。
製造業の人手不足が起きる原因
製造業で人手不足が起こっているのには、次のような理由があげられます。
- 労働人口が減少しているから
- 労働環境が悪化しているから
- 悪いイメージを持たれているから
少子高齢化による労働人口の減少はもちろんですが、このほかの大きな理由として3Kのイメージがあることがあげられます。「きつい」「汚い」「危険」という労働環境のイメージが定着しているため、製造業を希望する人材が減っていると考えられます。
労働人口が減少しているから
引用元:総務省「令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少」
日本の出生数は第二次ベビーブームを迎えた1973年の209万人から右肩下がりに減少。2019年には半数以下の87万人と、出生数は激減しています。この結果、少子高齢化が進み、生産年齢人口(15~65歳)も減少の一途を辿っています。
総務省の「令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少」によると、生産年齢人口は、1995年をピークに減少に転じています。1995年には8,716万人いた生産年齢人口も2020年には7,509万人に減少。25年の間に1,200万人も減っていることになります。この傾向は今後、更に加速。30年後の2050年には5,275万人になり、30年間で約2,200万人も減少すると推計されており、さらなる人手不足に見舞われる見通しです。
労働環境が悪化しているから
製造業ではもともと残業や深夜勤務があたりまえの業界でしたが、先にあげた人手不足により1人あたりの作業負荷が高くなっています。
また、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした緊急事態宣言の影響で、製造を止めざるをえなかったことも労働環境の悪化に起因しています。需要はあるのに製造をストップせざるを得なかった期間があったため、活動を再開した際にそのしわ寄せで一気に労働環境が悪化。業績の悪化も手伝い、人手不足感を加速させています。
悪いイメージを持たれているから
製造業は「きつい」「汚い」「危険」であるという、いわゆる3Kのイメージが強く、とくに若い世代から敬遠されがちです。また、交替勤務制で生活リズムが整いづらいことや、単純作業がつらいといった理由からほかの業種に転職する方も多く見られます。
これらの理由からそもそも求職者が少ないうえに定着率が悪く、離職率が高いことが製造業の人手不足につながっていると考えられます。
製造業の人手不足で起こる問題・影響
製造業の人手不足により、次のような問題や影響が出ると考えられます。
- 顧客満足度が低下する
- 事業を縮小せざるをえなくなる
顧客満足度が低下する
人手不足により長時間労働やノルマの増加など、1人あたりの作業負荷が増えればミスが多発。パフォーマンスが下がることによる品質の低下が懸念されます。製品の質が下がれば、当然ですが顧客満足度も低下していきます。
事業を縮小せざるをえなくなる
顧客満足度が低下すると、売上が低迷します。これにより更に人材確保にコストをかけられなくなり、人手不足が加速。生産ラインの維持ができなくなり生産数を落とさざるをえなくなります。その結果、売上は更に低迷。事業縮小や最悪の場合、倒産の可能性も考えられるでしょう。
【製造業の人手不足対策①】新規採用で人材を確保する
製造業で生じる人手不足の問題は、新規採用が難しい現状が原因のひとつです。以下、製造業の人手不足対策として、新規採用で人材を確保する方法を紹介します。
製造業の悪いイメージを払拭する
製造業は、3Kのイメージが強いため、労働環境としてマイナスの印象を持つ方が多いです。そのため、新規採用で人材を確保するためには、まず製造業の悪いイメージを払拭することが大切です。
たとえば、近年は働き方改革を推進している企業が多いですが、自社でも労働環境の見直しをしているのであれば、その事実を社外に向けて発信するなどがあげられます。
広報活動の方法はさまざまありますが、自社のウェブサイトに職場環境を掲載したり、SNSを活用したりと、複数の手段を用いて社外にアピールすることで、自社に興味を抱く方も徐々に増えてくるでしょう。
ただし、上記の方法は早期に効果があらわれるものではないため、長期的な視点が必要です。ほかの対策とあわせて広報活動を進めましょう。
外国人を積極的に採用する
母国では難しい技能の修得を目的に日本に来日する外国人技能実習生を受け入れるのもひとつの手です。最長で5年間と期間は限定されますが、文化やバックボーンが異なる外国人技能実習生を受け入れることで多様性が産まれ、事業の思わぬ課題や解決策が見つかる可能性もあります。
ただし、文化やバックボーンが違うからこそ労働環境の整備が必要です。母国語に対応したマニュアルや生活習慣への配慮などはもちろん、日本人ならではの常識を押しつけないように注意しましょう。
女性労働者を積極的に採用する
新規採用で人材を確保する方法としては、女性を積極的に採用することも効果的です。2022年の時点では、全産業の女性就業者の割合が45%に対して、製造業は約30%とまだまだ少ない状況です※。
製造業は肉体労働のイメージを抱く女性も多いですが、近年はオートメーション化が進んでいるため、女性でも働きやすい労働環境が整ってきています。
女性の従業員を積極的に採用することで、労働環境や制度が整っているイメージを定着させることにもつながり、人材の確保だけでなく、製造業全体のイメージアップにも期待できるでしょう。
シニア人材を積極的に採用する
製造業の人材不足を解消する方法としては、シニア層の新規採用を強化することも手段としてあげられます。
製造業の高齢就業者数は、2020年から2022年までの20年間で32万人増加していますが、就業者割合では、全産業と比べてまだ少ない状況です※。
現在は、健康寿命が延びていることもあり、65歳以上でも十分に働ける方が多数います。シニア層は、分野は違っても経験やスキルを持った方が多いため、シニア層を採用することで、新たなアイディアなどが生まれることも期待できます。
※出典:経済産業省・厚生労働省・文部科学省「2023年版 ものづくり白書」
人材紹介・派遣会社を利用する
人手不足の解消方法としては、人材紹介・派遣会社の利用も有効な手段です。人材紹介・派遣会社では採用活動を代行してくれます。企業は希望人材と雇用条件を伝えて待っているだけで、マッチする人材が見つかればその都度、紹介を受けられます。
人材紹介・派遣会社に登録してからすぐに人材を探してくれるので、採用期間の短縮も期待できます。成果報酬型なので、紹介してもらっても入社や契約にいたらなければ費用も発生しません。そのため、自社で採用活動する場合と比較するとコストも手間もおさえられます。
人材紹介サービスや人材派遣サービスに関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
関連記事:「人材紹介サービスのメリット・デメリットとは?採用率を上げるコツや注意点も解説」
関連記事:「人材派遣サービスとは?メリットやデメリット、利用するときの流れをわかりやすく解説」
【製造業の人手不足対策②】従業員の離職を防ぐ
製造業の人手不足は、離職率が高いことも影響しています。そのため、人材不足対策としては、従業員の離職を防ぐことも効果的です。
以下、製造業で従業員の離職を防ぐ方法を紹介します。
ワークバランスを整える
製造業で人手不足に陥る大きな要因は、「きつい」「汚い」「危険」という労働環境にあります。そのため、ワークバランスを整えることで、人手不足解消につながる可能性があります。
- 短時間労働を導入する
- 残業の削減
- 深夜労働の削減
- 職務内容に対して適正な給与かどうかの見直し
また、ワークバランスの改善に加えて、能力値を正しく評価し、相応の給与を支払うことで従業員のモチベーションアップにつながります。
3Kのイメージから脱却することで求職者が増え、適正な給与により離職率の低下が見込めるでしょう。
給与や福利厚生を見直す
従業員の離職を防ぐためには、従業員満足度(EC)や従業員エンゲージメントを向上させることが大切です。
ECは働きやすさや福利厚生、給与面など複数の要素で構成された従業員の満足度のことで、従業員エンゲージメントは会社に対する愛着心をさします。
ECや従業員エンゲージメントを高める方法はさまざまありますが、中でも福利厚生や給与は重要な要素のひとつです。
そのため、自社が仕事内容に伴った給与相場になっているか、ECや従業員のエンゲージメントを高めるような福利厚生があるかなど、見直してみると良いでしょう。
評価制度を見直す
従業員の離職を防ぐためには、評価制度の見直しも重要です。評価に対して不満がある場合は、離職につながることが多いため、公平な評価制度なのか、透明性の高い評価制度になっているのかを見直してみましょう。
また、評価制度を見直すことで、ECや従業員エンゲージメントの向上につながり、従業員のモチベーションが上がることも期待できます。
風通しの良い職場づくりをする
従業員の離職を防ぐためには、職場環境も重要です。コミュニケーションを取りやすい環境の整備や、風通しの良い職場作りをおこなうことで、従業員同士の関係が深くなったり、ストレスを軽減できたりするため、離職を防ぐことにつながります。
また、労働の中で上司や同僚には相談しにくい内容が生じることもあるため、従業員用の相談窓口や心理カウンセラーの設置なども進めておくと良いでしょう。
人材育成を強化する
既存の従業員の業務効率を上げて生産性を向上させれば、人材不足を補えます。ただし、これには人材育成がつきもの。従来の「仕事ぶりを見て覚える」では効率が悪過ぎるので、育成体制の整備・強化が必須になります。ベテランの技術を言語化・見える化して共有すれば、効率良くスキルの修得が可能。一人ひとりの業務効率が上がれば、人材不足の穴も埋められるでしょう。
【製造業の人手不足対策③】DXを推進する
人材不足の解消には、DX化も重要です。DXとは、デジタル化・IT化による業務効率の改善を意味します。IoTやAIツールを導入して業務を自動化すれば、人材不足でも作業効率を上げられます。
また、定型業務や軽作業、単純作業などのインコア業務をITツールに任せてしまえば、コア業務に人手と時間を割けるようになるため、売上アップにも期待が持てるでしょう。
今後、生産年齢人口の減少は避けられないため、どの産業においても人手不足が加速します。人材獲得競争はより激化するため、労働環境を改善して3Kのイメージを払拭したとしても人手不足はなくならないかもしれません。
そのため、DX化を推進して業務効率を上げなければ、製造業は更に縮小する可能性も考えられます
まとめ
「製造業=3K」というイメージを払拭できなければ人手不足の解消は望めません。その間にも需要は増え続けるため、対策は急務です。
人材不足の対策には新規採用を強化したり、離職を防いだりするほか、DX化の推進もあげられます。
ただし、ITツールの導入にはまとまった資金が、人材育成にはある程度の時間が必要なため、早急な解決は難しいでしょう。それに比べると、人材派遣・紹介サービスは比較的導入しやすく、すぐにでも人材不足を解消できる方法といえます。登録すればすぐに人材を探してくれるので、まずは現場の業務負荷を下げるためにも人材派遣・紹介サービスで足りない人数を補充して、労働環境の改善を図りましょう。
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