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特定技能外国人と技能実習生の違い|受け入れのメリット・デメリットを比較

特定技能外国人と技能実習生の違い|受け入れのメリット・デメリットを比較

外国人を雇用する際に、特定技能外国人を雇うか技能実習生を雇うか迷うケースは多いようです。それぞれの違いや受け入れのメリット・デメリットを正しく理解していないと、自社に合った外国人人材を雇用できない可能性があります。

本記事では、特定技能外国人と技能実習生の違いを詳しく説明したうえで、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。人材不足解消のために外国人雇用を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

目次

特定技能外国人と技能実習生の違い

- 制度の創設目的

- 就業できる産業分野

- 在留期間

- 家族滞在

- 転職

- 受け入れ方法・人数

特定技能外国人とは

- 特定技能外国人の受け入れ条件

- 特定技能外国人の受け入れメリット

- 特定技能外国人の受け入れデメリット

技能実習生とは

- 技能実習生の受け入れ条件

- 技能実習生の受け入れメリット

- 技能実習生の受け入れデメリット

まとめ

特定技能外国人と技能実習生の違い

特定技能外国人と技能実習生の違い

特定技能と技能実習はどちらも外国人の在留資格ですが、主に以下の項目において違いがあります。

  • 制度の創設目的
  • 就業できる産業分野
  • 在留期間
  • 家族滞在
  • 転職
  • 受け入れ方法・人数

 

具体的にどのような違いがあるかは、以下の表を参照してください。

特定技能外国人 技能実習生
創設目的 人材確保が困難な産業分野で、一定水準の技能および専門性所有し、戦力となり得る外国人を受け入れることで人手不足を解消する 技能移転を通じて開発途上国への国際協力を行う
就業分野 12業種 85職種(156作業)
在留期間 1号:通算5年

2号:上限なし

技能実習1号:1年以内

技能実習2号:2年以内

技能実習3号:2年以内

(合計で最長5年)

家族滞在 1号:不可

2号:要件を満たせば可

不可
転職可否 転職可能 原則不可
受け入れ方法 無制限 海外にある送り出し機関と提携している監理団体による紹介のみ
受け入れ人数 人数枠なし(介護・建設分野を除く) 優良企業は6名まで、

勤職員30名以下の企業は3名まで、

など人数枠あり

それぞれの項目について詳しく解説するため、特定技能外国人と技能実習生の違いについて深く理解するためにお役立てください。

制度の創設目的

技能実習制度に対し、「外国人に就労してもらうこと」が目的だと認識している人が多いですが、実際には開発途上国への国際協力を目的としています。技能実習制度とは、発展途上国への経済的支援や、日本で習得した技 や知識を母国に伝えることを目的として確立された制度なのです。

 

一方、2019年4月に整備された特定技能資格は、人材不足の解消を目的としています。そのため、就業分野は人材不足が深刻化している12業種に限られています。創設目的の違いが他の違いにもつながるため、念頭に置いておきましょう。

就業できる産業分野

特定技能外国人と技能実習生とでは、以下のように就業できる産業分野が異なります。

【特定技能外国人が就業できる産業分野】

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械製・電気電子情報関連製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 建設分野(特定技能2号が対象)
  • 造船・舶用工業(特定技能2号が対象)

「特定技能2号が対象」の記載がない産業分野に関しては、特定技能1号の資格を持つ外国人が就業できます。特定技能1号と2号の違いに関しては、のちほど詳しく解説します。

 

【技能実習生が就業できる産業分野】

技能実習生が就業できる産業分野は、農業関係・漁業関係・建設関係を始めとする85職種(156作業)におよびます。詳細は、公益財団法人国際人材協力機構の公式サイトをご参照ください。

このように、技能実習生は特定技能外国人に比べ多くの業務に就くことができます。

在留期間

特定技能外国人は、1号では在留期間が5年間までと定められていますが、2号では無期限で日本に在留可能です。ただし、どちらも定期的に更新手続きを行う必要があります。

一定の条件を満たせば特定技能1号から2号へ移行できるため、特定技能外国人のなかには無期限で日本に在留する人も多くいます。

 

一方、技能実習生は最長5年までしか日本に在留できません。理由としては、技能実習の創造目的が「日本で習得した技術や知識を母国に伝えること」だからです。無期限で日本に在留してしまうと母国に技術・知識を伝えられないため、在留期間が設けられています。

ただし、現在では技能実習生が特定技能へと切り替えることが可能です。技能実習生として来日して、のちに特定技能の資格を取得し日本に長期的に在留する外国人もいます。

家族滞在

家族滞在の可否も、特定技能外国人と技能実習生とで異なります。技能実習生は家族の滞在が認められていないのに対し、特定技能外国人は2号の資格を取得したうえで一定の条件を満たしていれば、配偶者・子供に限り滞在できます。

 

なぜ特定技能2号を取得している外国人には家族の滞在が認められているかというと、家族の滞在可否が日本での在留期間に大きく関与するためです。家族が滞在できないとなると、無期限に日本に在留できる外国人であっても、家族と暮らしたいという意向から母国へ帰国してしまう恐れがあります。

先述したとおり、特定技能制度の創造目的は「人材不足を解消すること」なので、家族の滞在を認めることで長期的に日本に在留してもらう必要があるのです。

転職

技能実習生は日本で働くことが目的ではなく、母国に日本で学んだ知識や経験を伝えることが目的なため、原則として転職はできません。受け入れ先の企業の事情によってやむを得ず就業先が変わることはありますが、その際は「転職」ではなく「移籍」となります。

一方、特定技能は就労資格に分類されるため、日本人のように自由に転職が可能です。ただし、企業側の事情によって転職する際には、推薦状の作成や離職時に必要となる行政手続きの案内といったサポートが義務付けられています。

受け入れ方法・人数

技能実習生は、海外にある送り出し機関と繋がっている監理団体によって紹介された人材しか雇用できません。そのため、人材不足問題を抱えていたとしても、解消できるとは限りません。

一方、特定技能には受け入れ方法や人数に制限はありません。そのため、受け入れ企業が直接採用活動を行う・求職のあっせんを行っている民間の職業紹介事業者やハローワークを活用する、といった方法で外国人を雇えます。特定技能外国人は何人でも雇えるため、人材不足の解消に役立つでしょう。

特定技能外国人とは

特定技能外国人とは

特定技能外国人とは、人材不足を解消するために設立された特定技能資格を保有している外国人のことです。特定技能資格は、2019年4月に定められたばかりの歴史の浅い資格です。

特定技能資格が設立される前は、日本に在留中の外国人が単純労働を行うことはできませんでした。しかし、特定技能資格の設立により、資格保有者は14業種の単純労働ができるようになったのです。

特定技能のなかには、1号資格と2号資格があります。両者の違いは、以下のとおりです。

特定技能1号 特定技能2号
在留期間 5年まで 無期限
技能水準 一定の技能 熟練した技能
試験内容 日本語能力をはかる試験、分野ごとの試験 分野ごとの試験のみ
家族の滞在 原則不可 要件を満たせば可能(配偶者・子供のみ)
業務分野 介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12種 建設、造船・舶用工業の2種
支援の実施 10項目の支援が必須 不要

特定技能外国人には資格を取得するために日本語試験および各産業分野の試験への合格が必須ですが、技能実習生は試験を受けなくても資格を取得できます。

特定技能外国人の受け入れ条件

特定技能外国人を受け入れる企業側の条件として、以下の基準を満たしている必要があります。

  • 外国人と結ぶ雇用契約が適切であること
  • 受け入れ機関自体が適切であること
  • 外国人を支援する体制があること
  • 外国人を支援する計画が適切であること

 

また、受け入れ機関には以下の項目の遂行が求められます。

  • 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること
  • 外国人への支援を適切に実施すること
  • 出入国在留管理庁及びハローワークへの各種届出

 

各種届出に関する詳細は、出入国在留管理庁のサイトをご参照ください。

特定技能外国人の受け入れにあたり、下記の10個の支援も義務付けられています。

  • 事前ガイダンス
  • 出入国する際の送迎
  • 住居確保に・生活に必要な契約に係る支援
  • 生活オリエンテーション
  • 公的手続等への同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 本人との交流促進
  • 職支援(人員整理等の場合)
  • 定期的な面談・行政機関への通報

これらの基準を満たしており、支援体制が整っている企業であれば、特定技能外国人を受け入れられます。なお、支援に関しては自社で行うのではなく登録支援機関に一部または全てを委託することもできます。

特定技能外国人の受け入れメリット

特定技能外国人は、日本語能力や各産業分野の試験に合格しているため、一定の日本語力および産業分野に関する知識があります。そのため、技能実習生に比べ意思疎通がしやすく、雇用後の研修が短期間で済むでしょう。

特定技能外国人を雇用する際には正社員と同じ待遇にすることが義務付けられているため、フルタイムで働いてもらえるのもメリットです。さらに、受け入れ人数には制限がありません。そのため、たくさんの外国人を採用したい企業にとって、人手不足の解消や社員の残業時間短縮に役立つでしょう。

特定技能外国人の受け入れデメリット

先述したとおり、特定技能外国人を受け入れるためには、さまざまな義務が生じます。また、届出の提出などの煩雑な手続きが必要です。

 

また、2019年4月に設立された特定技能外国人の制度は歴史が浅く、成功事例が少ない点もデメリットです。技能実習生に比べ活用ノウハウが少ないため、受け入れ後スムーズに戦力化するのが困難だと言えます。

 

さらに、特定技能外国人は1号と2号で対象職種が異なります。特定技能1号では在留期間の上限が5年間と定められているため、2号へ移行せず帰国してしまう外国人もいるでしょう。

技能実習生とは

技能実習生とは

先述したとおり、技能実習生は発展途上国への国際協力を目的として設立されています。外国人が技能実習生として働くための条件は、以下のとおりです。

  • 従事する業務が単純作業ではない
  • 18歳以上である
  • 実習が完了したあとは母国へ帰国し、日本で学んだ技能や技術を活かせる業務に就く
  • 母国では習得が困難な技術を習得する
  • 実習生が自力で習得するのは不可能な機関から推薦されている
  • 日本で受ける予定の実習と同じ職種の業務を行った経験がある

また、技能実習生には、1号・2号・3号の3種類が存在します。それぞれの違いは、以下の通りです。

  • 技能実習1号:入国1年目。技能等を修得している。
  • 技能実習2号:入国2・3年目。技能等に習熟している。
  • 技能実習3号:入国4・5年目。技能等に熟達している。

技能実習2号や技能実習3号へ移行できる職種や作業は主務省令で決まっています。詳しくは、厚生労働省の公式サイトをご参照ください。

 

また、技能実習第1号から技能実習第2号へ移行する際や、技能実習第2号から技能実習第3号へ移行する際には、外国人が試験に合格する必要があります。

 

試験の概要は、以下のとおりです。

  • 技能実習2号への移行:学科試験と実技試験
  • 技能実習3号への移行:実技試験のみ

技能実習生の受け入れ条件

技能実習生を受け入れる際に企業側に課せられる条件は、以下のとおりです。

 

  • 欠格事由に該当していないこと
  • 技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員を配置すること
  • 技能実習生の住居を確保すること
  • 賃金を同業務に従事する日本人と同額以上に設定すること
  • 社会保険に加入させること

これらのすべてを満たしていないと、技能実習生を受け入れられないため注意しましょう。

技能実習生の受け入れメリット

技能実習制度を受け入れる際の条件や手続きは、特定技能外国人を受け入れる際に比べてわかりやすいです。また、特定技能外国人のようにさまざまな支援が義務付けられていません。そのため、スムーズに受け入れられるというメリットがあります。

また、技能実習1号の外国人が2号や3号に移行する際に受ける試験は、比較的簡単だと言われています。100点満点中60点以上をとれば合格できるため、継続的に働いてもらいやすいでしょう。

技能実習生の受け入れデメリット

技能実習生は、特定技能外国人のように日本語試験や各産業分野の試験に合格していません。そのため、受け入れ後はコミュニケーションを取りにくいというデメリットが想定されます。また、日本語や業務に関する研修に注力しなければ、戦力化するのは困難でしょう。

ほかにも、技能実習生は家族の滞在が認められていないため、「家族と一緒に生活したい」といった理由で帰国される恐れもあります。特定技能外国人に比べ、帰国されるリスクが高いと考えられます。

まとめ

特定技能外国人・技能実習生は、どちらも外国人雇用に関する制度です。しかし、制度の創設目的・就業できる産業分野・在留期間など、多くの違いがあります。それぞれの違いや雇用する際のメリット・デメリットを把握しておけば、自社に適切な制度を選択できるでしょう。

 

また、特定技能外国人・技能実習生を受け入れる際には、さまざまな条件や義務が課せられます。とくに特定技能外国人に関しては煩雑な手続きが多いため、あらかじめ理解しておきましょう。ぜひ、本記事を参考にして、外国人雇用によって自社の抱える課題解決に取り組んでください。

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