正社員の雇用に紹介予定派遣を活用するメリットは?注意点3つも解説
正社員を採用する方法のひとつに、紹介予定派遣があります。紹介予定派遣とは、直接雇用の契約を結ぶことを前提とした派遣形態です。本記事では正社員の雇用に紹介予定派遣を活用するメリットとデメリットについて解説します。通常の採用活動とは異なるメリットがあるため、正社員の雇用を検討している方は活用を検討してみてはいかがでしょうか。
目次
- 採用・育成コストを削減できる
- 雇用後のミスマッチを防止できる
- 応募者が限定される
- 正社員の雇用を辞退される場合がある
- 契約終了の1カ月前までに決める
- 早期退職でも手数料は返ってこない
- すぐに派遣社員へ切り替えられない
正社員の雇用に紹介予定派遣を活用するメリット
正社員の雇用に紹介予定派遣を活用するメリットには、以下のようなものがあります。
- 採用・育成コストを削減できる
- 雇用後のミスマッチを防止できる
採用・育成コストを削減できる
自社で採用活動をおこなう場合、求人広告の費用や説明会の会場費、応募者の交通費、採用担当者の人件費などがかかります。また、入社後も育成担当者の人件費や研修費などもかかるため、一人を採用するのに数十万円もの費用がかかってしまうのです。
しかし、紹介予定派遣を活用すれば自社で採用活動をおこなう必要はないため、上記のような費用は発生しません。高いスキルを保有する人材を採用すれば、入社後すぐに即戦力として活躍してくれるため、育成の費用や手間も削減できます。
雇用後のミスマッチを防止できる
紹介予定派遣では、直接雇用の前に最長6ヶ月もの派遣期間が設けられています。企業側は派遣社員の働きぶりをじっくり確認したうえで採用するか検討します。一方、派遣社員側も業務内容や社内の雰囲気などを確認したうえで直接雇用の契約を結ぶか検討するため、通常の採用活動よりも雇用後のミスマッチが起こりにくい点が魅力です。
なお、一般的な労働者派遣では派遣社員に対して入社前に面接を実施することは禁止されています。しかし、紹介予定派遣ではその限りではなく、派遣期間が始まる前に面談をおこなうことが可能です。履歴書や職務経歴書に加えて、人柄や意思なども確認できるため、派遣期間中の早期離職を起こりにくくできます。
正社員の雇用に紹介予定派遣を活用するデメリット
紹介予定派遣にはデメリットも存在しているため、メリットと併せて理解しておくことがおすすめです。正社員の雇用に紹介予定派遣を活用するデメリットには、以下のようなものがあります。
- 応募者が限定される
- 正社員の雇用を事態される場合がある
応募者が限定される
紹介予定派遣を活用して正社員を雇用しようとした場合、通常の採用活動よりも応募者が限定されるというデメリットがあります。
正社員として働きたいと考えている求職者の中には、紹介予定派遣というステップを踏まずに、すぐに正社員として雇用契約を結びたいと考える人がいます。そのような人は紹介予定派遣を希望して派遣会社に登録されないため、通常の採用活動よりも応募者が限定されてしまうのです。
また、紹介予定派遣を希望して派遣会社に登録しているからといって全員が正社員を希望しているわけではありません。紹介予定派遣は直接雇用を前提とした派遣形態であり、契約社員やパートを希望している人も多くいます。
正社員の雇用を辞退される場合がある
派遣社員から正社員登用の同意を得られれば、派遣期間の終了後に直接雇用へ切り替わります。しかし、派遣社員から正社員登用を辞退するケースも存在しており、紹介予定派遣として働いているからといって、必ず正社員の契約を結べるとは限りません。派遣社員に正社員登用を辞退された場合、正社員を雇用できずに、育成にかけた時間と費用などが無駄になる点が紹介予定派遣のデメリットです。
紹介予定派遣で正社員登用を辞退される原因
紹介予定派遣で正社員登用を辞退される原因には、以下のようなものが挙げられます。
- 想定よりも激務だった
- 想定していた仕事内容と違っていた
- 残業が多い
- 職場の人間関係が悪かった
- 自分の能力や経験を活かせなさそう
- 社風が合っていない
- スキルアップを期待できない
想定していた仕事と違った、という理由で辞退する人が多いようです。事前面談で業務について話していても、業務の細かい内容や職場の雰囲気など実際に働いてみないとわからないことも多いため、できる限り実際とギャップがないように説明しておくようにしましょう。
紹介予定派遣から正社員を雇用する際の注意点
紹介予定派遣から正社員を雇用する際の注意点として、以下の3つを紹介します。
- 契約終了の1カ月前までに決める
- 早期退職でも手数料は返ってこない
- すぐに派遣社員へ切り替えられない
紹介予定派遣を検討している場合は、どのような注意点があるのかここで理解しておきましょう。
契約終了の1カ月前までに決める
派遣期間が終了する1ヶ月前あたりには、派遣社員を正社員として雇用するか決断する必要があります。直接雇用の契約を結ばないと判断した場合には、そう判断した理由を派遣会社に書面やFAX・電子メールで明示しなければなりません。
第7条の18(紹介予定派遣)
(2)職業紹介を希望しない場合又は派遣労働者を雇用しない場合の理由の明示
派遣先は、紹介予定派遣を受け入れた場合において、職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた派遣労働者を雇用しなかった場合には、派遣元事業主の求めに応じ、それぞれその理由を派遣元事業主に対して書面、ファクシミリ又は電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第1号に規定する電気通信をいう。以下この(2)において「電子メール等」という。)(当該派遣元事業主が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成すること
ができるものに限る。)により明示すること。
なお、派遣社員に対しては、派遣会社から書面によって不採用の連絡をおこないます。
早期退職でも手数料は返ってこない
一般的な人材紹介の場合には、紹介された人材が早期で離職すると、人材紹介会社に対して手数料の返金請求をおこなうことが可能です。しかし、紹介予定派遣の場合には、直接雇用後に早期離職があったとしても、原則派遣会社から手数料は返金されません。
すぐに派遣社員へ切り替えられない
直接雇用していた人材を派遣社員として受け入れるためには、その人材が離職してから1年を経過している必要があるうえ、そもそも派遣先企業は派遣社員を特定することはできません。派遣社員を直接雇用に切り替えた後に、派遣社員の方が働きやすいなどの理由で、すぐに派遣社員に切り替えることもできないのです。
直接雇用として受け入れるべき人材を派遣社員として採用することで、労働条件を切り下げる場合があり、労働者の保護を目的として労働者派遣法で以下のように定められています。
第四十条の九 (離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止)
派遣先は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする場合において、当該労働者派遣に係る派遣労働者が当該派遣先を離職した者であるときは、当該離職の日から起算して一年を経過する日までの間は、当該派遣労働者(雇用の機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続等を図る必要があると認められる者として厚生労働省令で定める者を除く。)に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。
まとめ
本記事で紹介した紹介予定派遣のメリット・デメリットを以下の表にまとめました。
メリット | デメリット |
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紹介予定派遣を活用すると、通常の採用活動で正社員を雇用する場合よりも、採用・育成コストを削減できたり、雇用後のミスマッチを防止できたりします。さまざまなメリットがあるため、本記事で説明したデメリットも踏まえたうえで、利用するか検討してください。
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