アルバイトの定着率が低いとどうなる?|離職の原因や定着率向上の対策を解説
アルバイトを雇ってもすぐに辞めてしまうなど、なかなか定着せず離職率が高い企業も少なくないでしょう。アルバイトの定着率が低いと、様々なところで問題が生じます。経営者や事業主は、アルバイトの離職率を下げる方法を考えなければなりません。
本記事では、定着率と離職率の計算方法や離職率が高いことによる損失、離職率が低くなる原因と定着率向上にできる対策を解説します。
目次
- 定着率・離職率の計算方法
- アルバイトの平均定着率
- 採用コストが高くなる
- 定着率が10%違うだけで費用の差は膨大!
- 人材が集まらなくなる
- 世間からの印象が悪くなる
- バイト先の人間関係が悪い
- 仕事内容が合わない
- 労働時間や日数に不満がある
- 時給や収入が低い
- 新人に対する教育体制を整える
- 制度や待遇を改善する
- 求人にギャップがないか確認する
- コミュニケーションをとる
定着率・離職率とは?
定着率とは、一定の期間で入社した人がどのくらい仕事を続けているのか可視化した数字です。一方の離職率とはその逆の数字で、特定の期間内に何人が退職したかを示します。
定着率と離職率には計算方法があり、担当者自ら計算できます。それぞれの詳細を見てみましょう。
定着率・離職率の計算方法
定着率と離職率を算出するには、以下の数式を用います。
離職率=求めたい期間の離職者数÷年度初めの従業員数
定着率= 100−離職率 |
定着率はアルバイトやパートの人数にかかわらず、一律100とします。これとは別に離職率を算出し、定着率100から離職率を引くことで、事業所の定着率を算出できます。
例えば、年度始めのアルバイト人数は30人で、1年で4人やめてしまった場合の離職率と定着率は以下の通りです。
離職率=4人÷30人=0.133333…≒13%
定着率= 100-13=87% |
上記の場合、定着率は87%となります。このようにして定着率と離職率を計算します。
アルバイトの平均定着率
アルバイトの平均定着率はどのようになっているのでしょうか。厚生労働省が発表した「-令和3年雇用動向調査結果の概況- 」及び「令和2年雇用動向調査結果の概要」では、以下の通りとなっています。
離職率 | 定着率 | |
---|---|---|
2021年 | 21.3% | 78.7% |
2020年 | 23.3% | 76.7% |
2019年 | 26.4% | 73.6% |
3年間の平均 | 22.8% | 77.2% |
参考にした2つの資料では、パートタイム労働者よりも一般労働者の方が約3倍の母数があったにも関わらず、離職率はパートタイム労働者の方が2倍以上高いという数値となっていました。業種業態、働き方にもよるかもしれませんが、アルバイトやパートの離職率は一般社員よりも高いと考えておくと良いでしょう。
アルバイトの定着率が低いことによる損失
アルバイトの定着率が低いと、様々な方面で損失を被ることになります。代表的なものは以下の3つです。
【アルバイトの定着率が低いことによる損失】
- 採用コストが高くなる
- 人材が集まらなくなる
- 世間からの印象が悪くなる
それぞれどのように損失が発生するのか、その理由やメカニズムについて詳しく解説します。
採用コストが高くなる
アルバイトの離職率が高いことで、採用コストが高くなる可能性があります。採用コストとは、人を採用するまでに行った施策や活動全体にかかった費用のことです。
株式会社ツナグソリューションズが発表したデータによると、アルバイトやパート1人を雇うのにかかる費用は、2009~2013年までの4年間で1.7倍まで上昇していると明記されています。最新のデータでは平均6.4万円がかかるという数字も発表されており、徐々に採用コストが高くなっているのです。
背景には景気の変動や物価上昇、最低賃金の上昇が関係していると考えられます。今後も採用コストは高くなることが予想されます。
定着率が10%違うだけで費用の差は膨大!
採用コストは定着率が10%変動するだけで大きな開きとなります。「定着率・離職率の計算方法」の数字をもとに、定着率が90%の場合と80%の場合の1年間の費用の差を以下にまとめました。なお一人当たりの採用コストは5万円/月として計算します。
【定着率90%】
離職率10%=3人の離職者分を補充。3人×5万円×12ヶ月=180万円 【定着率80%】 離職率20%=6人の離職者分を補充。6人×5万円×12ヶ月=360万円 1年間の費用の差は約2倍! |
離職率が高ければ高いほど補充しなければならない人員が増えるため、そのぶんコストをかけなければなりません。上記の例では約2倍となっていますが、離職率が高いとさらに費用が上乗せされます。裏を返せば、定着率が高ければこれらの採用コストはかからないということになります。
雇用形態の違いや、新卒中途の違いによる採用コストの平均単価に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひこちらもご覧ください。
「採用コストとは|新卒、中途、アルバイトの平均単価や削減のコツを解説」
人材が集まらなくなる
定着率が低いと、人材が集まらなくなる原因となります。アルバイトが離職する原因はいくつかありますが、代表的なものは以下の通りです。
- 制度や条件に対する不満
- 仕事内容のギャップ
- 勤務先の人間関係
これらの関係で退職するアルバイトが多いとされています。この辞めていったアルバイトが、勤務先に対する悪い口コミを生むと、人材が集まりにくくなります。離職率が高いとそういった口コミが生まれる可能性が高くなるため、相対的に人材募集に苦戦しやすくなります。
世間からの印象が悪くなる
アルバイトの退職が多いと、お客様からも印象が悪くなる恐れがあります。店を訪れるたびにスタッフが変わっていたり、明らかに忙しい様子が常に続いていたりすると、世間 の印象が悪くなる可能性もあります。
結果、顧客離れにつながってしまう恐れがあり、売り上げ低下につながる恐れもあります。アルバイトの定着率は、内部の問題だけで済まない可能性があります。
アルバイトの定着率が低くなる原因
アルバイトが定着しない理由は、アルバイト先に何かしらの不満を持っているためだと考えられます。株式会社ビズヒッツが実施したアンケートで、以下の理由でアルバイトを退職する傾向があることが分かりました。
【アルバイトをやめる理由ランキング】
|
ネガティブなものばかりではありませんが、上位7つのうちの4つがバイト先への不満に起因するものでした。本記事では、一覧の中から採用する側の企業にも関係のある1位、4位、6位、7位について詳しく解説します。
バイト先の人間関係が悪い
アンケートに回答した500人中125人が挙げた退職理由が人間関係でした。同僚と馴染めなかったり、いじめやハラスメントが原因で辞めたケースが見られます。
仕事内容が合わない
アルバイトなのに店長がやるような責任のある仕事を任される、覚えることが多すぎたなど、アルバイトの仕事の範疇を超えた仕事をさせられてバイトを辞めたケースです。接客の苦手意識を克服するためにはじめた人が続かないケースもありましたが、アルバイトをしていく中で仕事に違和感を抱えて辞めることもあったようです。
労働時間や日数に不満がある
希望したシフトに入れてもらえない、逆に入れられすぎて負担が大きいなどの理由を500人中35人が回答しています。また、希望した時間に入れてもらえない、夜勤や深夜勤務が辛いという理由も散見されました。
時給や収入が低い
時給や収入に不満があるという理由でアルバイトを辞めるケースもあります。中にはコンプライアンス違反である最低賃金以下の時給や残業代なしなどの理由もありました。この場合はもっと時給のいいところに行こうとなってしまうでしょう。結果として退職が進んでしまいます。
アルバイトの定着率向上のためにできること
アルバイトの定着率向上のために、企業や事業所ができることは以下の4つです。
【アルバイトの定着率向上のためにできること】
- 新人に対する教育体制を整える
- 制度や待遇を改善する
- 求人にギャップがないか確認する
- コミュニケーションをとる
それぞれ詳しく解説します。
新人に対する教育体制を整える
新人に対して働き方やルールを教えるため、教育体制を整えるようにしましょう。アルバイトが初めての学生や復帰したばかりの主婦などは特にこれらの制度を欲しています。出勤初日から現場に立たせるのではなく、きちんと教育を施してから現場に投入するようにすれば、アルバイトの不安もある程度取り除けるかもしれません。
時間がかかるのは仕方がありませんが、アルバイトに気持ちよく働いてもらうためにも教育体制を整えてください。
制度や待遇を改善する
制度 や待遇を重視するアルバイトは少なくはなく、それらを整備することはモチベーションアップに効果的であるとされています。給料の見直しを年に1回から半年に1回に切り替える、シフト提出に対して柔軟に対応するなど、大小問わず改善点があれば実施していくと良いでしょう。
無理な改善をする必要はありませんが、見直せる範囲で制度を変えていくと良いかもしれません。
求人にギャップがないか確認する
募集要項や求人票の内容と実際の業務内容にギャップがないかを確認しましょう。実際に仕事を始めてからギャップを感じると、アルバイトの離職につながります。特に「力仕事なし」「残業なし」など、誤解を生むような表現をしていないかきっちりと見直すことが重要です。
コミュニケーションをとる
社員やアルバイト同士の交流できる機会を作り、コミュニケーションを活性化させる場を設けるのも効果的です。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の関係で懇親会などは難しいかもしれませんが、一対一で面談をするだけでも効果はあります。アルバイト同士の交流も制限をかけず、仲良くできる雰囲気作りを進めていきましょう。
まとめ
アルバイトの定着率が低いと、採用コストがかかるだけではなく、様々な方面で不利益を被る可能性があります。場合によっては店舗そのものの損失につながる可能性もあるため、アルバイトの定着率は定期的に算定することをおすすめします。そして、アルバイトが定着するように様々な手を打つことも忘れてはいけません。
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