【法人向け】短期派遣バイトとは?企業が利用するメリットやデメリット、実際の事例などを解説
繁忙期やイベント時など、「短期間だけ人手が欲しい」という企業は多いのではないでしょうか。その解決策の一つとしてあげられるのが短期派遣バイトです。
この記事では、短期派遣バイトについて、普通のアルバイトとの違いから受け入れる際のメリット・デメリット、注意点などを紹介します。
目次
- 普通のアルバイトとの違い
- 派遣バイトと派遣社員の違い
- 一時的な業務量の増加に対応できる
- 採用・労務処理の手間を削減できる
- 最適な人材の紹介が受けられる
- 受け入れコストが高い
- 短期派遣バイトにかかる費用の目安
- 経験・スキル不足
- 職場の雰囲気が悪くなる可能性がある
- 日雇い(30日以内)の場合、人材層が限定される
- 派遣できない業務がある
- 正社員と扱いを区別しない
- 物流波動にあわせて人員をコントロールできた
- 繁忙期でも人員を確保できた
- 大量の人材を一度に集めることができた
短期派遣バイトとは?
短期派遣バイトとは、文字どおり「短期間だけ派遣で働くアルバイト」です。企業としては一時的な人手不足を補うのに役立つ存在です。似たような言葉に単発バイトがありますが、短期バイトとの明確な違いはありません。
強いていうなら、期間の違いがあげられます。3ヵ月以内のアルバイトを短期バイト、1日から数日単位のアルバイトを単発バイトと認識されることが多いでしょう。
普通のアルバイトとの違い
派遣バイトと通常のアルバイトとの違いは次のとおりです。
派遣バイト | 通常のアルバイト | |
---|---|---|
雇用主 | 派遣会社 | 勤務先の企業 |
給与の支払い | 派遣会社 | 勤務先の企業 |
期間 | 期間の制限あり | 期間の制限あり(更新可能) |
人材が持つスキル | 高め | 派遣バイトより低い方が多い |
人材確保 | 派遣会社 | 勤務先企業 |
両者にはこのような違いがあり、派遣バイトの場合は雇用主が派遣会社になるため、人材確保から給与の支払いまで派遣会社が対応してくれます。そのため、派遣先企業は現場での教育や指揮命令、管理などに注力できます 。派遣先企業には派遣料金の支払いが必要になりますが、通常のアルバイトよりも楽に人材を確保可能です。
派遣バイトと派遣社員の違い
派遣バイトと派遣社員は、どちらも派遣元企業に雇用されており、依頼に応じて派遣先企業で働くという基本的な部分は同じです。派遣元企業と労働契約を結び、給与や労働条件なども派遣元企業が管理します。
違いをあげるとすれば派遣バイトは単発や短期間で働くことが前提で、派遣社員は長期間働く傾向があることです。
たとえば、派遣バイトは急な人手不足の案件やイベント対応などの一時的な人手不足を補うために雇用されることが多く、派遣社員は専門的なスキルや経験を活かして最長3年間、長期的に安定した仕事に従事します。
アルバイトと派遣の違いを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
短期派遣バイトを利用するメリット
企業が短期派遣バイトを利用するメリットは次のとおりです。
- 一時的な業務量の増加に対応できる
- 採用コスト・手間が削減できる
- 労務処理の手間が削減できる
- 最適な人材を選定してもらえる
一時的な業務量の増加に対応できる
短期派遣バイトは、最短で31日以上であれば3ヵ月程度の短期間だけ受け入れることも可能です。普段は人手が足りているものの、イベント開催前や決算時などの繁忙期にだけ受け入れることができます。繁忙期後に人手が余ることによる余計な人件費の発生を防ぎやすくなるでしょう。
採用・労務処理の手間を削減できる
派遣会社を利用すれば、人材確保をおこなってくれます。そのため、自社で求人サイトに掲載して面接をする採用コストを削減できます。また、派遣会社が雇用主になるため社会保険への加入や給与の支払いといった労務手続き、退職手続きまで対応してくれるので、自社でアルバイトを雇うよりも労力がかかりません。
最適な人材の紹介が受けられる
自社でアルバイトを募集した場合、「応募者=希望する人材」とは限りません。一方で派遣バイトの場合は、派遣会社に希望する人材の特徴を伝えておけば、登録人材の中から該当する人材を派遣会社がピックアップします。
自社で募集するよりもスピーディーに欲しい人材を確保できます。
短期派遣バイトを利用するデメリット
メリットが多い一方で、企業が短期派遣バイトを利用する際には次のようなデメリットがある点も留意しておきましょう。
- 受け入れコストが高い
- 経験・スキル不足
- 職場の雰囲気が悪くなる可能性がある
受け入れコストが高い
短期派遣バイトの受け入れに際して、派遣先企業が派遣スタッフに直接給与を支払うことはありません。その代わり、派遣会社に「派遣料金」を支払うことになります。派遣料金には「派遣スタッフの給与」を含め、以下のような費用が含まれます。
- 具体的な派遣料金の内訳は次のとおりです。
- 派遣社員の給与
- 社会保険料
- 派遣社員の有給費用
- 諸経費(教育訓練費・福利厚生費、派遣会社社員の人件費など)
- 営業利益
短期派遣バイトの場合、派遣契約の期間によっては、社会保険や有給費用が内訳に含まれないケースもありますが、派遣スタッフの給与に加えて諸経費と派遣会社の営業利益が派遣料金の中に含まれます。
自社でアルバイトを雇用するよりもコストが高くなる傾向にあります。しかし、採用や労務処理は派遣会社がおこなうことを考えれば、派遣バイトの方がお得感があると言えるでしょう。
短期派遣バイトにかかる費用の目安
先に紹介しているとおり、短期派遣バイトは派遣スタッフの給与に加えて社会保険料や営業利益が上乗せされる分、自社でアルバイトを雇うよりもコストが高くなります。
厚生労働省によると、派遣社員の平均派遣料金・派遣賃金は以下のとおりです。
職業 | 平均派遣料金 | 平均派遣賃金(時給) |
---|---|---|
商品販売従事者 | 15,699円 | 10,873円(1,359円) |
清掃従事者 | 14,141円 | 9,801円(1,225円) |
一般事務従事者 | 17,145円 | 11,656円(1,457円) |
運搬従事者 | 15,592円 | 10,846円(1,355円) |
接客・給仕職業従事者 | 15,128円 | 10,542円(1,317円) |
出典:厚生労働省「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」
上記はあくまで平均であるため、必ずしもこの金額を支払うことになるわけではありませんが、自社雇用よりも多少多めに費用がかかることは留意しておきましょう。
経験・スキル不足
短期派遣バイトは、短期的に業務に入ってもらうため、一般社員と比べて経験やスキル不足が懸念されます。職種の経験があったとしても職場によってやり方や使用するソフトが違う場合は、教育が必要になるのでその分の手間が発生する点は否めません。
教育が必要な場合は、繁忙期になる前に受け入れるのがおすすめです。どうしても教育に時間を割けない場合は、業務経験はもちろん、ソフトの使用経験など、派遣会社に希望する人材の条件を細かく出すようにしましょう。
職場の雰囲気が悪くなる可能性がある
短期派遣バイトの場合は繁忙期に入ることが多いため、職場はすでに慌ただしい雰囲気であることが予想されます。そのなかで、うまく立ち回れない派遣スタッフが来てしまうと、たとえ経験やスキルが十分にあったとしても、職場の雰囲気を悪くしかねません。
そのため、短期派遣バイトを依頼する際は、任意の職場見学での受け答えなどを十分にチェックしておきましょう。コミュニケーション能力や空気を読む力がある方であれば、繁忙期のピリついた雰囲気のなかでもうまく立ち回ってくれるはずです。
短期派遣バイトを受け入れる際の流れ
短期派遣バイトを受け入れる際の流れは次のとおりです。
- 依頼する派遣会社を選ぶ
- 人材の希望条件・就労条件を伝える
- 派遣会社が募集・選考をおこなう
- 就業
- 派遣料金の支払い
まずは派遣会社の選定からです。最適な人材・必要数を揃えられるかは派遣会社によるといっても過言ではありません。そのため、派遣会社の選定はもっとも重要な項目です。派遣会社のHPなどをよくチェックして、得意な職種や登録人数を確認しておきましょう。
また、短期派遣バイトの場合は勤務地が遠方になることも考えられるので、全国に支社があるかどうかも要チェックのポイントです。
派遣会社の費用については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【職種別】派遣会社に払う金額の相場は?内訳や影響する要素について説明
短期派遣バイトを受け入れる際の注意点
短期派遣バイトを受け入れる際には次の点に注意しておきましょう。
- 日雇い(30日以内)は禁止されている
- 派遣できない業務がある
- 正社員と扱いを区別しない
日雇い(30日以内)の場合、人材層が限定される
人材派遣では派遣法によって30日以内の日雇いが禁止されています。そのため、30日以内で人材の受け入れを考えている場合は、短期人材紹介サービスの利用を検討した方が良いでしょう。
ただし、日雇派遣の原則禁止とは、派遣元と派遣労働者の雇用契約において、31日未満の雇用契約を禁止するものです。
そのため、派遣先Aとの派遣契約を3週間、派遣先Bとの派遣契約を2週間締結し、派遣先AとBをあわせて、派遣労働者と5週間の雇用契約を締結している場合もあります。まずは派遣会社に相談してみてください。
派遣できない業務がある
次の業務はそもそも派遣が禁止されているため、バイトであっても派遣の受け入れはできません。
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 医療業務
- 士業
港湾運送業務や建設業務、警備業務においては各業界の制度や法律によって派遣が禁止されています。医療関係業務は派遣会社が労働者の変更・決定をおこなうことから、従業員同士の意思疎通が図りづらいため、人材派遣の利用は禁止となっています。
士業は資格者個人がそれぞれ業務の委託を受けておこなうことから、指揮命令を受けることがないため禁止されています。
正社員と扱いを区別しない
派遣先企業には、自社社員と派遣スタッフの待遇を区別せずに同等のものにすることが求められます。なぜなら待遇の差があると不平・不満により派遣スタッフが仕事に注力できないおそれがあるからです。
なお、派遣先企業は自社社員と派遣スタッフの待遇情報を派遣会社に提供する必要があります。派遣会社はこれを基に派遣スタッフの待遇を検討・決定することが、厚生労働省の提唱する「同一労働同一賃金」によって義務化されています。
短期派遣バイトの成功事例
以下で、短期派遣バイトが役立った事例を順番に解説します。
物流波動にあわせて人員をコントロールできた
物流波動とは、季節やプロモーション、需要の変化などによって商品の出荷量や入荷量が日々変動する現象を指します。物流量の変動が大きくなると、通常の人員だけでは業務が滞ってしまい、生産性や顧客満足度に悪影響を及ぼす可能性を否定できません。
そのため、ある企業では物流波動に対応するために短期派遣バイトを導入しました。
日々の物量変動にあわせて必要な人数を派遣バイトで補うことで、社員の過剰な残業を削減でき、業務の効率化とコスト削減が実現され、社員の負担軽減にもつながるなどの多くのメリットを得ることができます。
繁忙期でも人員を確保できた
業種によっては特定の時期になると忙しくなり、同業他社と競合してしまい人手が確保できないことも珍しくありません。
ある企業では、派遣会社と連携することで、繁忙期でも必要な人数を迅速に確保できました。
派遣バイトを有効活用すれば、業務の停滞や効率の悪化を防げます。特定の時期に忙しくなる業種では、派遣バイトの導入を検討してみましょう。
大量の人材を一度に集めることができた
地域によっては交通の便が悪い、人口が少ないなどの理由から大量の人材を確保しにくいことがあります。
しかし、ある企業では派遣会社に派遣バイトを依頼したところ、人員の確保と同時に送迎バスの手配もおこなったため、人材を確保しにくい地域でも短期間に集めることに成功しました。
事業者によって対応や人員確保のフローなどは異なりますが、自社で集めるよりも効率的に、大量の人材を確保できる可能性はあります。大量の人材を確保したいときは、派遣会社に相談してみると良いでしょう。
まとめ
短期派遣バイトは無駄な人件費を生むことなく、繁忙期を乗り切る最適な手段です。また、採用にかかる手間やコスト、労務処理も省けるため、最小限の労力で人材の確保が可能になります。
自社で短期募集をするよりも最適な人材が見つかりやすいのも大きなメリットといえるでしょう。短期派遣バイトを活用したことがない場合は、ぜひこの機会に受け入れを検討してみてはいかがでしょうか。
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