年末調整をWeb入力するには?電子化のメリットや注意点、おすすめのサービスを紹介
人事労務担当者の皆様にとって年末調整は大変な作業の一つです。手作業での書類作成や記入ミスのリスクを考えると、Web申請に切り替えることで、業務の効率化が期待できます。当記事では、年末調整のWeb申請について、手順や注意点を詳しく解説します。
目次
- 準備・郵送処理
- 書類チェック
- 提出
- 年末調整で電子化できる申告書類
- 年末調整で電子化できる添付書類
- 年末調整の業務を効率化できる
- コストを削減できる
- 不明点はヘルプデスクやFAQで解決できる
- 電子と紙が混在してしまう可能性がある
- 従業員の手間が増える
年末調整のWeb申請のやり方
年末調整のWeb申請には、以下のように5つの作業が必要です。
①準備・郵送処理
②書類チェック
③提出
①~③をそれぞれ詳しく解説していきます。
準備・郵送処理
年末調整のWeb申請には、まず準備・郵送処理が必要です。具体的には、従業員に対して必要な書類を準備し、郵送する下記のような作業が含まれます。
①従業員への告知文作成(申請期限やログイン情報・マニュアルなど)
②年末調整対象者を選別し、年調Webシステムに従業員情報(本人や家族)や団体保険情報をアップロードする
③従業員が証明書を郵送するためのキットを用意
準備・郵送処理は年末調整のWeb申請において欠かせない作業です。従業員への書類送付やオンラインログイン方法の説明など、細かな作業が含まれるため、事前にしっかりと準備しておくことが必要です。
書類チェック
年末調整のWeb申請では、書類チェックが必要です。Web申請の場合、従業員本人がWebシステム上で入力して、証明書の原本を管理者側に郵送します。管理者側は入力された内容と証明書に相違がないか、チェックをします。もし、入力内容に不備があれば都度従業員側に確認をとります。
提出
年末調整のWeb申請で提出 とは、電子申告システムを通じて申告書を提出することです。
年末調整が完了したら、給与システムで年調計算を行い、 電子申告システムにアップロードします。申告書は、システムが提供する専用のフォーマットに沿って作成する必要があります。
また、システムには電子証明書の登録が必要です。税務署がシステムを通じて送信される情報の正当性を確認するために必要な措置です。最終的に、提出が完了すると、システムから提出完了の通知が届きます。
年末調整で電子化できる書類
年末調整で電子化できる書類は申告書類と添付書類の2つです。それぞれ具体的に紹介します。
年末調整で電子化できる申告書類
年末調整のWeb申請では、以下の申告書類を電子化して提出できます。
・給与所得者の基礎控除申告書
・給与所得者の扶養控除等申告書
・従たる給与についての扶養控除等申告書
・給与所得者の配偶者控除等申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
・給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書
・退職所得の受給に関する申告書
・所得金額調整控除申告書
・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
※2022年9月時点
これらの書類は専用のフォーマットに沿って作成することで、Web申請システム上でデータ入力を行い申請 できます。
参照:国税庁「令和4年分 年末調整のしかた」
年末調整で電子化できる添付書類
以下は、年末調整のWeb申請において電子化できる添付書類の一覧です。
・給与支払報告書
・賞与支払報告書
・源泉徴収票(給与・賞与以外の所得に係るもの)
・雇用保険被保険者資格取得届
・健康保険被保険者資格取得届
・厚生年金被保険者資格取得届
・雇用保険被保険者資格喪失届
・健康保険被保険者資格喪失届
・厚生年金被保険者資格喪失届
・退職証明書
参照:国税庁「令和4年分 年末調整のしかた」
【企業側】年末調整をWeb申請するメリット
企業が年末調整をWeb申請するメリットは大きく分けて以下の3つです。
・年末調整の業務を効率化できる
・コストを削減できる
・不明点はヘルプデスクやFAQで解決できる
以下で詳しいメリットをご覧いただき、ぜひWeb申請を検討してみると良いでしょう。
年末調整の業務を効率化できる
年末調整のWeb申請によるメリットの一つは、人事労務担当者の業務負荷を軽減できることです。
従来の年末調整では、社員から提出された源泉徴収票を集め、確認し、計算して課税対象となる支払い総額を算出する必要があります。
上記の作業は煩雑で時間がかかり、ヒューマンエラーが発生する可能性もあります。Web申請では、全ての作業負担を軽減し業務の効率化を図れます。
さらに、Web申請では、申請書の電子化により、紙の申請書を印刷・郵送する手間も省けます。年末調整において、人事労務担当者の負担が大きいのは、社員から提出される申告書のチェック・入力作業 です。
これらの作業はWeb申請により 業務負荷を軽減できます。また、申請書の電子化により印刷・郵送作業の手間も省け、より効率的に年末調整業務が実行できます。
コストを削減できる
年末調整をWeb申請するメリットの一つは、コスト削減が挙げられます。紙で申請する場合と比較して、印刷コストを削減できることがその一つです。
紙で申請する場合は、各種書類を印刷するためのコストが必要ですが、Web申請ならばそのようなコストが不要になります。また、年末調整の紙の申告書類は、保管期間中は定期的な保管や保管場所の確保が必要ですが、Web申請ならばそれらのコストを削減できます。
さらに、紙の申告書類は印刷や書類整理に時間がかかり、その作業時間の削減もできます。これらのメリットにより、企業は年末調整のコストを削減でき、経営効率の向上に繋がるといえます。
不明点はヘルプデスクやFAQで解決できる
年末調整をWeb申請するメリットの一つに、不明点がヘルプデスクやFAQで解決できることが挙げられます。
国税庁のホームページには、年末調整に関するチャットボットやヘルプデスクの問い合わせ先、FAQが掲載されています。これらの情報を利用することで、 申請する場合によく起こる書類の不備や不明点について、迅速に解決できます。
また、Web申請に関する情報がまとめて掲載されているため、不明点を解決するために時間をかける必要がなくなります。
上記のメリットを活用することで、よりスムーズな年末調整の申請が可能になります。
【企業側】年末調整をWeb申請するときの注意点
企業が年末調整をWeb申請するメリットを知れたことで前向きに検討しようと考える方が多いと思います。しかし、気を付けなくてはいけない注意点も存在いたしますので理解しておかなければいけません。
・電子と紙が混在してしまう可能性がある
・従業員の手間が増える
電子と紙が混在してしまう可能性がある
注意すべき点の一つは、電子と紙が混在する可能性があることです。
まず、従業員全員がWeb申請できるだけの端末が手配されていない場合、申請が紙で行われることになります。例えば、ITリソースが限られている場合や、一部の従業員がリモートワークである場合などが該当します。そのため、紙と電子の両方の申請が発生する可能性があります。
また、ITリテラシーの低い従業員がいる場合、Web申請に対応できない可能性があります。例えば、パソコンやスマートフォンの使用が苦手な年配の従業員や、ITに関する知識が不十分な従業員がいる場合が考えられます。
そのため、企業はこれらのリスクを最小限に抑えるため、事前に従業員の端末の準備やIT教育を行うなどの対策が必要となります。
従業員の手間が増える
企業が年末調整をWeb申請する際には、従業員の手間が増えるという注意点があります。
さらに、年末調整は人事の仕事だと思っている従業員が一定数いるため、そういった従業員がWeb申請に戸惑う場合もあります。
これらの注意点を踏まえると、企業がWeb申請に移行する際には、従業員に対して十分な情報提供やサポートが必要です。例えば、必要な書類や入力内容などについて、マニュアル等を作成し、事前に明確に伝えることが大切です。
企業にとって非常に手間のかかる「年末調整」を業務委託するという選択肢もあります。以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひこちらもご覧ください。
年末調整の電子化がおすすめの企業
年末調整の電子化は、従業員全員がWeb申請に対応できる企業や、テレワークで出社していない従業員が多い企業にとって向いています。
従業員全員がパソコンやスマートフォンなどの端末を持っており、普段からWeb申請に対応できる企業では、年末調整の電子化がスムーズに進められます。
また、テレワークで出社していない従業員が多い企業も年末調整の電子化に適しています。従業員がオフィスに出社しなくても自宅などからWeb申請ができるため、手続きのスピードアップが期待できます。
年末調整の電子化におすすめのサービス
画像引用元:フルキャスト「年末調整事務代行サービス」
年末調整の電子化におすすめのサービスに、フルキャストの「年末調整事務代行サービス」があります。
このサービスは、年末調整の手続きをアウトソーシングできるサービスです。具体的には、Webシステムのアカウント登録、申告内容・提出書類のチェック、不備の問い合わせ、年末調整データの作成などを代行してくれます。
サービスをおすすめする理由は、主に以下の4つです。
・年末調整にかかる時間や手間を削減できる
・専門のスタッフによるアドバイスや問い合わせ窓口がある
・細かなルールや手続きが不明な場合でもスムーズに処理ができる
・不備やミスが起こる可能性を低減防止できる
専任のスタッフが対応するため、電話やメールでの問い合わせが可能です。煩雑な手続きや細かなルールについても詳しくアドバイスが受けられます。
また、申請にかかる手間や時間を大幅に削減でき、年末調整期間中に必要な書類の発行もスムーズに行えることも魅力的です。
まとめ
人事労務担当者の中で年末調整のWeb申請を導入しようか検討する方は多いでしょう。しかし、実際にどのような申請方法が必要で、具体的にどんなメリットがあるのか分かりづらいという人もいます。
今回は年末調整の準備や郵送処理、書類チェックなど必要業務について解説しました。しかし、年末調整をWebで行うことで、業務を効率化できるうえ、紙や保管費用のコストを抑えられます。また、分かりやすいFAQやヘルプデスクの機能があるので、サポートを受けることも可能です。
紙媒体かWeb媒体どちらを導入するかは、この記事を参考にしたうえで社内で慎重に検討すると良いでしょう。
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