【保存版】特定技能の工場製品製造業分野とは?製造業で外国人を受け入れる方法や注意点も解説
特定技能とは一定の技能・専門性を持つ外国人人材の受け入れを目的とした在留資格の種類です。
特定技能外国人はおもに国内人材の確保が難しい分野での受け入れができ、2024年度からは業種や従事できる業務が拡大しました。人手不足が深刻な製造業では、特定技能外国人を受け入れることで問題の解消を目指せます。
この記事では、特定技能について解説します。更に、製造業で受け入れ可能な産業や任せられる業務、受け入れ方法などについても紹介します。
目次
- 特定技能と技能実習の違い
- 製造業で受け入れ可能な業種
- 製造業の特定技能に従事させられる業務
- 技能実習から移行
- 試験を受けて特定技能を取得してもらう
- まだ来日していない外国人の場合
- 受け入れ機関には義務がある
- 1号特定技能外国人を支援する必要がある
- 法令の遵守
特定技能とは?
特定技能とは国内での人材確保が難しい状況にある分野において、一定の技能・専門性を持つ外国人人材の受け入れを目的に2018年に創設された在留資格の一種です。特定技能は次の2種類に分けられ、それぞれ在留期間や技能水準などが異なります。
特定技能1号 | 特定技能2号 | |
---|---|---|
概要 | 特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格 | 特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格 |
在留期間 | 1年
※6ヵ月又は4ヵ月ごとの更新、通算で上限5年まで |
3年
※1年または6ヵ月ごとの更新 |
技能水準 | 試験等で確認
※技能実習2号を修了した外国人は試験等免除 |
試験等で確認 |
日本語能力水準 | 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認
※技能実習2号を修了した外国人は試験等免除 |
試験等での確認は不要 |
家族の帯同 | 基本的に認めない | 要件を満たせば可能(配偶者、子) |
受入れ機関又は
登録支援機関による支援 |
対象 | 対象外 |
受け入れ分野 | 12分野(介護、宿泊、飲食料品製造業など) | 建築、造船・舶用工業 |
製造業での受け入れは、特定技能1号でも2号でも可能。ただし、特定技能2号で受け入れられる製造業の分野は「造船・舶用工業」のみに限定されるため、基本的には特定技能1号での受け入れを目指すことになります。
特定技能と技能実習の違い
外国人人材という共通点があるため、混乱を招きがちな「特定技能」と「技能実習」ですが、両者はその目的に大きな違いがあります。特定技能は「労働力確保」が目的なのに対して、技能実習は「技能移転による国際貢献」が目的です。そのほかにも次のような違いがあります。
特定技能 | 技能実習 | |
---|---|---|
目的 | 労働力の確保 | 技能移転による国際貢献 |
人数制限 | 制限なし
※建設・介護を除く |
制限あり |
受け入れ分野 | 14分野 | 8分野 |
家族の帯同 | 2号のみ可 | 不可 |
支援団体 | 登録支援機関 | 管理団体 |
また、特定技能の場合は2号を取得したのち、要件を満たせば永住権の取得が可能になります。しかし、技能実習は永住権の取得はできません。取得する場合は特定技能に移行して2号を取得し、要件を満たす必要があります。
特定技能の工業製品製造業分野とは?
製造業の特定技能制度は、2024年3月29日に分野名を変更する閣議決定がなされました。
従来の「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」から「工業製品製造業分野」へ分野名が変更されます。業種や業務区分を拡大し、特定技能外国人の受け入れを大きく増やす見込みです。
現在の制度下において受け入れ可能な業種・業務区分は以下で解説します。
製造業で受け入れ可能な業種
2024年度からは受け入れ可能な業種が拡大し、従来の業種に加えて鉄鋼業やプラスチック製造業、コンクリート製品製造業などさまざまな業種での受け入れが可能です。
2023年度までの受け入れ可能な業種 | 2024年度からの受け入れ可能な業種 |
|
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なお、繊維業は適正取引の推進を目的に、受け入れに際しての追加要件が設けられています。
繊維業の追加要件
- 国際的な人権基準を遵守した事業をおこなっている
- 勤怠管理を電子化している
- パートナーシップ構築宣言を実施している
- 特定技能外国人の給与を月給制にする
繊維業を営む事業者が特定技能外国人を受け入れるには、以上の要件を満たさなければなりません。
製造業の特定技能に従事させられる業務
2024年度からは特定技能外国人が従事する業務区分も拡大しています。
2023年度までの業務区分 | 2024年度からの業務区分 |
全3区分
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全10区分
|
従来の3区分から10区分に拡大し、幅広い業務への従事が可能となりました。
製造業の特定技能における業種・業務追加の背景
製造業の深刻な人材不足を外国人労働者の活用で解決するため、特定技能の業種・業務が追加される運びとなりました。
製造業の有効求人倍率は高く、需要が見込まれるにもかかわらず必要な人材を集められない状況です。加えて、従来の対象分野以外でも人材の確保が難しいと、業種を所管する省庁からも要望がありました。
製造業の特定技能における業種・業務を追加すれば、専門性や技能を持った即戦力となり得る外国人労働者の受け入れを増やせます。人材不足の解消を促し、製造業の存続と発展、経済の持続性維持につながるため、業種・業務が追加されました。
製造業で特定技能を受け入れる要件
製造業で特定技能外国人を受け入れるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 派遣契約ではない雇用形態で雇う
- 受け入れ企業は所定の産業分野にある(日本標準産業分類で限定)
- 受け入れ企業は特定技能の「受入れ協議・連絡会」の構成員になる
- 受け入れ企業は経済産業省、協議・連絡会の指導、報告徴収などに協力する
なお、繊維業には追加要件があり、以下の要件もクリアしなければなりません。
- 国際的な人権基準に適合した事業をおこなっている
- 勤怠管理を電子化している
- パートナーシップ構築宣fを実施している
- 特定技能外国人の給与を月給制にする
繊維業では技能実習生に対する時間外労働の賃金不払いなどの違反が多かったため、適正取引を推進する目的で追加要件が設定されました。
特定技能外国人を受け入れる方法
特定技能外国人を受け入れるには次の2つの方法があります。
- 技能実習から移行
- 試験を受けて特定技能を取得してもらう
いずれも受け入れまで2~3ヵ月の期間が必要です。なお、外国人が海外にいる場合は、更に期間が延び3~4ヵ月ほどかかります。また、出入国在留管理庁への申請前に「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」への入会が必須になっています。
技能実習から移行
技能実習から特定技能に移行するためには、まず以下の条件を満たしている必要があります。
- 技能実習2号を良好に修了していること
- 技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務に関連性が認められること
これらの条件を満たしている場合は、特定技能への移行が可能。その上で次の手続きをおこなえば、特定技能を受け入れられます。
- 特定技能外国人と雇用契約を締結
- 1号特定技能外国人支援計画を策定、または登録支援機関と委託契約の締結
- 受け入れ機関等が実施する事前ガイダンス等の受講および、健康診断を受診してもらう
- 分野ごとの上乗せ基準、国ごとの手続きがあれば申請する
- 「在留資格認定証明書交付申請書」を地方出入国在留管理庁に提出
- 審査が通過後、「在留資格変更許可」が交付される
- 就労を開始する
試験を受けて特定技能を取得してもらう
試験を受けて特定技能を取得してもらう場合は、次のケースによって取得方法が異なります。
- 国内に在留している外国人の場合
- まだ来日していない外国人の場合
国内に在留している外国人の場合
留学などですでに国内に在留している外国人の場合は、次の流れで特定技能外国人として受け入れが可能になります。
- 日本語試験および技能試験に合格する
- 雇用契約を締結する
- 受け入れ機関等が実施する事前ガイダンス等の受講および、健康診断を受診してもらう
- 「在留資格認定証明書交付申請書」を地方出入国在留管理庁に提出
- 審査が通過後、「在留資格変更許可」が交付される
- 就労を開始する
まだ来日していない外国人の場合
まだ日本に来ていない外国人の場合の受け入れの流れは次のとおりです。
- 日本語試験および技能試験に合格する
- 雇用契約を締結する
- 受け入れ機関等が実施する事前ガイダンス等の受講および、健康診断を受診してもらう
- 「在留資格認定証明書交付申請書」を地方出入国在留管理庁に提出
- 審査が通過後、「在留資格認定証明書」が交付される
- 「在留資格認定証明書」を外国にいる外国人に送付
- 外国人に「在留資格認定証明書」を在外公館へ提出、査証の申請をしてもらう
- 審査通過後、査証が発給される
- 在留資格認定証明書の発行から3ヵ月以内に来日してもらい、就労を開始する
特定技能外国人を受け入れる際の注意点
特定技能外国人を受け入れる際には次の点に注意が必要です。
- 受け入れ機関には義務がある
- 1号特定技能外国人を支援する必要がある
- 法令の遵守
受け入れ機関には義務がある
特定技能外国人を受け入れる企業は次の義務を果たす必要があります。
- 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること
- 外国人への支援を適切に実施すること
- 出入国在留管理庁およびハローワークへの各種届出
- 特定技能外国人の受け入れ後は、受け入れ状況等について、地方出入国在留管理局およびハローワークに定期または随時の届出をおこなう
1号特定技能外国人を支援する必要がある
受け入れ機関は特定技能1号を取得した外国人が、「特定技能1号」の活動を円滑におこなうことができるよう、職業・日常・社会生活上の支援をおこなわなければいけません。
支援内容は作成した1号特定技能外国人支援計画にもとづきます。おもな記載事項は次のとおりです。
- 支援責任者の氏名および役職等
- 登録支援機関(登録支援機関に委託する場合のみ)
- 以下の10項目
- 事前ガイダンス
- 出入国に関する送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
法令の遵守
受け入れ機関が適切な法令遵守ができていない場合、特定技能外国人の受け入れはできません。
- 労働関連の法令
- 社会保険関係の法令
- 租税に関する法令
これに加えて出入国に関する法令の遵守が求められます。
まとめ
特定技能外国人は、製造業にとって人手不足解消の解決策として大きな効果が期待できます。2024年度からは業種・業務が追加され、さまざまな製造業で特定技能外国人の活用が可能です。
ただし、受け入れには要件を満たす必要があり、複雑な手続きも発生します。受け入れまでに数ヵ月の時間を要するケースもあり、すぐに人手不足を補いたい場合にはなんらかの対処が必要です。
特定技能外国人を受け入れるまでの期間のみ人材不足を補う方法には、人材派遣を活用しましょう。31日から6ヵ月単位で契約を更新できるため、特定技能外国人の受け入れまで人材の過不足なく業務遂行ができます。
現場の負担解消により労働環境の改善も見込めるので、特定技能外国人の受け入れまでの間だけでも人材派遣の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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