業務委託と派遣の違いとは|メリット・デメリットと向いているケースについて解説
業務委託と派遣は、自社で請け負った業務を効率的に業務を進める方法です。それぞれ契約方法などは違いますが、自社業務のコストパフォーマンスの向上や業務品質のアップなどが期待できるでしょう。
そこで本記事では、業務委託と派遣の違いとそれぞれのメリット・デメリットについて紹介します。社内の業務効率の改善や新規事業の展開を考えていくうえで、外部リソースの活用を検討している企業の担当者はぜひ参考にしてみてください。
目次
- 雇用契約の種類種類
- 責任の所在
- 社会保険の負担
- 報酬と給与
- 業務委託のメリット
- 業務委託のデメリット
- 業務委託での雇用が向いているケース
- 人材派遣のメリット
- 派遣のデメリット
- 派遣での受け入れが向いているケース
業務委託と派遣の違い
業務委託と派遣は「業務を自社以外の人間に任せる」という点においては共通していますが、以下のような違いもあります。
【業務委託と派遣の違い】
- 雇用契約の種類
- 責任の所在
- 社会保険の種類
- 報酬と給与
契約形態や責任の所在が全く違うため、報酬の支払い先なども異なってきます。業務を外部に依頼する目的によってどちらを選ぶべきか決まりますが、その際にそれぞれの違いも把握しておいた方が円滑に業務を任せていくことができるでしょう。
雇用契約の種類種類
業務委託と派遣では、契約の種類が異なります。人材派遣の場合、依頼した企業に派遣される人材は依頼会社ではなく派遣会社と雇用契約を結んでいます。そのため依頼会社は、派遣会社と契約して決めた期間のみ人材を派遣してもらえるのです。
一方で業務委託は、業務を委託する会社(もしくは個人)と直接契約を結びます。契約内容は、期間を設けて結ぶ「業務委任契約」と、成果物を納めることに対して結ぶ「業務請負契約」があります。
責任の所在
業務委託と派遣では責任の所在に違いがあります。業務委託の場合は業務に関する取り組みの全てを委託会社に任せてしまうので、委託会社が携わる部分の責任については全て委託会社へ追求することが可能です。
一方で派遣の方は指揮命令権が依頼する側にあるため、業務の責任は監督者である依頼した側の企業が請け負うこととなります。
社会保険の負担
社会保険については、どちらも直接支払う必要がありません。業務委託の場合は受託会社自身で支払い、派遣社員は派遣会社が支払います。
ただ、派遣の場合は派遣会社の料金設定の中に社会保険の料金が含まれているケースがほとんどであるため、パートやアルバイトよりも割高に設定されてしまう点には注意が必要です。
報酬と給与
業務委託と人材派遣では報酬形態が異なります。業務委託の場合は依頼した企業が受任者に直接支払うのに対して、人材派遣の場合は派遣社員が働いた分の報酬を派遣会社に支払います。
派遣の場合は人材に対して保険料などを支払う必要がなく、正社員を雇うのに比べてコストを抑えられるメリットがあります。一方で業務委託の場合は、依頼にかかるコストなどが派遣に比べてかかるため、それなりの費用が掛かってしまうことは知っておいた方が良いでしょう。
業務委託の特徴
業務委託とは、自社の業務を外部の業者に委託することを指します。業務委託には「請負契約」「委任/準委任契約」の2種類があり、それぞれ契約の内容が異なる点には注意が必要です。外部の業者に業務を委託する点は共通しているため、業務委託・請負契約・委任/準委任契約の関係性は上の図のようになります。
業務委託のメリット
業務委託を利用するメリットは以下の通りです、
【業務委託を利用するメリット】
- 専門知識を有する人に業務を任せられる
- 教育コストを削減できる
- 自社の正社員を有効活用できる
業務委託のメリットで最も注目すべき点は、専門知識を有するプロに業務を任せられる点でしょう。自社で取り組むとコストがかかりすぎる可能性がある業務をプロに任せることで、本来かかるコストよりも削減できる期待が持てるでしょう。また、その道のプロに任せてしまえばある程度の質も担保できるため、本来その業務に充てる予定だった自社の人材を他の業務に充てることもできます。
業務委託は人材派遣よりも業務の質を担保しやすい方法であると言えるでしょう。
業務委託のデメリット
業務委託を利用すれば専門知識を有するプロに業務を任せられるメリットがある一方で、デメリットもあります。以下のデメリットを確認して、業務委託を利用する価値を見定めてみてください。
【業務委託を依頼するデメリット】
- 専門性の高い業務になるとコストが割高になる可能性がある
- 指揮命令権がない
- 社内のノウハウを活用することができない
- 業務経験を自社の人材に体験させられない
業務委託の内容にもよりますが、業務内容の専門性が高くなるほどコストも高くなっていくでしょう。また、業者に対する指揮命令権も無いため、基本的には受任者のやり方に沿って進めなくてはいけません。
業務委託は人材派遣に比べて、業務に対するスキルが高い人材に依頼するのが一般的であるため、全体的にコストがかかってしまうのはしょうがないと言えます。もし、業務委託である必要がないレベルの業務なら人材派遣を利用した方がコストパフォーマンスが良いかもしれません。
業務委託での雇用が向いているケース
ここまでの内容を踏まえると、業務委託が向いている業務は以下のようになります。
【業務委託が向いている業務】
- 新規事業の様にスピードが求められる業務
- 専門性が求められる業務
- 業務量にムラがある業務
- 自社の設備だけでは請け負いきれない業務
基本的に業務委託は、自社の能力だけでは足りないと判断された場合に利用されることが多いです。なぜなら、自社でこなせてしまう業務であるなら人材派遣を利用して、人的リソースだけを確保すれば何とかなってしまうからです。
専門性が必要な業務は専門知識がある業者に頼んだ方が効率が良いですし、量にムラがある業務の場合は、新たに人材を雇用するよりも業務委託でその業務に対する契約だけ結べば、それ以上のコストを負担する必要がなくなります。利用の仕方次第でコストパフォーマンスは大きく変化するので、依頼する側は委託先の業者の質や依頼する業務内容についてしっかりと把握したうえで契約を結ぶようにしましょう。
派遣の特徴
そもそも人材派遣とは、人材派遣会社が雇用契約を取り交わしている派遣労働者を、派遣先の企業に紹介して働いてもらう雇用形態のことを指します。雇用関係は人材派遣会社と結ばれていますが、指揮命令権は派遣先企業にあるのが特徴です。
人材派遣は大きく分けると、「一般派遣」と「紹介予定派遣」の2種類があります。それぞれの違いは以下の通りです。
一般派遣 | 紹介予定派遣 | |
---|---|---|
派遣期間 | 最大3年 | 最大6ヶ月 |
採用前の面接の有無 | なし | あり |
派遣後の直接雇用の有無 | なし(派遣先による) | あり |
紹介予定派遣の場合は、最終的に自社で雇うことを目的に利用する派遣の種類であるため、一般派遣と間違えないようにしましょう。どちらを利用するかは目的によって異なるため、人材派遣を利用する目的を明確にしてから人材派遣会社と契約を結ぶようにしてください。
人材派遣のメリット
人材派遣を利用するメリットは以下の通りです。
【人材派遣を利用するメリット】
- 条件に柔軟に合わせて働いてもらいやすい
- 急な依頼にも柔軟に対応してくれる
- 業務委託よりもコストを削減できる可能性が高い
- 業務の効率化に繋がる
人材派遣のメリットは、突発的な依頼でも柔軟に対応してくれる点です。長期間にわたって人材を雇うなら正社員を雇用した方が良いですが、繫忙期のみ人材を補填したいケースなどで人材派遣は活躍します。派遣してもらう人数も細かく調整が効くため、業務の規模を問わず最適な人数を依頼できるのが大きな強みです。
また、専門的なスキルに特化した人材へ業務委託する場合よりも、コストが低く抑えられる傾向があります。利用方法次第では、コストパフォーマンスの最適化にも繋がるでしょう。
派遣のデメリット
人材派遣を利用するデメリットは以下の通りです。
【人材派遣を利用するデメリット】
- 管理者の負担が増える
- 契約の更新には上限がある
- 育成に期間を要する
人材派遣の場合、指揮命令権は依頼した側にあるため、派遣社員の管理も全て自社で行う必要があります。そのため、管理者の負担は増えてしまう可能性があり、人数次第では監督官を複数名用意しなくてはいけない可能性も出てくるでしょう。
また、派遣の場合は契約の更新に上限があります。原則3年を上限とする派遣受入期間の制限が設けられており、引き続き同じ職場・部署で雇用継続する場合、正社員・契約社員など、雇用形態を切り替えなくてはいけません。
他にも、派遣の場合は人材がその業務に精通していない可能性が高いことによる教育のコストも考える必要があります。教育・管理には十分なリソースを払わないと、人材が確保できても良い結果を生まない可能性が出てしまうでしょう。
派遣での受け入れが向いているケース
ここまでの内容を踏まえると、人材派遣が向いている業務は以下のようになります。
【人材派遣が向いている業務】
- 短期で人材を確保しなくてはいけない業務
- 指揮命令権を行使して遂行する必要がある業務
人材派遣が向いている業務は短期間だけ利用する必要がある業務や、外部に任せることができない業務などが当てはまります。業務委託と違って専門的な知識のある人材がいない可能性の方が高いため、自社内で管理して指揮命令権を行使できる業務なら人材派遣に向いています。
他にも、スキル以上に人員の頭数を揃えたい場合など、人数的に不足している業務がある場合には人材派遣が最適です。
まとめ
業務委託と派遣は、自社の業務を効率化するうえで知っておいて損のない契約形態です。特に採用に時間をかけられないなど、正社員を雇いづらい状況にある場合には必要性が増すでしょう。
外部の業者・人材を利用する以上、業務に対する管理などは必要になります。しかし、自社で賄えない部分を必要な期間・人数で調整しながら補ってもらえるので、利用方法次第では大きなメリットをもたらすはずです。人材確保の方法の一つとして、業務委託と派遣から自社に合ったものを選んでみてはいかがでしょうか。
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